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管理栄養士自身が生活習慣改善指導スキルを確認するチェックリストの開発と予備的検討

生活習慣病リスクを抱えている対象者への指導は、管理栄養士の主要な業務の一つだが、その指導スキルがどの程度のレベルに到達しているのか、気になることはないだろうか。そのような不安の解消の一助となるツールが開発された。自分自身のスキルを評価できるチェック表であり、その信頼性・妥当性が予備的研究で支持されたという。帝京大学大学院公衆衛生学研究科および栄養サポートネットワーク合同会社の安達美佐氏らによる研究によるもので、「日本公衆衛生雑誌」に論文が掲載された。

管理栄養士自身が生活習慣改善指導スキルを確認するチェックリストの開発と予備的検討

管理栄養士のスキルアップをサポートするツールが求められている

管理栄養士は、栄養指導はもちろんながら、運動、睡眠、禁煙など多岐にわたる介入を行う。これらは現在、栄養管理の国際的な基準である「Nutrition Care Process(NCP,栄養ケアプロセス)」に基づき行われるようになってきている。安達氏らは既に、NCPに基づく生活改善プログラム(structured individual-based lifestyle education;SILE)を提案し、その有用性を報告している(DOI: 10.1186/1471-2458-13-467DOI: 10.1017/S1368980016001920)。しかしその一方で、管理栄養士のスキル向上を目的としたツールは乏しい。

これを背景に同氏らは新たに、管理栄養士が指導スキルの自己達成度を評価しその向上を目指すための「スキルチェック表」を開発。さらにその信頼性や妥当性を予備的に検討した。

スキルチェック表の概要

スキルチェック表の開発は、安達氏を含む3人の管理栄養士が合議により開発した。

全体の構成は、「介入方針の決定(達成目標の設定)」関連が4項目、「栄養アセスメント(問題点の抽出)」関連が8項目、「栄養診断(優先する問題点の決定)」関連が4項目、「栄養介入(行動目標の設定)」関連が5項目、「栄養モニタリング・評価」関連が5項目で、計26項目。その他の身体計測値や生化学データ、既往歴、服薬状況などは基本的に把握すべきことであるため含めなかった。

このスキルチェック表の利用法は、日常業務において直近の数週間に担当した複数の対象者への生活習慣改善指導全体を念頭に、管理栄養士自身が各項目を「1. ほぼ全症例で実施」、「2. 約半数で実施」、「3. 実施例が少ない」の3段階で評価するというもの(詳細は論文参照〈DOI: 10.11236/jph.25-135〉)。

スキルチェック表の信頼性や妥当性を予備的に検討

開発されたチェック表の検証のための研究には、日常的に薬局に勤務し栄養管理業務に携わる薬局、医療機関、保健指導事業従事者で、栄養指導経験が5年未満の管理栄養士25名が参加。ベースライン時点と、その後2週間ごとに計7回の自己評価を行った。また、ベースライン時と12週間経過後の2時点で、異なる背景をもつ3症例を用いた栄養指導のロールプレイングを実施。その様子を撮影した動画を栄養指導の経験のある3名の管理栄養士(経験年数の平均15.7年)が評価した。

データ欠落のあった1名を除外し、24名を解析対象と、主要評価指標は『スキルチェック表』に基づく栄養スキルスコア(100点換算)とした。

栄養スキルスコアの再現性、内的一貫性

再現性は、別途実施した管理栄養士30人を対象とする調査のうち、1週間間隔で2回回答が得られた21人で検討され、ICCは0.986(95%CI: 0.973~0.999)であった。補助的に算出したSpearmanの順位相関係数も0.689(P<0.001)であった。また、ベースライン時点の栄養スキルのスコアは、Cronbachのαが0.907であり、高い内的一貫性が確認された。

構成概念妥当性

管理栄養士の経験年数別群(3年未満/3年以上)とスキル評価者群の3群で比較したところ、平均スコアは58.0、78.8、98.7で、経験年数が長い群ほど高い傾向がみられた。ただし、管理栄養士同士の群間差は有意ではなく、両群はいずれもスキル評価者群より有意に低かった-。

栄養管理スキルへの介入効果

ベースライン時点と12週間後を比較すると、自己評価・第三者評価のいずれでも栄養スキルスコアは有意に上昇した。もっとも、対照群を置かない前後比較であるため、この変化がツール使用そのものによる効果かどうかは今後の検証が必要である。第三者評価の評価者間信頼性(ICC(2,1))は、ベースライン0.512、最終時点0.758で、最終時点では良好な水準に達した。

アンケート調査による参加者の主観的評価

上記の客観的指標による検討のほかに、ベースライン時点と12週間後の最終時点に行ったアンケート調査の結果に基づき、研究参加者の主観的な評価の変化を検討した。

その結果、ベースライン調査では「ほとんどの症例でNCP(栄養ケアプロセス)に沿って実施している」と回答した割合が25.0%であったものが、最終調査では58.3%となっていた。また、「栄養相談で効果があったのか実感が持てない」との回答は、83.3%から45.8%となっていた。

今後は教育や研修での実装が課題

以上の結果に基づき著者らは、「我々が開発した本ツールは、管理栄養士の自己評価を通じて自らのスキル向上を支援する可能性が示された。研究参加者に薬局勤務者が多かったことは限界点ではあるが、薬局栄養士の役割は今後も拡大していくと見込まれており、本研究は先駆的試みと位置づけられる」と総括している。

なお、今後の展開としては、「医療機関に勤務している管理栄養士などへの適用や大規模研究による有効性の検証を通じて、教育・研修への実装を目指していきたい」と述べている。

文献情報

原典論文のタイトルは、「管理栄養士の生活習慣改善指導スキル向上を目指したスキルチェック表の開発と予備的検討」。〔日本公衆衛生雑誌 J-STAGE早期公開(2026年3月26日)〕
原文はこちら(J-STAGE)

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