スポーツ栄養WEB 栄養で元気になる!

SNDJスポーツ栄養サミット2026「REDsの基礎から、男性アスリートのREDsを深く学ぶ1日」
一般社団法人日本スポーツ栄養協会 SNDJ公式情報サイト
ニュース・トピックス

「先が読めない不安」が女性アスリートの摂食障害リスクに関連? 約400人の縦断研究

将来の環境の変化が予測困難な状況に耐える力、「不確実耐性」が低いことが、女性アスリートの摂食障害のリスク因子の一つではないかとする、縦断研究の結果が報告された。著者らは、女性アスリートの摂食障害を予防するうえで、不確実耐性が潜在的に改善可能な標的となり得ると述べている。

「先が読めない不安」が女性アスリートの摂食障害リスクに関連? 約400人の縦断研究

アスリートの不確実耐性は摂食障害のリスクと関連するか?

人は、状況の変化が不確実なときや不安定な将来が予測されるとき、不安や精神的苦痛を感じやすい。このような不確実性に伴う不安を抱えながらも適切に対処できる能力は「不確実性耐性」と呼ばれており、不確実耐性が高いことは、好ましい行動や意思決定につながると考えられている。反対に不確実耐性が低いと、適切とはいえない回避行動をとりやすく、生活の質(QOL)やキャリア形成に支障が生じやすい可能性があるとも考えられている。

いくつかの横断研究から、不確実性耐性が低いことが摂食障害と関連があることが報告されている。ただし、横断研究では因果関係が不明。因果関係の考察が可能な縦断研究としては、既に摂食障害と診断されている患者を対象に行った報告があり、不確実性耐性は将来の摂食障害症状発現の有意な予測因子ではないと結論している。しかし患者対象研究であるため、この結果を一般生活者へ外挿することはできない。さらに、一般生活者よりも摂食障害リスクが高い、女性アスリートを対象とする知見はほとんど得られていない。

これらを背景として本研究は、摂食障害ハイリスク集団とされる女性アスリートにおいて、不確実性耐性の強弱が将来の摂食障害リスクと関連しているかを、縦断的に検討した。

女性アスリート約400人を1年間追跡

この研究では、米国で実施されている、女性アスリートのレジリエンスに関する大規模縦断研究のデータが用いられた。同縦断研究の参加者504人のうち、ベースライン時点および3回の追跡調査(3カ月後、6カ月後、12カ月後)のいずれか1回以上において、後述の方法で摂食障害のリスクが評価されていた393人を解析対象とした。

解析対象者の主な特徴は、年齢20.9±3.1歳、トレーニング歴11.9±5.3年、トレーニング量17.6±7.7時間/週で、行っている競技は、ダンス17.8%、陸上14.6%、水泳13.5%、サッカー12.7%などだった。

追跡調査への参加率は、3カ月後が90.1%、6カ月後は67.4%、12カ月後は70.2%だった。

不確実性耐性、摂食障害リスクの評価方法

不確実性耐性の評価には、臨床/非臨床の双方で妥当性が検証済みの12項目からなる「不確実性への不耐性尺度(12-item Intolerance of Uncertainty Scale;IUS-12)」を用いた。IUS-12では、回答者は各質問に対して、全くあてはまらない(1点)~「非常によくあてはまる(5点)のリッカートスコアで回答する。

IUS-12の12項目の質問からは、不確実性耐性の二つの側面を評価可能なサブスケールのスコアが算出される。二つの側面とは、将来なにが起こるかを執拗に知ろうとする要求の強さ(prospective anxiety〈予測的不安〉)と、曖昧な状況下で行動が抑制されてしまう行動麻痺(inhibitory anxiety〈抑制的不安〉)のこと。

摂食障害のリスクについては、9項目の質問からなる「アスリートの摂食障害に関する簡易質問票(Brief Eating Disorders in Athletes Questionnaire;BEDA-Q)」を用いて評価した。先行研究に基づき、総合スコアが0.27以上の場合に「摂食障害の疑い」と判定した。

予測可能性の欲求の強さは、女性アスリートの摂食障害予防のための介入可能な因子

4~5人に1人が摂食障害の疑い

本研究の解析対象者の22.7%がベースライン時点で、摂食障害の疑いありと判定された。BEDA-Qスコアは、摂食障害の疑いあり群は0.76±0.25、疑いなし群は-1.57±1.31だった。

追跡調査における、摂食障害の疑いありの割合は、3カ月後が23.0%、6カ月後は21.4%、12カ月後は15.4%だった。

予測的不安のサブスケールスコアが、追跡期間中の摂食障害疑いの発生を有意に予測

不確実性への不耐性尺度(IUS-12)のサブスケールである予測的不安(prospective anxiety)は、追跡期間中に摂食障害の疑いが発生することを有意に予測した。具体的には、ベースライン時点の予測的不安のスコアが1点高いごとに、摂食障害の疑いの発生が18%上昇していた(有病率比1.18〈95%CI;1.04~1.35〉、p=0.01)。

一方、IUS-12のもう一つのサブスケールである抑制的不安(inhibitory anxiety)については、追跡期間中の摂食障害の疑いの発生を予測しなかった。具体的には、ベースライン時点の予測的不安のスコアが1点高いごとに追跡期間中の有病率比が1.09となったが、95%信頼区間の下限が1未満だった。

この結果に基づき著者らは、「予測可能性の欲求の強さは、女性アスリートの摂食障害を予防するうえで、潜在的に改善可能な標的となり得る」と結論している。

文献情報

原典論文のタイトルは、「Intolerance of uncertainty as a potential modifiable risk factor for eating disorder pathology in women athletes: a longitudinal investigation」。〔J Eat Disord. 2026 Jul 9〕
原文はこちら(Springer Nature)

SNDJスポーツ栄養サミット2026「REDsの基礎から、男性アスリートのREDsを深く学ぶ1日」
この記事のURLとタイトルをコピーする
志保子塾2026後期「ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー」

関連記事

スポーツ栄養Web編集部
facebook
Twitter
LINE
ニュース・トピックス
SNDJクラブ会員登録
SNDJクラブ会員登録

スポーツ栄養の情報を得たい方、関心のある方はどなたでも無料でご登録いただけます。下記よりご登録ください!

SNDJメンバー登録
SNDJメンバー登録

公認スポーツ栄養士・管理栄養士・栄養士向けのスキルアップセミナーや交流会の開催、専門情報の共有、お仕事相談などを行います。下記よりご登録ください!

元気”いなり”プロジェクト
元気”いなり”プロジェクト
おすすめ記事
スポーツ栄養・栄養サポート関連書籍のデータベース
セミナー・イベント情報
このページのトップへ