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日本人アスリート向けに開発された食品摂取頻度調査票(FFQ)は中学生にも適用可能

日本人アスリート向けに特化して開発された食品摂取頻度調査票(FFQ)の有用性を支持する新たなエビデンスが報告された。中学生アスリートにもこのFFQを適用可能であるという。武蔵丘短期大学健康生活学科健康栄養専攻の長島洋介氏らの研究によるもので、「Physical Activity and Nutrition」に論文が掲載された。

日本人アスリート向けに開発された食品摂取頻度調査票(FFQ)は中学生にも適用可能

日本人ジュニア選手の食事・栄養素摂取量をFFQJAで把握できるか?

アスリートにとって適切な食事・栄養素摂取は、健康の維持・増進はもとよりパフォーマンスの最大化に重要であり、さらにジュニア期では成長・発達のためにも、より精緻なモニタリングに基づく調整が必要とされる。しかし、栄養素摂取量の精緻な調査を全アスリート対象に行うことは現実的でなく、より簡便な手法として食物摂取頻度調査票(Food Frequency Questionnaire;FFQ)を用いた評価が行われている。ただし、FFQは調査対象集団ごとに作成するか妥当性を検討する必要がある。アスリートでは、よく摂取する食品や1回の摂取量が非アスリートと異なる可能性があり、スポーツ栄養領域ではアスリートに特化したFFQが開発されてきている。

我が国でも、日本人の食文化を考慮に入れたアスリート対象のFFQであるFFQJA(FFQ for Japanese athletesの略)が2021年に開発された。このFFQJAは日本人の高校生以上のアスリートでは妥当性が検証されているが、日本人ジュニアアスリートにも適用可能かどうかは明らかでなかった。長島氏らは今回、中学生サッカー選手を対象に、詳細な食事記録およびFFQJAにより栄養素摂取量を評価し、FFQJAの妥当性を検討した。

食事記録とFFQJAによる食品・栄養素摂取量の評価結果の異同を検討

この研究では、埼玉県内のサッカークラブを通じて募集された13~15歳の中学生サッカー選手が対象とされた。研究参加の適格条件として、過去1年以上にわたって週3~4日以上のトレーニングを行い、継続的に試合に参加していることとされていた。113人がその条件を満たし研究に参加したが、食事記録またはFFQJAの回答の不備などにより49人が除外され、64人のデータが解析に用いられた。

食事記録は、平日の練習日、平日の非練習日、および休日の練習日という非連続の3日に(それぞれ3日前後の間隔を設定)取得された。参加者には食事記録ノートやスケールを配布し、摂取したすべての飲食物の種類と量(重量、サイズ)を記録してもらうとともに、それらの写真、および製品ラベル付きの食品はその写真も撮影し提出してもらい、管理栄養士が摂取栄養素量を算出した。

一方、FFQJAによる評価は、最後の食事記録実施日から1週間以内に行われ、過去2週間の食品摂取頻度を把握したうえで摂取栄養素量を算出した。

栄養素別摂取量、食品群別摂取量ともに妥当性が示される

解析対象者64人の年齢は中央値13歳(四分位範囲12~14)、BMIは同18.5kg/m2(17.0~20.1)、体脂肪率10.1%(8.1~13.0)だった。

論文には、食事記録とFFQJAによる栄養素別摂取量と食品群別摂取量の相関(エネルギー摂取量で調整前と調整後)、それらの摂取量の乖離の程度、級内相関(ICC)、および、摂取量の四分位数に基づき4群に分類した場合の誤分類の発生率が示されている。それらの一部を抜粋して紹介する。

栄養素摂取量のFFQJAによる評価の妥当性

エネルギー摂取量の中央値は、食事記録では3,083kcal、FFQJAでは2,906kcalで相関係数(r)は0.483、乖離の中央値は-109.6kcal(-3.4%)であり、ICCは0.417だった。

主要栄養素のうちタンパク質の相関は、エネルギー摂取量による調整前がr=0.433、調整後は同0.392、乖離の中央値は2.0%、ICC0.469だった。同様に、脂質はエネルギー調整前r=0.472、調整後0.476、乖離の程度-10.4%、ICC0.370、炭水化物は調整前r=0.522、調整後0.422、乖離-7.1%、ICC0.460だった。

微量栄養素については、エネルギー調整後の相関係数が0.340~0.722の範囲、乖離の程度は-23.7~39.2%の範囲、ICCは0.118~0.719の範囲だった。

すべての栄養素摂取量の中央値をみると、エネルギー調整後の相関係数は0.477、乖離の程度は-7.2%、ICCは0.469であり、全体としてFFQJAは食事記録よりも栄養素摂取量を過小評価する傾向がみられた。乖離が最も大きかったのはレチノールでありFFQJAが39.2%高く、一方で食物繊維(-27.7%)や鉄(-23.7%)は負の乖離が大きかった。

食品群別摂取量のFFQJAによる評価の妥当性

次に、食品群別の摂取量の評価結果を比較すると、相関係数はエネルギー摂取量による調整前がr=-0.077(砂糖)~0.684(乳製品)の範囲であり、中央値は0.386だった。エネルギー調整後はr=-0.122(砂糖)~0.744(乳製品)の範囲で中央値は0.384だった。

全体として、摂取量の乖離の中央値は-17.6%、ICCは0.214であり、FFQJAは食事記録よりも食品摂取量を過小評価する傾向がみられた。評価した17の食品群のうち、菓子(124.8%)や砂糖(-100.4%)、ナッツ・種子(-100.0%)、海藻(-91.7%)、果物(69.0%)などの乖離が大きく、魚(-0.3%)、乳製品(1.5%)、肉(-5.5%)、油脂(7.9%)、穀物(-9.4%)などは乖離が小さかった。

四分位数に基づき4群に分類した場合の誤分類の発生率

続いて、四分位数に基づき4群に分類した場合の誤分類の発生状況だが、まず、栄養素摂取量については重み付きカッパ係数(κw)の中央値が0.350(0.200〈レチノール〉~0.525〈鉄〉)だった。全体として、同一四分位群に分類される割合の中央値が41%であり、隣接する四分位群(例えば食事記録に基づく第2四分位群との比較でFFQJAに基づく分類の第1~3四分位群)までを含めるとその割合の中央値は83%となった。反対に、第1四分位群が第4四分位群(またはその逆)に分類されてしまうという誤分類の割合は中央値3%であった。

同様に、食品群別摂取量の検討では、κwの中央値が0.275(-0.055〈砂糖〉~0.535〈乳製品〉)であり、同一四分位群に分類される割合の中央値は34%、隣接する四分位群までを含めると77%、誤分類の割合は中央値6%であった。

FFQJAは中学生アスリートの栄養素・食品摂取量のスクリーニングツールになり得る

著者らは、本研究の解析対象が一つのサッカークラブの所属選手のみであること、FFQJAによる評価を食事記録最終日の1週間以内に行っていたため、記憶の影響がバイアスとなっている可能性があることなどの限界点を挙げ、追試の必要性を述べている。そのうえで、「FFQJAの中学生アスリートにおける妥当性は、高校生以上のアスリートにおける妥当性と同等であることが明らかになった。一部の栄養素や食品群については過小または過大評価する傾向があることに注意を要するものの、食事摂取量の適切さのスクリーニングや栄養指導または研究目的での使用に適したツールと言える」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Food frequency questionnaire for Japanese athletes: validation with junior high school athletes」。〔Phys Act Nutr. 2025 Dec;29(4):23-31〕
原文はこちら(Korean Society for Exercise Nutrition)

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