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新型コロナの影響か?「令和2年度 体力・運動能力調査」は、わずかに低下傾向

スポーツ庁「令和2年度 体力・運動能力調査結果」の速報が公表された。令和2年度調査は、新型コロナウイルス感染症の影響のため、調査期間の延長や実施可否が自治体ごとに判断された。調査を実施できなかった自治体もあり、十分なデータを得られなかったことから、「参考値」としての公表となった。

新型コロナの影響か?「令和2年度 体力・運動能力調査」は体力にわずかな低下傾向

令和3年度調査結果①小中学生の体力低下は新型コロナの影響か?

令和3年度調査結果②小中学生の体力が低下しているのは新型コロナの影響か?

過去の調査結果(アーカイブ)はこちら

調査の概要と留意点

令和2年度は、例年より1~4カ月ほど遅い6~11月に実施され、全都道府県ではなく、調査を実施し得た自治体が限られた。合計標本総数は8,431人であり、前年度の15.1%にとどまった(全テスト項目を実施できていないデータを含めた標本数は1万4,821人で前年度の23.5%)。

このような背景から、例年の調査結果と比較し検討する際には、以下の点に留意する必要がある。

過去の報告との比較の際の留意点

  • 標本数が例年の6分の1程度と少ない。
  • サンプルバイアスの有無についての精査が必要だが、困難で明らかにできない。
  • 年齢・性別の標本数は200~300程度あるものの、成人対象の調査項目などでは、標本数が極めて少ない項目がある。
  • 調査実施期間が例年より遅いため、未成年については成長に伴う発達の影響が結果に反映されている可能性がある。

体力および運動習慣の変化

体力テスト合計点は一部を除き、わずかに低下

体力テストの合計点は、青少年の一部を除いて全般的にわずかではあるが、前年度より合計点が低い傾向がみられた。

図1 新体力テストの合計点(男子)

新体力テストの合計点(男子)

(出典:スポーツ庁)

図2 新体力テストの合計点(女子)

新体力テストの合計点(女子)

(出典:スポーツ庁)

運動の実施状況はほぼ変化なし

週1日以上の運動の実施状況は、男女とも前年度からあまり大きな違いはみられない。

図3 週1日以上の運動実施状況(男子)

週1日以上の運動実施状況(男子)

(出典:スポーツ庁)

図4 週1日以上の運動実施状況(女子)

週1日以上の運動実施状況(女子)

(出典:スポーツ庁)

年代別にみた体力結果の特徴

青少年

小学生については、体力テストの合計点は、前年度よりも高い(11歳を除く)。ほとんどのテスト項目で、前年度と比べてほとんど同じか、わずかながら高い。

中学生・高校生・大学生等について項目別にみると、ほとんどの項目では、変化に一定の傾向はみられない。中高生の合計点は前年度よりもわずかに低い(14歳男子を除く)。

成人

成人の合計点は前年度と比較するとほとんどの年齢の男女でわずかに低い。項目別にみても、ほとんどの項目が前年度と比べてわずかに低い。

高齢者

高齢者の合計点は前年度と比較するとわずかに低い。項目別にみても、ほとんどの項目が前年度と比べてわずかに低い。

コロナ禍の影響に引き続き注視が必要

体力テスト調査結果を項目別にみると、青少年、成年、高齢者のすべての年齢階層、および男女に共通する傾向としては、コロナ禍の影響を認めにくい状況にある。体力テストの合計点については、小学生を除くほとんどの世代で前年度と比べわずかに低い。

この結果について、スポーツ庁では、「令和2年度の体力テスト前にコロナ禍が社会活動に影響を及ぼした期間は数カ月間と短いことや、調査の標本数が少ないこともあり、今回の調査でその影響を評価することは困難。コロナ禍が国民の体力・運動能力に及ぼした影響については、コロナ禍がある程度の期間以上続いた後に実施することになる、令和3年度以降の調査において、引き続き分析していくことが必要と考えられる」としている。

スポーツ庁の今後の対応

学校の休校や部活動の休止、テレワークの拡大、運動施設の利用制限や運動教室の実施制限等の影響は、地域における感染の広がりや年齢階層等ごとに千差万別であることを踏まえ、スポーツ庁では以下の取り組みを継続していくとしている。

  • 子ども・若者、ビジネスパーソン、高齢者、女性および障害者といった対象ごとに、それぞれの課題を踏まえた対応を推進する。
  • 企業や自治体等におけるスポーツ推進に向けた取り組みの水平展開や、スポーツ実施上の課題を解決するための実証事業を推進する。
  • 地域の高齢者や治療を要する人を対象として、スポーツによる健康づくりを支援する「運動・スポーツ習慣化促進事業」を自治体と連携して推進する。
  • 新型コロナウイルス感染症により自粛傾向になったスポーツの再開に向け、子どもの運動機会の確保やスポーツ関係団体への支援を行う。また、スポーツを安全に行うためのガイドラインや、外出自粛による高齢者のフレイルや認知機能の低下の予防に向けた情報発信等を推進する。

関連情報

令和2年度体力・運動能力調査結果の概要(速報)について(スポーツ庁)

スポーツ庁「体力・運動能力調査」アーカイブ

平成30年度(2018年度)

1.元気な高齢者が増えている!?
2.10代女性の運動習慣に明らかな差
3.ストレス解消、学力向上、達成意欲...スポーツのさまざまな効果と可能性

令和元年度(2019年度)

1.小学生男子の体力が過去最低
2.小中学生体力低下の原因は?

令和元年度(2019年度)

1.調査概要と加齢に伴う運動能力の変化
2.年齢別に見る体力・運動能力の年次推移
3.体力・運動能力を前回の東京五輪開催時と比較
4.幼児期の外遊びと小学生の運動・体力

令和2年度(2020年度)

新型コロナの影響か?「令和2年度 体力・運動能力調査」は、わずかに低下傾向

令和3年度(2021年度)

1.小中学生の体力が低下しているのは新型コロナの影響か?
2.運動時間が減りスクリーンタイムの増加が顕著

令和3年度(2021年度)

①体力・運動能力の加齢に伴う変化
②青少年6~19歳の体力・運動能力
③成年20〜64歳と高齢者65~79歳の体力・運動能力
④10年間の調査結果の概観

令和4年度(2022年度)

①子どもの体力が3年連続低下
②中学女子以外は肥満の割合が過去最高
③体育が楽しい中学生の割合が過去最高

令和4年度(2022年度)

①体力・運動能力の加齢に伴う変化(全年齢)
②6~19歳の体力・運動能力
③20~79歳の体力・運動能力
④運動・スポーツ実施状況と体力、健康状態、生活充実度などとの関係性

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