がん予防のためには、飲酒は「ひかえる」ことを推奨 「科学的根拠に基づくがん予防法5+1」が刷新 国立がん研究センター
国立がん研究センターを中心とした研究班が提唱している、日本人のためのがん予防法「科学的根拠に基づくがん予防法5+(プラス)1」が刷新された。ウェブページと冊子の文章とイラストがわかりやすく変更され、また、お酒と体重に関するリスク評価の更新に伴いそれらの対応策が変更されている。本件に関するプレスリリースが同センターのサイト内に掲載された。

発表のポイント:お酒は「ひかえる」に変わり、男性のBMI上限は27から25に
- 国立がん研究センターを中心とした研究班は、日本人のためのがん予防法を提唱し、がんになるリスクを減らすことができる、タバコ、お酒、食生活、身体活動、体重と感染の六つの要因に対する対策を「科学的根拠に基づくがん予防法5+(プラス)1」としてまとめている。
- がんの予防法を国民が実践できるよう、がん情報サービス編集委員会や患者・市民パネルメンバーと連携し、文章やイラストをより伝わりやすくし、ウェブページと冊子を刷新した。
- また、研究班でのお酒と体重に関するリスク評価の更新に伴い、その対応策も変更した。
- お酒については、少量の飲酒でもがんのリスクが上昇することが示されたことから、推奨の対策を「節酒する」から「飲酒をひかえる」に変更した。
- 体重については、BMI(太りすぎ・やせすぎを判断する指標)が高くなるほどリスクが段階的に上昇するがんがあることを踏まえ、男性でのBMIの推奨上限を27から25に変更した。
概要:新たなエビデンスに基づく推奨の変更と、伝わりやすさの改善
国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策研究所を中心とした研究チーム「科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」班(以下、がん予防研究班)は、科学的根拠に基づいて日本人に最適ながん予防法を提唱するための研究に取り組んでおり、日本人における最新のエビデンスに基づき、がんのリスク要因を継続的に評価し、がん予防法を更新している。さらに、研究で得られた知見のなかで、とくに確実性が高く、実践しやすい、タバコ、お酒、食生活、身体活動、体重と感染症という六つの要因に対する対策を、「科学的根拠に基づくがん予防法5+1」として位置づけ、情報普及に取り組んでいる。
このたび、その「科学的根拠に基づくがん予防法5+1」を、がん予防研究班による最新のリスク評価結果と、病気の予防や健康づくりに関する国の方針に基づいて更新し、また国民に取り組んでもらえるよう、がん情報サービス編集委員会や患者・市民パネルメンバーと連携し、文章やイラストをより伝わりやすくし、ウェブページと冊子を刷新した。
背景:日本人のがんの予防のためのエビデンスの収集と伝達
日本人の2人に1人は、一生のうちに一度はがんを経験すると推計されている。がんの発生には、遺伝的な体質や環境など、個人では変えられない要因に加えて、生活習慣が関わるものがあることがわかっており、第4期がん対策推進基本計画の三つの柱の一つとして、「科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実」が明示されている。がんになるリスクを減らすためには、がんのリスク要因となる生活習慣の見直しが重要。
がんのリスク要因については、国際的な専門機関であるInternational Agency for Research on Cancer(IARC)やWorld Cancer Research Fund(WCRF)、American Institute for Cancer Research(AICR)などが、科学的根拠に基づき評価を行っている。しかし、これらの評価は主に欧米人を対象としたエビデンスに基づいており、日本人にそのまま適応できるかは明らかでない。
日本人の食文化、生活様式、体格などの特性をふまえた、より適切ながん予防法を明らかにすることが求められている。
「科学的根拠に基づくがん予防法5+1」について
がん予防研究班は、国内の疫学、公衆衛生学の研究者が協力し、日本人におけるがんのリスク要因に関するエビデンスを体系的に収集・評価している。さらに、特定されたリスク要因によって発生していると考えられるがんが、どのくらいの割合を占めるかについても推計を行っている。エビデンスが十分でない領域については、複数の疫学研究のデータを統合し、新たなエビデンスを創出する取り組みも進めている。こうした継続的な活動を通じて、科学的根拠に基づいた日本人に最適ながん予防法を更新している。
研究で得られた知見のなかで、とくに確実性が高く実践しやすい、タバコ、お酒、食生活、身体活動、体重と感染症の六つの要因に対する対策を、「科学的根拠に基づくがん予防法5+1」として位置づけており、がん予防研究班による最新のリスク評価結果を中心に、病気の予防や健康づくりに関する国の方針に基づいて内容を更新している。
「科学的根拠に基づくがん予防法5+1」リスク要因別の推奨
| たばこ | ●たばこは吸わない ●他人のたばこの煙を避ける |
| お酒 | ●飲酒をひかえる |
| 食生活 | ●減塩する ●野菜と果物不足にならないようにする ●熱い飲み物や食べ物は冷ましてからとる |
| 身体活動 | ●日常生活を活動的に過ごす |
| 体重 | ●体重(BMI)は適切な範囲内にする |
| 感染 | ●感染の検査や予防接種を受ける |
上記の推奨の感染については、がんの発生に直接関係することが明らかであるため、感染しやすい年齢や状況、そして感染経路を正しく理解し、予防接種や適切な治療を受けることが推奨されている。また、最近のリスク要因別の推奨では、お酒は「節酒する」から「飲酒をひかえる」へと変更された。少量の飲酒でもがんのリスクが上昇することが示されており、がん予防の観点からは“ほどほど”ではなく“飲まないことがベスト”とされるため。体重についても、BMIが高くなるほどリスクが段階的に上昇するがんがあることをふまえ、男女ともにBMI21~25の範囲を推奨(変更前は男性21~27、女性21~25)するよう見直した。
がんの予防法が実践されるよう、伝わりやすい表現に刷新
がん予防研究班ではこれまで、がん予防に関する冊子を独自に作成し、情報普及に取り組んできた。しかし、限られた体制で継続的に最新情報を提供することには課題があり、必ずしも効率的とはいえなかった。そこで今回、国立がん研究センターが運営するウェブサイトである「がん情報サービス」と連携し、最新の情報冊子「がんの冊子 がんを知るシリーズ 科学的根拠に基づくがん予防法5+1 第3版」を作成、ウェブページにも同様の内容を掲載した。
がん情報サービス がんの冊子『科学的根拠に基づくがん予防法5+1〈第3版〉』

がん情報サービスは、がんに関する信頼できる情報を提供し、患者・家族・市民の意思決定を支援することを目的に運営されている。がん情報サービス上の情報は、専門家・患者・市民等多くの人の確認を受け、公開されている。本冊子の作成にあたっても、国民に伝わりやすく、実践しやすい内容となるよう、がん情報サービス編集委員会、患者・市民パネルメンバーの協力を得て、細かな文章やイラストについて検討と修正を重ねた。
今後の取り組み
日本人の生活習慣や食文化に即した科学的根拠を整備することは、国民の健康寿命の延伸に向けて極めて重要。がん予防研究班は、「日本人における最新のエビデンスを体系的に収集・評価する取り組みを、これまで以上に効率的かつ継続的に実施できるよう、体制の強化を進めていく。また、大規模疫学研究の連携やデータ統合の推進など、研究基盤のさらなる充実にも取り組む」としている。
加えて、実践につながる重要な情報については、国民にいち早く届けられるよう、国立がん研究センターが運営する「がん情報サービス」と連携し、科学的根拠に基づくがん予防情報を、日常生活に活かされるよう発信していくという。
プレスリリース
「科学的根拠に基づくがん予防法5+1」をより伝わりやすく刷新 お酒と体重のがんリスク上昇に伴い予防法も変更 飲酒は「節酒」から「ひかえる」、男性BMIの推奨上限は25へ(国立がん研究センター)







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