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サプリに依存しない「栄養指導による介入」のフレイル改善効果を検証 システマティックレビュー

フレイルに対する栄養介入では、アミノ酸などのサプリメントの上乗せ効果が多く検討されてきている。では、サプリに依存せず「栄養指導」としてのフレイル改善効果はどうだろうか? そのような視点で行ったシステマティックレビューの結果が「The Journal of nutrition, health and aging」に掲載された。国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の小山達也氏らによるもので、個別化された栄養指導を専門職者がより長期にわたって行うことの有用性が示唆されている。

サプリに依存しない「栄養指導による介入」のフレイル改善効果を検証 システマティックレビュー

サプリの効果ではなく、栄養指導の効果をシステマティックレビューで検証

世界的な高齢化の進展により、フレイル対策は各国で緊急課題として位置付けられ、その予防・改善戦略としてこれまで、身体活動、栄養、および薬剤等による介入の有用性が検討されてきている。栄養介入としては主に、筋肉の合成にかかわるタンパク質やアミノ酸、または骨代謝にかかわるビタミンDなど、特定の栄養素をサプリメントとして強化することの意義が注目されている。既にそれらの介入研究の報告は多数あり、システマティックレビューの報告も存在する。

しかし、慢性疾患の予防・治療のための栄養介入としては日々の食習慣の改善が重要であり、実際、種々の生活習慣病の臨床では、まず食習慣の偏りを是正する行動変容を主眼とした介入が行われることが多い。フレイルも高齢者に好発する慢性的な経過をとる病態であり、栄養指導に関しても、いわゆる健康的な食行動への是正が有効と考えられる。しかし、そのような介入の有用性を包括的に検討したシステマティックレビューは、まだ行われていない。

小山氏らは以上を背景として、システマティックレビューとメタ解析のための優先報告項目(PRISMA)ガイドラインに準拠し、以下の検討を行った。

文献検索について

文献検索は、2025年4月までにMedline/PubMedに収載された論文を対象に実施した。包括基準は、地域在住の高齢者(65歳以上の集団または60歳以上のフレイル該当者)を対象として栄養指導介入を実施し、フレイル関連の評価指標への影響を検討した無作為化比較試験(randomized controlled trial;RCT)であり、査読システムのあるジャーナルに英語または日本語で発表された論文とした。除外基準は、入院患者や施設居住者対象の研究、栄養介入指導ではなく特定の栄養素の強化・食事療法の処方・食事の提供を行った研究、査読システムのないジャーナルの論文や灰色文献、レビューやメタ解析論文、英語または日本語以外の論文など。

一次検索で211報がヒットし、2名の研究者がタイトルと要約に基づくスクリーニングを行い、34報を全文精査の対象とした。採否の意見の不一致は3人目の研究者との討議により解決した。最終的に11件の研究報告を適格と判断し解析対象とした。

抽出された研究報告は、フレイルの定義、評価されたアウトカムの種類、介入手法の多様性などの点で異質性が高かったため、メタ解析は適切でないと判断され、ナラティブ・シンセシスが行われた。

抽出された研究報告の特徴

11件の研究は、台湾で3件実施されており、その他、日本、中国、韓国、フランス、スペイン、オーストリア、フィンランド、ニュージーランドで各1件実施されていた。

多くの研究で、身体活動、認知機能トレーニング、社会参加などの多因子介入が行われており、栄養指導はその一つとして位置付けられていた。介入期間は短いもので12週、長いものでは8年であった。

介入に用いられていた栄養指導

介入に用いられた栄養指導は、11件中6件はバランスのとれた食事の促進を目的とし、3件はタンパク質摂取量の増加を促すものだった。7件はグループベースでの指導がとられ、6件の研究では個別面接によって行われていた(一部は両者を併用)。

介入の指導者は、4件の研究には栄養職者または栄養学の専門家が指導にあたったことが記されていたが、その他の研究報告は明確に記されていなかった。1回のセッションに充てた時間は、15分~3時間の間だった。

主な解析結果

11件の研究報告を総合した解析で、介入期間が短期(6カ月未満)の研究は結果に一貫性がなく、アウトカムに改善がみられたものとそうでないものがあった。

一方、介入期間が長期(6カ月以上)の研究は、改善したとの報告が多く認められた。とくに、トレーニングを受けた専門スタッフが指導を行った場合、および、対象者の特徴を考慮し個別に調整した介入を行った場合は、より一貫して好ましい変化を報告していた。

プロフェッショナルによる個別化された長期・多因子介入のエビデンスの強化を

これらの結果に基づき、論文には以下のような考察が述べられている。

まず、介入効果の一貫性が乏しいという点については、介入の手法や研究参加者のベースライン特性等の異質性を表している可能性が高いとしている。また、大半の研究は多因子への介入を行っており、栄養指導のみの効果を切り離して評価するのは困難なこと、栄養指導介入を行いながらも食事・栄養素摂取状況の変化をアウトカムとして評価している研究が限られていたことなどを指摘している。なお、後者の点については、高齢者集団では認知機能の低下等のために、対象者本人が食事摂取状況を定量的に把握することが難しい場合があることから、今後の研究に向けて簡便な評価指標の開発も必要ではないかと述べられている。

これらの考察のうえで論文の結論は、「栄養指導は高齢者のフレイルの予防や改善に有用であり、とくに長期的かつ個別化されたプログラムをプロフェッショナルなスタッフが指導し、加えて身体的介入を組み合わせることで、その効果はいっそう顕著になる。今後は、標準化されたフレイル判定基準や信頼性の高い食事評価法、および多領域の専門家によるアプローチを採用した研究によりエビデンスを蓄積し、持続可能な戦略を策定する必要がある」と総括されている。

文献情報

原題のタイトルは、「Effects of nutritional guidance on frailty in older adults: A systematic review」。〔J Nutr Health Aging. 2026 Jan;30(1):100756〕
原文はこちら(Elsevier)

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