4.トップアスリートの食事「夕食」
ある日の夕食
夕食①
- 藤本家特製スパイスカレー(ルー不使用、自家製発酵調味料とスパイス、野菜の水分で作る肉なし無水カレーにグリル野菜とゆで卵、ナッツをトッピングしています。ご飯は雑穀米とオートミールを混ぜたご飯です。)
- いちごサラダ(いちご、葉物野菜、きゅうり、人参、味付けは塩昆布とゴマとオリーブオイルとレモン汁でシンプルに仕上げました。)
- 甘酒ヨーグルト(ギリシャヨーグルト、自家製甘酒、蜂蜜)
- キウイフルーツ
- オレンジジュース
- 水
- 高カカオチョコレート
夕食②
- 具沢山せんべい汁(日本から持参した、せんべい汁用の煎餅と、鶏肉、人参、ねぎ、さつまいも、きのこ、豆腐等を入れて作りました。)
- アボカドサラダ(アボカド、葉物野菜、きゅうり、トマト、カッテージチーズ、フライドオニオン、味付けは、ごま+塩コショウ+バルサミコ酢)
- 甘酒ヨーグルト(ギリシャヨーグルト、自家製甘酒、蜂蜜)
- キウイフルーツ
- オレンジジュース
- 水
- 高カカオチョコレート
怜央選手:練習は夜の18時か19時から。夕食は21時すぎくらいから食べることが多いです。
鈴木理事長:夕食①の「優ちゃんカレー」の紹介をお願いします!
優さん:わが家のカレーは基本的にルーもお肉も使わないで作ります。野菜をたくさん使って、食感からもお腹を充たせるような形で盛りつけを考えています。ご飯は雑穀米のご飯にオートミールを半々で混ぜています。
鈴木理事長:雑穀米やオートミールをたくさん使うとお腹が緩くなる人もいると思うんだけど、怜央の場合は逆なんですよね。
優さん:ドイツは雑穀やオートミールの良いものが安く手に入るので、いろいろ試した上でチョイスしたものを使っています。
鈴木理事長:「優のカレーほど美味しいものはない!」って、怜央がいつも言っているの。肉を使わないカレーって想像がつかないから、レシピが知りたいよね。雑穀やオートミールを入れることで、物足らなさを膨らませて、美味しさと食べごたえもあるんだけど、栄養価は高く、カロリーは落としてというのが、優ちゃんが作っているメニューのポイントだと思います。
「優さんのカレー」レシピを公開中! 詳細はこちら ▶
優さん:練習時間が遅くなって食事を摂るのが21時半とか22時を過ぎる時は、米系をなくしてスープ系を摂るようにしています。夕食②は青森土産のせんべい汁用のせんべいを使って、野菜もりもりの具だくさんせんべい汁です。変わり種をメニューに入れると食卓が楽しくなる。そういうのも大事かなと思って。
鈴木理事長:夕食①も夕食②も食事はサラダが山盛りになっているけれど、野菜は日本とは全然違うもの?
優さん:日本はベビーリーフとかルッコラが、ちょっとの量でも結構な値段になりますが、こちらはそういう葉物が逆に安いので、よく使っています。基本的に色の濃い野菜を多く使うように心がけています。
おわりに
鈴木理事長:優ちゃんの料理を皆さんに見てもらって、何を言いたいかというと、こうやって優ちゃんの料理から美味しくいろんな栄養素を摂ることで怜央の身体を根本から支えているということ。そして、アスリートとして厳しいトレーニングに対してサプリメントを使いながら、いかにパフォーマンスを維持していくかということを知ってもらいたいのです。いくらサプリメントを駆使したとしても、それだけではだめ。やっぱり身体は自分の腸内で必要なものを必要なだけ吸収して、化学反応を行うのが原則。もちろん、優ちゃんくらい作れる人ばっかりじゃないですよ。だけど、「食の支え」っていうのが選手には非常に重要だということを知っていただきたいと思います。
怜央選手:僕はケガをしてから気づいたんですが、ただただ強くなりたいから、上手くなりたいからトレーニングをするだけでは、上手くも強くもならないことが、自分の身体をもって感じました。パフォーマンスを最大限まで上げるために、栄養をどのタイミングで、何をどれだけ摂っていくか、それにプラスして、自分の最大限のパフォーマンスのためのトレーニングを行う。この2つの柱からアスリートは作られていく。
僕はありがたいことに、妻の料理によってよいコンディションを保っているなと思っていますし、どうしても補えない部分を栄養指導やサプリメントで補い、自分の思い描いているようなパフォーマンスでプレーできていることに本当に感謝しています。
日本ではなく、海外に住みながら世界と闘っていくということを選んだのも、パリでメダルを取る目標のためですし、それを妻と二人三脚で実現していきたいなと思っています。パリ五輪を迎えるときは、僕は40歳という未知の領域。20代の自分では想像もしていなかった次元に突入します。40歳の時に、東京五輪の時の自分よりはるかに走れる、はるかに輝いた藤本怜央を皆さんにお見せしたいなと考えていますので、応援よろしくお願いいたします!
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藤本選手のプロフィール
藤本 怜央(ふじもと れお)
静岡県出身。SUS所属。車いすバスケットボール選手。ドイツ・ブンデスリーガ「RSVランディル(RSV Lahn-Dill)」、日本では「宮城MAX」、車いすバスケットボール男子日本代表選手として活躍中。
小学3年生の春、交通事故で右足の膝下を失う。義足を履き、小学時代は主にサッカー、中・高校時代はバスケットボールに熱中。高校の終わりに出会った車いすバスケットに魅せられ、「立ってやるより、スピーディーで面白いバスケットができる」と思い車いすバスケットボールに転向。
日本選手権11連覇。パラリンピック5大会連続出場。東京2020パラリンピックではチームの大黒柱として、銀メダル獲得に貢献。2021年シーズンからドイツにRSVランディルに所属し、ドイツブンデスリーガ、ユーロリーグでの優勝を目指す。
◆こちらで「RSV Lahn-Dill」の試合が視聴できます
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主な実績
- 東京2020パラリンピック2位
- 2019アジアオセアニアチャンピョンシップ4位
- 2019三菱電機ワールドチャレンジカップ3位
- 2019天皇杯第47回日本車いすバスケットボール選手権大会優勝(11連覇)
- パラリンピック5大会連続出場(アテネ・北京・ロンドン・リオデジャネイロ・東京)