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小中学生の健康行動には「スポーツ栄養」「身体活動」「睡眠」が相乗的に影響 中国の1,421人調査

スポーツ栄養、身体活動、睡眠の質という三つが、小中学生の健康的な行動に対して掃除要的に好ましい影響を与えているとする研究結果が中国から報告された。COM-B行動変容モデルに基づく解析の結果であり、食行動が最も強い直接的影響があるという。

小中学生の健康行動には「スポーツ栄養」「身体活動」「睡眠」が相乗的に影響 中国の1,421人調査

小中学生の身体活動不足は世界的な問題

若年者の身体活動不足は世界的な問題となっており、世界保健機関(WHO)も、若年者の身体活動不足を2030年までに2010年比で15%削減するという目標を掲げている。本研究が行われた中国も例外でなく、とくに経済的発展の著しい地域で小中学生の座位行動やスクリーンタイムの増加と運動不足が、公衆衛生上の大きな課題となっているという。

健康の維持増進に、バランスのよい食事、適度な運動、十分な睡眠という三つが基本であることがさまざまな研究から示されていて、共通の理解となっている。このうちバランスよい食事について、若年者の身体機能の向上や回復という観点から、スポーツ栄養の考え方が有用な可能性がある。とはいえ、スポーツ栄養が小中学生の健康行動にどのように寄与するかは十分に研究されていない。今回紹介する論文の研究では、スポーツ栄養と身体活動および良質な睡眠が小中学生の健康行動に及ぼす、直接的・間接的影響が検討されている。

研究の理論的背景と研究の手法

この研究には、行動変容のフレームワークであるCOM-B行動変容モデルが用いられた。COM-Bモデルは、個人の能力(capability;C)と環境によって提供させる機会(opportunity;O)および行動への動機づけ(motivation;M)の相互作用が行動(behavior;B)につながるという考え方。

COM-Bモデルの考え方を援用すると、スポーツ栄養学に基づく食事は、身体的能力(例えば成長のためのエネルギーと栄養素の供給)と栄養知識を高めるとともに、内省的動機付け(例えば肯定的な健康態度)を形成する重要な要素となると考えられる。また、身体活動は健康的な行動の中核をなし、スポーツへの参加は栄養による能力とモチベーションの向上によって促進され、スポーツの成功体験はモチベーションと身体能力をさらに強化させる。さらに睡眠の質は身体パフォーマンスの回復に必要であり、認知機能および感情的調整などをサポートして、持続的な健康行動につかながると考えられる。

このように、食事、運動、睡眠という3要素は相互に影響を及ぼし、好循環を形成して健康行動を推進するといえるが、相互の影響力の程度は明らかになっていない。本研究では統計学的にその検討が行われている。

研究の対象と評価指標

研究は、中国の中でも最も急速に成長している長江デルタ地域と北京・天津・河北地域で実施された。省(行政区画)レベルのスポーツ健康推進校に指定されている小中学校のうち、生徒数が500~2,000人で、栄養食プログラムに則した食事施設を運営していることなどの条件を満たす583校から、20校(長江デルタ地域と北京・天津・河北地域の小学校と中学校それぞれ5校)を無作為に抽出。計1,500人に対して調査を行った。有効回答は1,421件(89.37%)だった。

スポーツ栄養の遵守状況については、中国の先行研究で開発された尺度を改変して評価した。栄養知識、栄養態度、食行動、食環境という四つの側面に関する31項目の質問に対して7段階のリッカート尺度で回答するもので、スコア範囲は31~217点であり、スコアが高いほどスポーツ栄養に適った知識・習慣であることを意味する。

身体活動の実施状況については、日本の研究者が開発し中国で改変された身体活動評価尺度(Physical activity rating Scale 3;PARS-3)を評価に用いた。PARS-3は、運動強度、持続時間、頻度という三つの側面から過去1カ月の身体活動量を推測するもので、スコアが高いほど身体活動量が多いことを意味し、19点以下は「低」、20~42点は「中」、43点以上は「高」と判定する。

睡眠の質の評価にはピッツバーグ睡眠質問票(Pittsburgh Sleep Quality Index;PSQI)を用いた。PSQIのスコア範囲は0~21点で、スコアが高いほど睡眠の質が低いことを意味する。

健康行動の遵守状況については、中国の先行研究で開発された尺度を用いて評価した。24項目の質問に対して5段階のリッカート尺度で回答するもので、スコア範囲は24~120点であり、スコアが高いほど健康行動を遵守していることを意味する。

栄養、運動、睡眠の相乗的な影響が示される

評価したスポーツ栄養の遵守状況、身体活動の実施状況、睡眠の質、健康行動の遵守状況には以下のような有意な相関が認められた(すべてp<0.01)。

スポーツ栄養と身体活動の相関はr=0.448、スポーツ栄養と睡眠の質の相関はr=-0.343(PSQIはスコアが低いことが睡眠の質が良いことを意味するため、負の相関は好ましい相関を意味する)、スポーツ栄養と健康行動の相関はr=0.586。

身体活動と睡眠の質の相関はr=-0.361、身体活動と健康行動の相関はr=0.605。

睡眠の質と健康行動の相関はr=-0.392。

直接効果と媒介効果

次に、各因子の健康行動に対する直接効果と媒介効果が検討された。

その結果、直接効果としては食行動が良好であることが、健康行動に最も強く作用していた(OR 0.199)。次いで睡眠の質(OR 0.199)、身体活動(OR 0.189)、栄養知識(OR -0.150)、食環境(OR 0.106)、栄養態度(OR 0.099)の順であった。

スポーツ栄養、身体活動、睡眠の質は、健康行動に影響を与えており(OR 0.586)、これは直接効果(OR 0.320)と媒介効果(OR 0.266)によるものだった。

スポーツ栄養が健康行動に及ぼす影響において、睡眠の質の媒介効果(OR 0.167)と身体活動の媒介効果(OR 0.054)、および睡眠の質と身体活動の連鎖的媒介効果(OR 0.009)が認められた。

著者らは、「得られた知見は、栄養、運動、睡眠の相乗的な関係を強調するもので、特定の媒介経路を明確に示しており、COM-Bモデルに基づく理解を進化させ得る」と述べている。

文献情報

原典論文のタイトルは、「The effects of sports nutrition diet, physical activity and sleep quality on health behavior in primary and secondary school students: A cross-sectional study based on the COM-B model」。〔Acta Psychol (Amst). 2026 Mar:263:106269〕
原文はこちら(Elsevier)

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