今回は夏にぴったりの「塩いなり」を食べながら、横浜FCの守備の要である南 雄太 選手と田代 真一 選手に、パフォーマンスを上げるための食生活についてインタビューしました。インタビュアは日頃から選手たちの栄養サポートを行っている株式会社LEOCの公認スポーツ栄養士・国原千佳さんです。
南 雄太 選手 おいなりさん食べまーす!
――(国原氏、以下同)「塩いなり」はお醤油を使わず、塩と砂糖とみりんで味付けしてあるので、あっさりしてて食べやすいですよ。隠し味に甘さにコクを出すはちみつや、塩と相性のよい塩麹を使用して全体の味を整えています。酢飯には刻んだ大葉とみょうがと白ごまを混ぜ込んでいて、食欲の落ちる夏場にぴったりなんです
南 美味しいです。ほんとに!
甘い料理が基本的に苦手で、塩っぱいものか酸っぱいものが好きなんですよ。今日の「塩いなり」は、普通のおいなりさんよりも甘さ控えめですごく美味しいです。
ーーさて、南さんは現役22年ということで、様々な経験をされ、栄養の知識もお持ちだと思います。毎日の食事に対して、こだわっていることはありますか?
南 太らないよう気をつけていることですかね。
――なるほど。では、ふだんの食事の様子から教えてください
南 午後練のときはLEOC食堂で食べることが多いですが、午前の練習の場合は、家で食べています。うちの嫁がバランス良く、品数も多めに出すようにしてくれています。この間もLEOCの栄養講習を受けてきて「もう一品増やさなきゃいけない」って、かなりがんばってるみたい。
ーー息子さんも横浜FCのジュニアユースに所属しているんですよね。若手選手とベテラン選手が家にいるとメニュー考えるのはたいへんかもしれないですね
南 そうですね~。でも息子もチーム(LEOC食堂)で食べてくることが多いんですよ。
ーーははは、そうでした!ジュニアユースの練習後の食事は、私たちがお弁当を提供してますね。息子さんには、家庭で食事面のアドバイスをしますか?
南 息子は中学3年の育ちざかりなので、たくさん食べるように言っています。そう言っても全然食べないんですけど。基本的に好き嫌いなく何でも食べますね。そう育てました。
ーー南選手自身は、好き嫌いありましたっけ?
南 ゆで卵が好きじゃないんですよ(笑)まったく食べられないわけではないのですが好んで食べないです。ゆで卵のモサモサしている感じが苦手で。ラーメンに入っているような半熟卵は大好きですけど、固いゆで卵はちょっと......。
あと里芋! 昔から里芋だけは克服できませんでした。昔はひじきも嫌いだったけど、食べられるようになった。というか、昔は野菜全般が嫌いでした。ナスも本当にだめでしたが、今は食べられます。
ーーゆで卵でなくても、他のたんぱく質源が食べられれば良いですし、里芋も他のイモ類が食べられるなら、栄養学的には問題ありません。まあ、嫌いなものしか提供されなかったときに、食べられるものがなくなってしまうと栄養バランスを整えられなくなるので、"嫌いで食べられないもの"は無い方が良いですよね。でも、なぜ克服できたのか思い当たる理由はありますか?
南 わかりません。自然と食べられるようになりました。高校のときに一人暮らししてから結構いろいろなものが食べられるようになったんです。
ー一ひとり暮らしだと好きなものばかり食べそうな気がするけど
南 食べなきゃなと思って、食べてみたら意外と大丈夫だってことがわかった。味覚が変わったのかな。
ーー食べなきゃなと思ったのは、栄養のことを勉強したからですか?
南 そういうわけではありません。実家にいるとある程度バランス考えて出してくれるけれど、高校では寮ではなくて完全に一人暮らしでしたからね。「野菜は摂らなきゃ」というのが念頭にあって、結構気にして食べるようになったんです。
ーー自宅で暮らしていた中学生までの間に、お家の方が栄養の基本のようなことを身に付けさせてくれたんですね。高校時代は自炊していたんですか?
南 高校一年のときはやっていましたが途中でやめました。やはり大変だったので(笑) 当時の家の近くには定食屋さんとか知り合いのお店が結構あったので、そこに行って食べてました。
ーーアスリートとして食事をどう捉えていますか?
南 最も必要な要素だと思います。アスリートに必要な三大要素「トレーニング」「食事」「休息」のひとつ。とても大事というのは理解しています。
ーーパフォーマンスを上げるために行っていることはありますか?
南 生活全般を整えていますね。生活から、食事から、ケアから、すべてがパフォーマンスにつながると思っています。間食しないわけではないですけど、食べる時間は考えて食べています。
サプリメントはプロテインを少し使っているぐらいかな。
ーープロテインは摂りすぎると肝臓や腎臓に負担をかけることになりますので注意してくださいね
南 プロテインは毎日というわけではなく、筋トレしたあとに適量摂るようにしています。国原さんがうるさいから(笑)
ーー通常の全体練習が終わって食事まで結構時間があるじゃないですか。練習が終わってからいったん食堂に来て、バナナと牛乳とか補食を摂ってから筋トレに行くといいかもしれません。適度にエネルギー補給ができますから
南 わかりました!
ーー外食するときに気をつけていることはありますか?
南 ラーメンやファストフードは普段は食べないようにしています。食べるならオフの日。オフはあまり食事のことは気にしないようにしています。あまり気にしすぎると疲れてしまうので。それこそ、オフにはファストフードも食べます。ハンバーガー2個とポテトとか。飲み物はコーヒーかオレンジジュース。
ーーストレスにならないよう、食事にメリハリをつけているのですね。ファストフードを食べた日の前後はどうしてますか?
南 一応、油ものを減らしたり、野菜を多く摂ったりくらいはしています。
ーー良いですね!摂り過ぎたもの・足りなかったものは、前後の食事で調整しましょう。練習中や試合中、栄養が関係しているのかも?と思うパフォーマンスの課題はありましたか?
南 昨年は試合中によくつってましたが、最近なくなりました。
ーー何か対策をしたのですか?
南 今シーズンから経口補水液をたくさん飲むようになりました。
ーー経口補水液は本来、脱水状態になったときに使うものですけど?
南 脱水状態にあるだろう試合後にも飲みますけど、僕の場合は試合前にも飲みます。終わったあとにいくら飲んでもだめですよ。試合中に足がつるんですから。試合の前日くらいから飲みます。
あとは試合前にゼリー飲料を食べるようになりました。すべて足がつらないためのものです。そしたら開幕戦でつったんですけど、、びっくりしました。「やべぇ、めっちゃつってる」って(笑)だから自分の中で、もはや水分が原因ではないのではないかと感じてます。
ーー横浜より気温の高い場所での試合だと、普段どおりの水分補給では不足する可能性があります。また、緊張による発汗もありますから、それに対する考慮も必要です。やはり、開幕戦は緊張してたのでは? スポーツドリンクは飲みますか?
南 飲んでますよ、ちゃんと。それにプラスして経口補水液も飲んでますから、飲みすぎて試合前はトイレばかり行ってます(笑) ゼリーは試合前のアップが終わって試合の直前に摂ってますね。
ーー試合前にトイレに行くくらいなら、量は十分飲めてますね
ーープロになったのは何歳から?
南 18歳です。もう22年です。2年に1度、栄養講習を受けたとしてもう11回ですから、栄養の基本的な知識はあると思ってますし、大抵のことは試しました。流行りで糖質制限も一応やりましたが、思いっきりパフォーマンスが下がったのでやめました(笑)
ーー年齢的に気をつけていることは?
南 太らないようにすることですね。常に体重と体脂肪は気にしています。自分はかなり気を使っている方だと思いますよ。
ーー具体的にどんなことをしていますか?
南 練習前の準備と終わったあとのケアはかなり入念にやるようになりました。若い頃は15分~20分前にグラウンドにクラブハウスに来て着替えて練習という感じでしたが、今は2時間半くらい前にはクラブハウスにいます。
アイシングなんかも嫌いでしたけど、変わりましたね! 特に怪我すると変わりますね。
ーー横浜FCはカズさん(三浦知良選手)のような方も在籍しています。現役を長く続けるために工夫していることはありますか?
南 あまり考えてないです、先のことは。一日一日、一年一年の積み重ねと思ってるので。
太るとケガをしなすくなる、この年齢になるとケガをするといろいろなことが厳しくなる、そうやっていろいろ関連づけて考えていくと、やっぱり食事は大事だなってことがわかってきます。じゃあ太らないためにどういうふうに食事を摂ればいいのか?とか、そのへんは結構考えています。
僕の体脂肪率はだいたい8~9%なんですけど、25~26歳で柏レイソルにいた頃、12%くらいにまで一気に上がったことがあったんです。J1リーグは中断期間があるじゃないですか。約1カ月空くので、休暇をとってハワイへ行きました。10日くらいだから、別に動かなくてもまたトレーニングすれば元に戻るだろうと思って、何も気にせずハワイで遊んで食べての生活をしていたら、ものすごく太ってしまった。体重が増えて体脂肪率も12%くらいになっていました。その直後、膝をケガしたんですよ。
そこがターニングポイントになって、食事を気にするようになりました。
ーーケガは残念だけれど、そのときに気づくことができてよかったかもしれませんね
南 そうですね。柏レイソルにいた頃、栄養についてものすごい知識を持った同僚がいて、教えてもらったことがたくさんあります。長く現役をやっている人で太り気味の人はやっぱり少ないです。
――これからもしっかりサポートしますので、がんばってください!
南 雄太(みなみ ゆうた)
――(国原氏、以下同)今日のおいなりさん、どうですか?
田代 真一 選手 はい、おいしいです!
――好き嫌いは?
田代 ないです。小さい頃から何でも食べました。
ーーそれはとても良いことです。毎日の食事に対して、決まり事やこだわりっていることはありますか?
田代 細かい決まり事はありませんが、しっかり食べることですね!
ーー家では奥さんが気をつけてくれている?
田代 はい。試合2日前になるとパワーが出そうなものを作ってくれます。生姜焼きとか肉料理やうなぎとか。でも、それ以外は特別意識するような食事はしていません(笑)
ーー豚肉やうなぎは糖質をエネルギーに変えるときに必要なビタミンB1が含まれているから良いですね。バランス的にはどうですか?ちゃんと主食、主菜、汁物、副菜、フルーツ・乳製品があって......というメニュー?
田代 それはLEOC食堂でちゃんと出してくれているから安心です。
ーー食堂で食べるのは週に5、6回。その他の食事でも栄養管理は必要ですからね!
田代 わかってますよ(笑)
ーーアスリートの立場として、食事のことをどう思っていますか?
田代 自分の身体は食べた物からできているので、食事はすごく大事だと思っています。
特別なことはしていません。きっちり休んでしっかり食べてます!
ーーパフォーマンスを上げるために、なにか行っていることはありますか。
田代 試合前はしっかり寝て身体をきっちり休めるとか、当たり前のこと以外は特にやっていません。試合の2日前からはきっちり調整しますが、それ以外はマジで何もしていないです......(笑)
ーーでも食堂での食事を見ていると、普段から割としっかり摂れていますよね。独身の頃の食事はどうしていましたか?
田代 寮だったけれど、その時は定食屋へ行って食べていました。いまは、焼き肉とか寿司屋へよく行きますけど、基本的に好きなものを食べていますね。若い頃の方がちゃんとしてたかもしれません。
ーー自炊は?
田代 したことないです。
ーー栄養について勉強したことはありますか?
田代 本格的に勉強したことはないですが、チームで行っている栄養講習は出たことがあるので基本はわかっているつもりです。どこのチームでもやっているので、もう聞き飽きた!(笑)
ーー聞き飽きた!っていわれるくらい繰り返さないと、皆さん忘れるでしょ?分かっててもやらない、とか。とはいえ、チーム全体でレクチャーを受けても、自分ごとにはしにくいですよね。なので、今み たいに個別に状況に合わせた栄養サポートを受けるのがよいやり方だと思います。年齢が上がるにつれて体が変わってきたような実感は?
田代 今のところ感じないですね。ケガもあまりしたことがないし。ただ、若い頃はあまり睡眠を意識したことはなかったけれど、今はきちんとした睡眠を心がけています。
ーー冒頭で仰っていたように、"しっかり食べている"ということが年齢の影響を感じない、ケガをしないことにも繋がっているように思います。ありがとうございました!
田代 真一(たしろ まさかず)
猛暑の中、厳しい練習を終え、LEOC食堂で昼食を摂る選手、スタッフの皆さん
※液体塩麹がない場合は、塩小さじ1/3で代替できます。
※岩塩等ミネラル分が多い塩を使用する場合には、塩の量を調整してください。
※使用する出汁により塩分が含まれているもの場合には、塩の量を調整してください。
みすずコーポレーションのWEBサイトでは、美味しくて手軽で楽しい!アレンジいなり寿司レシピが紹介されています。ぜひチャレンジしてみてください!
北海道から沖縄まで2,200ヵ所以上の施設で食事を提供し、オフィス・工場の社員食堂、寮、学校、スポーツ施設などのB&I分野(ビジネス&インダストリー)と老人ホーム、病院、保育園、障がい者施設などのHC分野(ヘルスケア)の両マーケットで、バランス良くさまざまな施設に食事サービスを提供しています。
食事で様々のスポーツチームをサポートしているほか、Jリーグチーム「横浜FC」、フットサルチーム「エスポラーダ北海道」のスポンサー活動、また、トップアスリートをはじめ、アスリートのご家族、 スポーツ振興団体、スポーツ指導者などを対象に、スポーツ栄養に関する専門知識を教える各種セミナーも開催しています。
明治35年の創業から117年。凍り豆腐や味付けいなり揚げなどの大豆加工製品のレトルト・チルド商品製造・販売を行う長野県長野市の老舗メーカー。製造工程で出た排水処理からの副生成物で発電を行ったり、業務用肥料の原料として有効利用するなど、環境にやさしい技術を取り入れ、資源循環型生産を行っています。近年では、Inari-sushiは、“日本の元祖ファストフード”として、sushiと並び人気が広まり、欧米、アジア、アフリカなど、海外への輸出も増加中。また、毎月17日は「いなりの日」として記念日登録しており、普及活動も行っています。