クレアチングミで女子ビーチバレー選手のジャンプ力と敏捷性が向上 10週間の無作為化比較試験
クレアチン一水和物のグミの摂取による、女子ビーチバレーボール選手のパフォーマンスや体組成に対する影響を、無作為化比較試験で検討した結果を紹介す。ビーチバレーに要求されるジャンプ力や方向転換速度などの点で、有意な変化が示されたという。

ビーチバレーボール特有の要求に対する、クレアチンのグミ摂取の影響を検討
ビーチバレーボールはバレーボールと同様に、ジャンプ、スプリント、方向転換などの瞬発的な動作を繰り返すという特徴のある競技だが、最大の特徴はそれらが床の上ではなく、不安定で反力が制限される砂の上で行われるという点にある。各動作のたびに最大努力を必要とされることが多く、数日間にわたるトーナメントでは、選手は数百回のジャンプを行うことになる。また、バレーボールに比べて栄養戦略に関する知見が少ない。クレアチン一水和物(以下、クレアチン)は、最もエビデンスが豊富なエルゴジェニックエイドの一つだが、やはりビーチバレーでの知見は限られている。
これを背景に、今回取り上げる論文の著者らは、クレアチンが女子ビーチバレー選手のパフォーマンスや体組成にどのような影響を及ぼし得るかを検討した。なお、従来、クレアチンの研究の多くは粉末製剤を用いて行われてきているが、本研究ではグミに成型されたサプリメントを利用していてる。著者らは、グミのクレアチン摂取の生理学的およびスポーツパフォーマンスへの影響は、まだ検討されていなかったという。
NCAAディビジョンI・IIまたはプロ選手に10週間介入し、前後の変化を対照群と比較
この研究の参加者は、南フロリダ大学の学生またはプロの女子ビーチバレー選手から、コーチを通じて募集されたほか、ソーシャルメディアでも参加が呼びかけられた。適格条件は、全米大学体育協会(NCAA)のディビジョンIまたはIIに所属あるいはプロとして活動していて、週に4時間以上のビーチバレートレーニングを行っていることとされた。除外基準は、妊娠中または妊娠の予定、怪我の治療中、過去6週間以内のクレアチンサプリ摂取、食事やトレーニング内容を大きく変更した直後など。
32人が後述の10週間の介入とパフォーマンス等の評価を完了した。参加者全体を無作為に二分し、1群(17人)をクレアチン群として毎日5gのクレアチングミを摂取。対照群とされた他の1群(15人)は、クレアチンを摂取せず、プラセボも摂取しなかった。よって盲検化はされていない。
評価項目は、カウンタームーブメントジャンプ(countermovement jump;CMJ)、反応時間(精神運動性注意課題を用いて評価)、方向転換速度(5-10-5プロアジリティシャトルテストで評価)、および生体電気インピーダンス法による体組成。方向転換速度は3回の試行で最も良好なタイムを解析に用いた。なお、パフォーマンステストは月経中を避けて行った。
クレアチングミはビーチバレーに実用的なサプリと言える
ベースライン(介入前)において、両群の年齢、身長、体重、トレーニング量に有意差はなかった。なお、年齢は有意差がないものの、クレアチン群のほうが若年の傾向がみられた(25.7±5.6 vs 29.6±9.7歳、p=0.184)。トレーニング量についても、ビーチバレーのトレーニング量は同等だったが(ともに9.7時間/週、p=0.992)、筋力トレーニングはクレアチン群のほうが多い傾向があった(4.2±1.4 vs 3.02±2.3時間/週、p=0.088)。
統計解析では、10週間の介入前後での変化、および変化量の群間の比較が行われている。
パフォーマンス指標:CMJと方向転換速度に有意差
カウンタームーブメントジャンプ(CMJ)は、クレアチン群が介入前42.9±8.9cm、介入後が45.0±9.2cmと有意に向上し(p=0.004)、対照群は同順に42.1±8.8cm、40.4±10.4cmであり有意に低下していた(p=0.023)。介入前後の変化量は、クレアチン群+2.10±2.30cm、対照群-1.70±3.18cmであって、両群間に有意差が認められた(p=0.0005)。
方向転換速度は、クレアチン群が介入前6.52±0.41秒、介入後が6.18±0.38秒であり有意に向上し(p<0.001)、対照群は同順に6.49±0.39秒、6.47±0.44秒であり有意な変化がなかった(p=0.858)。、介入前後の変化量は、クレアチン群-0.34±0.26秒、対照群+0.02±0.39秒であって、両群間に有意差が認められた(p=0.0087)。
反応時間については、クレアチン群が介入前323.1±35.2ミリ秒、介入後が306.2±31.0ミリ秒、対照群が同順に331.1±22.8ミリ秒、313.3±35.4ミリ秒だった。全体として介入後に反応時間が短縮しており時間効果は有意だったが(p=0.016)、変化量の群間差は非有意だった(p=0.9127)。
体組成:体脂肪率の変化量に有意差
体組成に関しては、クレアチン群では体脂肪量と体脂肪率に介入前後での有意な変化はなかったのに対して、対照群で体脂肪量と体脂肪率が増加しており、変化量に有意差が認められた(ともにp=0.0153)。
水分量は両群ともに介入前後での有意な変化はなかったが、クレアチン群は増加傾向、対照群は減少傾向にあり、変化量には有意差が観察された(p=0.0370)。
骨格筋量や除脂肪体重は両群ともに介入前後での有意な変化はなかったが、クレアチン群は増加傾向、対照群は減少傾向にあった。ただし、変化量には有意差がなかった(骨格筋量はp=0.1035、除脂肪体重はp=0.0781)。
介入中の食事やトレーニングを標準化した検討が求められる
著者らは、介入期間中の食事やトレーニングが標準化されていなかったこと、月経は考慮したが内分泌状態は評価しなかったことなどを本研究の限界点として挙げている、そのうえで結論を、「グミ状のクレアチンサプリメントは、ビーチバレーボールに特有のパフォーマンス指標を向上させ、体組成の維持に貢献した。これらの結果は、クレアチングミがこの集団における実用的なサプリメント戦略であることを裏付けている」と述べている。なお、一部の著者が、クレアチン販売企業などとの利益相反(COI)に関する情報を開示している。
文献情報
原典論文のタイトルは、「Effects of Creatine Monohydrate Gummies on Performance and Body Composition in Female Beach Volleyball Athletes」。〔J Funct Morphol Kinesiol. 2026 Mar 4;11(1):105〕
原文はこちら(MDPI)







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