スポーツ栄養WEB 栄養で元気になる!

SNDJ志保子塾2022 ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー
一般社団法人日本スポーツ栄養協会 SNDJ公式情報サイト
ニュース・トピックス

勤務・通勤時間の長さと食事の質の低下に有意な関連 解決策はテレワーク?

2022年07月12日

仕事の勤務時間や通勤時間が長いほど、外食や中食が有意に増え、野菜や果物の摂取量が有意に減るという縦断研究の結果が、オーストラリアから報告された。つまり、「時間不足」が健康的な食生活の阻害要因であることがわかった。論文の著者らは、時間不足が長期的には健康の悪化につながる可能性があり、勤務時間を柔軟に設定することや在宅勤務の推進が、解決策になるのではないかと述べている。

勤務・通勤時間の長さと食事の質の低下に有意な関連 解決策はテレワーク?

週に55時間以上の長時間労働で、年に75万人が死亡

昨年、世界保健機関(WHO)と国際労働機関(ILO)は、2016年の1年間に労働が関係する傷病のために、世界で190万人が死亡したと推計されるとの報告を発表した。その最大のリスク因子は長時間労働であって、55時間以上の長時間労働で、約4割に相当する75万人の死亡に影響したという。また、オーストラリアでは成人の約4割が「時間不足」を感じていて、仕事が主要な原因と報告されている。勤務先での労働時間に加え、都市への人口の集中により、勤務地から遠く離れた郊外に居住する人が増え、通勤時間が伸びていることも、このような状況に影響を及ぼしている。

時間不足の生活が、未加工食品の支出の減少や外食への支出の増加と関連があることが複数報告されている。ただしそれらの報告は横断研究であり、因果関係は明らかにされていない。それに対して今回紹介する研究では、オーストラリアで実施されている大規模な縦断研究のデータを用いて、それらの関係を解析しており、エビデンスとしてより強力と言える。

オーストラリアで行われている縦断調査のデータを解析

この研究には、オーストラリア全土から、多段サンプリング後に無作為に抽出された世帯を対象に、収入や労働状況などを追跡調査している大規模調査(Household, Income and Labour Dynamics in Australia;HILDA)のデータを用いた。HILDAは2001年から毎年実施されており、2010年までは7,000世帯、1万3,000人以上、2011年以降は9,000世帯、1万7,000人以上が調査されている。この中から、食習慣に関する調査が行われた、2007年、2009年、2013年、2017年のデータが、本研究の解析対象とされた。

自己申告による食習慣、勤務・通勤時間などを評価

食習慣については、自己申告に基づいて、朝食・昼食・夕食をレストランやカフェ、ファーストフードでの食事または購入で済ます頻度と、果物・野菜の1日の平均摂取量を把握した。また、勤務時間と通勤時間も自己申告から把握した。

その他の交絡因子として、年齢、性別、教育歴、勤務形態(シフト勤務か否か)、世帯構成、居住地域の社会経済状況(socioeconomic status;SES)を評価し、解析の際の調整因子とした。

就労状況の厳しさが食生活の質の低下につながっている

勤務時間や通勤時間と食習慣の関連

解析の結果、食習慣に影響を及ぼし得る前記の因子を調整後にも、勤務時間が長いほど家庭の外での食品購入頻度が高くなるという有意な関係があることがわかった(発生率比〈incidence rate ratio;IRR〉1.008〈95%CI;1.007~1.009〉)。同様に、通勤時間が長いほど、家庭外での食品購入頻度が高かった(IRR1.020〈1.017~1.022〉)。勤務時間と通勤時間を合計して解析すると、IRRは1.008(1.007~1.009)となった。

朝食・昼食・夕食の3食を個別に比較検討すると、勤務時間や通勤時間が長くなることの影響は、昼食(IRR1.007)や夕食(IRR1.007)よりも、朝食(IRR1.043)により強く表れていた。

勤務時間や通勤時間と野菜や果物の摂取量の関連

勤務時間が長いほど、果物(β=-0.002〈95%CI;-0.003~-0.001〉)や、野菜(β=-0.002〈-0.003~-0.001〉)の1日あたりの摂取量が少なかった。また、通勤時間が長いことも、果物(β=-0.006〈-0.009~-0.003〉)や、野菜(β=-0.009〈-0.012~-0.005)の1日あたりの摂取量が少ないことと関連していた。勤務時間と通勤時間を合計して解析すると、β値は果物に関して-0.002、野菜に関しても-0.002であり、いずれも有意だった。

この結果から論文の結論では、「勤務時間や通勤時間の長さが、より頻繁な家庭外の食料購入に関連し、食生活の質の低下を招いていることが示された。また、この問題の解決策として、「労働時間を柔軟に調整できる環境をつくることや、在宅勤務を増やすことが役に立つかもしれない」と述べられている。

文献情報

原題のタイトルは、「Influence of work hours and commute time on food practices: a longitudinal analysis of the Household, Income and Labour Dynamics in Australia Survey」。〔BMJ Open. 2022 May 6;12(5):e056212〕
原文はこちら(BMJ Publishing Group)

この記事のURLとタイトルをコピーする

新型コロナウイルスに関する記事

栄養・食生活

アスリート・指導者・部活動・スポーツ関係者

運動・エクササイズ

もっと見る

志保子塾2022後期「ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー」

関連記事

スポーツ栄養Web編集部
facebook
Twitter
LINE
ニュース・トピックス
SNDJクラブ会員登録
SNDJクラブ会員登録

スポーツ栄養の情報を得たい方、関心のある方はどなたでも無料でご登録いただけます。下記よりご登録ください!

SNDJメンバー登録
SNDJメンバー登録

公認スポーツ栄養士・管理栄養士・栄養士向けのスキルアップセミナーや交流会の開催、専門情報の共有、お仕事相談などを行います。下記よりご登録ください!

元気”いなり”プロジェクト
元気”いなり”プロジェクト
日本スポーツ協会「サプリメントの認識と利用に関するアンケート調査」にご協力ください
おすすめ記事
スポーツ栄養・栄養サポート関連書籍のデータベース
セミナー・イベント情報
このページのトップへ