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持久系アスリートとパワー系アスリートで、睡眠の質、食習慣、栄養知識はどのように異なるか

持久系競技とパワー系競技では、求められる身体能力や競技に有利な体組成が大きく異なる。そして、パフォーマンスや体組成を最適化するための食事・栄養戦略も異なる。では、それらの競技のアスリートの食習慣や栄養に関する知識は、どの程度異なるのだろうか? また、アスリートにとって食事・栄養と並び重要な要素である睡眠の質は、両者に差があるのだろうか? これらの疑問の答えを探る研究結果が報告された。

ウルトラマラソンとアメリカンフットボールの男性選手の食事・栄養知識・睡眠を比較

持久系アスリートは一般に、エネルギー基質である炭水化物の利用可能性を高めることを重視した栄養戦略をとる。対してパワー系のアスリートは筋肥大のために高タンパクの栄養戦略をとることが多い。一方、栄養とともに近年、アスリートの回復やパフォーマンスおよび長期的な健康における睡眠の重要性が強く認識されるようになってきており、その睡眠の質も摂取栄養素や食行動と深い関係があることが明らかになっている。

これまでに、多くの競技アスリートやレクリエーションアスリートを対象に、栄養と睡眠の関連が研究されてきているが、持久系アスリートとパワー系アスリートの対比という視点で行われた研究は多くない。今回取り上げる論文の著者らは、持久系競技の代表としてウルトラマラソン、パワー系競技の代表としてアメリカンフットボールを選び、それら両者のアスリートの食習慣、栄養に関する知識、および睡眠の質を比較するという研究を行った。

評価指標について

この研究の参加者のうち、アメリカンフットボール選手についてはポーランドの現役のプロ選手43人であり、ウルトラマラソン選手は同国の競技団体に所属する選手から募集された。いずれも18~30歳で現役の男性選手であり、疾患を有さないことが適格条件とされていた

食習慣と栄養知識(dietary knowledge;DK)については、同国科学アカデミーが開発した精度検証済みの質問票を用いて評価された。この質問票から、健康食指数(pro-healthy diet index;PHD)と非健康食指数(non-healthy diet index;NHD)がいずれも0~100%の範囲で得られ、それら両者の差を食事の質指数(diet quality index;DQI)として算出。

栄養知識(DK)もこの質問票に含まれている25項目の質問から判定した。正解は1点、不正解は0点として、合計スコアが0~8点は栄養知識が不足、9~16点は充足、17~25点は良好と判定した。

睡眠の質の評価にはピッツバーグ睡眠質問票(Pittsburgh Sleep Quality Index;PSQI)を用いた。PSQIのスアコ範囲は0~21点で、5点以上は睡眠の質が低いと判定した。

パワー系アスリートの睡眠の質向上には、栄養教育に加え多因子的アプローチが必要

ウルトラマラソン選手のほうが栄養知識、食事の質、睡眠の質が高い

ウルトラマラソン選手(Ultramarathon;UM群)の栄養に関する知識(DK)は、良好が24.5%、充足が66.5%、不足が9.0%であり、対するアメリカンフットボール選手(American football;AF群)は全員が充足であり、全体としてUM群の栄養知識のほうが豊かであった(p<0.001)。

食事の質については、UM群では健康食指数(PHD)が25.9、非健康食指数(NHD)が13.0で、両者の差である食事の質指数(DQI)は12.1だった。AF群は同順に、23.8、15.8、4.6であった。PHDとNHDは群間差が非有意だったが、DQIについては有意差が認められ、UM群のほうが良好だった(p=0.040)。

睡眠の質については、UM群のPSQIスコアが5±3点であるのに対してAF群は6±5点であって、UM群のほうが有意に良好だった(p=0.026)。

ウルトラマラソン選手であることが、睡眠の質の高さの関連因子

次に、睡眠の質(PSQIスコア)との関連のある因子を多重回帰分析で検討。その結果、ウルトラマラソン選手(UM群)であること(β=-2.498〈95%CI;-3.976~-1.021〉)が関連因子として抽出され、BMIが高いことも睡眠の質の高さに関連していた(β=-0.229〈-4.00~-0.058〉)。

一方で、栄養に関する知識(DK)や、食事の質指数(DQI)は、睡眠の質(PSQIスコア)の有意な関連因子として抽出されなかった。

アメリカンフットボール選手では、栄養知識が豊富なほど食事の質が高い

続いて、ウルトラマラソン選手(UM群)、アメリカンフットボール選手(AF群)ごとに、栄養に関する知識(DK)と食事の質指数(DQI)との相関が検討された。

その結果、AF群でのみ、DKとDQIの有意な正の相関が認められた(ρ=0.388、p=0.010)。UM群では有意な相関がなかった。

これらの結果に基づき著者らは、「栄養に関する知識や睡眠の質には、競技特有の有意な差が存在する。睡眠の質は食事の質や栄養の知識よりも、競技特有の生理学的または環境的要求と主に関連していると考えられる」と総括したうえで、「これらの知見は、筋力・パワー系アスリートの回復戦略には、栄養教育だけにとどまらない、より広範で多因子的なアプローチが必要であることを示唆している」と結論づけている。

文献情報

原典論文のタイトルは、「Sleep Quality, Dietary Patterns, and Nutrition Knowledge in Ultramarathon Runners and American Football Players: A Comparative Cross-Sectional Study」。〔Nutrients. 2026 Apr 22;18(9):1322〕
原文はこちら(MDPI)

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