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フレイル予防・改善には多様な食生活が重要 海藻・大豆製品などの摂取に可能性 国内縦断研究で示唆

食生活の多様性の高さがフレイルの改善または非フレイル状態の維持につながることが、縦断研究の結果として示された。国際医療福祉大学保健医療学部理学療法学科の広瀬環氏、同大学医学部老年病学講座/介護老人保健施設マロニエ苑施設長の浦野友彦氏らの研究によるもので、「The Journal of Nutrition, Health and Aging」に論文が掲載された。食品群別の検討では、大豆製品の摂取頻度が高いこともフレイル改善に寄与している可能性が示されたという。

フレイル予防・改善には多様な食生活が重要 海藻・大豆製品などの摂取に可能性 国内縦断研究で示唆

食生活とフレイル改善との関連を縦断研究で検証

フレイルの対策において食生活の改善は、筋力トレーニングとともに不可欠な要素として位置づけられている。とくにタンパク質不足の回避とともに、食事の多様性の高さが重要と考えられており、食品摂取多様性スコア(Dietary Variety Score;DVS)が低いほど全身性のフレイルやオーラルフレイルまたはサルコペニアが多いことを示す、複数の研究結果が報告されている。ただし、それらの研究の多くは横断研究であり、DVSが高ければフレイルが改善するという縦断研究の知見はみられない。

フレイルはもともと、加齢に伴う心身の機能低下が不可逆的な状態になる前段階として位置づけられ、介入によって改善を期待できることが特徴であり、疾患啓発においてもその点が強調されている。よって、縦断研究によりそれを証明する意義は少なくない。

これを背景として浦野氏らは、栃木県内のある都市の地域在住高齢者を対象とする1年間の縦断研究を行い、食品摂取の多様性とフレイル状態との関連を検討した。

73歳または78歳の高齢者を1年間追跡

この研究は2023~24年にかけて実施された。2023年の調査に参加した73歳と78歳の高齢者のうち、2024年の調査にも参加した353人を解析対象とした。要介護認定を受けている高齢者は除外されている。

食品摂取の多様性はDVSによって評価した。DVSは、肉類、魚介類、卵、牛乳、大豆製品、緑黄色野菜、海藻類、いも類、果物、油脂類という10種類の食品群について、「ほぼ毎日食べる」場合は1点、それ以外は0点として、合計10点にスコア化して判定する。本研究では、4点以上を多様性が高い、3点以下を多様性が低いと定義した。

フレイルの状態は、基本チェックリストを用いて、8点以上をフレイル、4~7点をプレフレイル、3点以下は非フレイル(ロバスト)とした。

食品摂取多様性スコア(DVS)が高い人は翌年に非フレイル状態へ改善・維持されている

2023年と2024年の両時点において非フレイル(ロバスト)だった人、または2023年にはフレイル/プレフレイルだったものが2024年には非フレイルに改善していた人を「ロバスト/フレイル改善群」とすると、353人中184人(52.1%)が該当した。一方、両時点においてフレイルだった人、または2023年にロバスト/プレフレイルだったものが2024年にはフレイルとなっていた人を「フレイル持続/新規発症群」とすると、353人中64人(18.1%)が該当した。

食品摂取多様性スコア(DVS)で評価した10種類の食品群の摂取頻度を、2023年時点のロバスト/フレイル改善群とその他の群で比較すると、卵、大豆製品、海藻類、いも類、果物という5種類の食品群について有意差がみられ、いずれもロバスト/フレイル改善群の摂取頻度のほうが高かった。

なお、比較したこの2群において、性別の分布、BMI、独居者の割合、疾患有病率、社会活動の参加状況に有意差はなく、評価した項目の中で有意差が存在したのは、年齢の分布(78歳がロバスト/フレイル改善群29.9% vsその他群41.4%)と、趣味を有する割合(同順に59.8 vs 42.6%)のみだった。

ベースラインの高DVS者には、1年後のロバスト/フレイル改善群が有意に多い

次に、2023年時点のDVSの高低(4点以上/3点以下)で二分し、年齢、性別、BMI、独居、高血圧・脂質異常症・がんの既往、趣味や社会活動参加を調整のうえ、1年後(2024年)のフレイル状態との関連を検討。その結果、2023年時点での低DVS者に比較して高DVS者は、2024年にロバスト/フレイル改善群であることのオッズ比(OR)が2.32(95%CI;1.48~3.65)であり、ロバスト状態を維持していた人やプレイル/プレフレイルからロバストに改善した人が、有意に多いことが示された。

なお、2024年時点のDVSの高低も考慮した解析では、2023年と2024年の両時点で高DVSだった人においてのみ、2024年にロバスト/フレイル改善群であることのオッズ比が有意に高く(OR2.86〈1.69~4.84〉)、低DVSから高DVSに変化した人、および高DVSから低DVSに変化した人は、両時点ともに低DVSだった人と有意差がなかった。

大豆製品の摂取頻度の高さもロバスト維持/フレイル改善に関連

続いて、DVSで評価した10種類の食品群別に、2023年の摂取頻度の高低(ほぼ毎日摂取vs その他)と、1年後(2024年)にロバスト/フレイル改善群であることの関連を、前記同様の交絡因子を調整し検討した。その結果、大豆製品の摂取頻度が高い人は、1年後にロバスト/フレイル改善群であることのオッズ比が有意に高かった(OR1.83〈1.17~2.86〉)。

大豆製品、海藻などの“ちょい足し”がフレイル改善につながる可能性

著者らは、「従来の研究は主にフレイルの発症予防に焦点を当ててきたのとは異なり、本研究はフレイルの改善と食生活の関連を評価した点が特徴といえる。さらに、大豆製品や海藻、果物などの日本の食文化に根ざし、かつ、食卓に一品追加する“ちょい足し”という食行動の重要性が明らかになった。これらの知見は、人々の行動変容を引き起こすヒントやアドバイスとして活用できる」と述べている。

また、ロバスト/フレイル改善群とその他の群との間に、食事の多様性以外の指標(BMIや居住環境、疾患有病率など)に有意差がなかったことから、「食品摂取の多様性の高さが、健康状態にプラスの影響を及ぼすという考え方が裏付けられた」との考察も付け加えている。

論文の結論は、「食品の多様性を維持することが、フレイルの予防だけでなく回復にも寄与する可能性があることが示唆された。とくに大豆製品などの伝統的な日本食に加え、海藻や果物を“ちょい足し”して意識的に摂取することが、フレイル改善の実践的な戦略となると考えられる」と総括されている。

文献情報

原題のタイトルは、「Association between frailty recovery and dietary variety among community-dwelling older Japanese adults: a longitudinal study from 2023 to 2024」。〔J Nutr Health Aging. 2026 Jan 21;30(3):100783〕
原文はこちら(Elsevier)

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