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ビート根ジュースは好気性/嫌気性双方の運動パフォーマンスを向上 系統的レビューとメタ解析

ビートルートジュース(BJ)摂取のスポーツパフォーマンスへの影響に関する研究を対象とする、システマティックレビューとメタ解析の結果が報告された。全体として、好気性運動と嫌気性運動のいずれも、BJ摂取により有意にパフォーマンスが向上することが示されたという。ただし、評価指標ごとのサブグループ解析では、競技レベルや競技のタイプ、ジュースのブランド、摂取方法などによって、有意なケースと非有意なケースがあるとのことだ。

ビート根ジュースは好気性/嫌気性双方の運動パフォーマンスを向上 系統的レビューとメタ解析

ビートルートジュース(BJ)摂取の影響を包括的に検討したメタ解析

硝酸塩を豊富に含むビートの根(ルート)から作られるビートルートジュース(beetroot juice;BJ)は、摂取後に硝酸塩が一酸化窒素(NO)に変換され、血管拡張、筋収縮効率、運動時の酸素消費量の抑制などに働くと考えられている。BJのエルゴジェニック効果に関しても、すでに多くの知見が蓄積されている。ただし、運動の種類や評価指標、対象者、摂取タイミングなどによって、その効果がどのように異なるのかという検討は十分なされていない。今回紹介する論文は、システマティックレビューとメタ解析によって、これらの点を包括的に検討したもの。

システマティックレビューとメタ解析の推奨報告項目(PRISMA)ガイドラインに準拠し、Scopus、Web of Science、PubMed、SpringerLink、Wiley Online Library、ScienceDirectという6種類の文献データベースに、それぞれのスタートから2026年3月1日までに収載された報告を対象とする検索を実施。また、検索漏れを防ぐためにGoogle Scholarを用いたハンドサーチも行った。

包括基準は、ヒトを対象としてBJ摂取のスポーツパフォーマンスへの影響を検討したプラセボ対照比較試験であり、VO2max、平均パワー、高強度インターバルスプリントのいずれか一つ以上を評価していて、査読システムのあるジャーナルに全文が公開されている英語論文とした。

一次検索で3,137報がヒットし、重複削除後の1,740報を2名の研究者が独立して、タイトルと要約に基づくスクリーニングを実施。173報を全文精査の対象とし、31報を適格と判断した。これとは別に、ハンドサーチで見いだした10報を、同様の手順によって2報を適格と判断した。

BJは有酸素運動と無酸素運動に推奨できる

計33件の研究には合計519人のプロまたはアマチュアアスリートが参加していた。介入に用いられていたBJは多くが英国のブランドだったが、一部は自家製のBJを用いていた。高強度インターバルスプリント(high-intensity interval sprint;HIS)のパフォーマンスを評価した研究が9件、平均パワーを評価した研究が13件、最大酸素摂取量(VO2max)を評価したものが11件だった。

全ての研究を統合した解析の結果、ビートルートジュース(BJ)の摂取は運動パフォーマンスを有意に向上することが示された(標準化平均差〈SMD〉0.38〈95%CI;0.25~0.50〉)。また研究間の異質性は観察されなかった(I2=0.0%)

評価指標別の解析

全体解析だけでなく、評価指標ごとの解析でも、以下のようにすべて有意だった。

高強度インターバルスプリント(HIS)は、9件の研究のうち単独で有意な結果を報告していたのは2件であり、メタ解析の結果はSMD0.38(0.17~0.59)。平均パワーは、13件の研究のうち単独で有意な結果を報告していたのは2件であり、メタ解析の結果はSMD0.43(0.21~0.64)。最大酸素摂取量(VO2max)については11件の研究のうち単独で有意な結果を報告した研究はなかったが、メタ解析の結果はSMD0.30(0.17~0.55)と有意だった。

サブグループ解析

研究参加者の競技レベル、競技の種類(団体競技か個人競技か)、研究地域、BJの摂取プロトコル(慢性摂取か急性摂取か、および、摂取のタイミング)、BJのブランドなどで層別化したサブグループ解析も行われている。結果は以下のとおり。なお、いずれのサブグループ解析の結果も、グルーブ間の有意な異質性は認められなかった。
高強度インターバルスプリント(HIS)のサブグループ解析:

競技レベルはプロ対象研究が3件、アマチュア対象研究が6件で、BJ摂取の有意な効果はアマチュア対象研究のみで認められた。競技の種類別、および、摂取プロトコル別、BJのブランド別のサブグループ解析の結果は、すべて有意だった。研究地域については、アジア(研究数〈k〉=2)や欧州(k=6)での研究は有意だったが、報告が1報のみ(k=1)の北米での研究は非有意だった。

平均パワーのサブグループ解析

摂取プロトコル別にみると、急性摂取(k=9)は有意、慢性摂取(k=4)は非有意であり、テストの2時間前(k=5)や2.5時間前(k=3)に摂取した研究は有意、3時間前に摂取した研究(k=5)は非有意だった。競技レベル別や競技の種類別のサブグループ解析の結果は、すべて有意だった。

BJのブランドについては、英国の主力ブランド(Beet It)と自家製を用いた研究は有意だったが、それら以外のブランド(k=1)の研究は非有意だった。研究地域についても同様に、複数の研究が報告されていたアジアの研究や欧州の研究は有意、報告が1報のみの北米の研究、および南米の研究は非有意だった。

VO2maxのサブグループ解析

競技レベルはプロ対象研究が7件、アマチュア対象研究が4件で、BJ摂取の有意な効果はプロ対象研究のみで認められた。競技の種類別については個人競技アスリート対象研究が9件、団体競技アスリート対象研究は2件のみであり、BJ摂取の有意な効果は個人競技対象研究のみで認められた。

摂取プロトコルに関しては、急性摂取(k=6)は有意、慢性摂取(k=5)は非有意であり、摂取タイミングで層別化した場合、すべて非有意だった。また、ブランドについては自家製のみが有意であり、研究地域についてはすべての地域での研究が非有意となった。

これらの結果に基づき著者らは、「ビートルートジュースは有酸素運動と無酸素運動双方のパフォーマンスを向上させるエルゴジェニックエイドとして推奨可能」と総括。また、サブグループ解析の結果について、「統計的に有意な差は認められなかったものの、アスリートの競技レベル、競技の種類、摂取プロトコル、製品のブランドが、潜在的な効果修飾因子として作用する可能性を示唆している。これらの知見は仮説生成のためのものとして解釈されるべきであり、今後の研究で確認する必要がある」と述べている。

文献情報

原典論文のタイトルは、「Effectiveness of beetroot juice on aerobic and anaerobic exercise performance: systematic review and meta-analysis」。〔Front Nutr. 2026 Jun 29:13:1844096〕
原文はこちら(Frontiers Media)

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