1.藤本怜央選手の身体づくり
鈴木志保子 理事長(以下、鈴木理事長):私が藤本怜央選手の栄養サポートに入るようになって5年以上、日々のサポートに加え、毎月1回、奥様の藤本 優さんを加えミーティングを重ねながら、怜央選手の身体づくり、コンディション調整を行ってきました。
今回のセミナーでは、「良いコンディショニングには、良い食事と良いサプリの両輪」なんだということを表したくて、怜央選手の奥様・優ちゃんにも出演交渉し、ご登場いただくことになりました。
昨年の東京2020パラリンピックが終わってもうすぐ1年だけど、メダリストになって何が変わった?
藤本怜央 選手(以下、玲央選手):正直、あまり何かが変わったという感じはないんですよね。というのは、昨年8月に東京2020パラリンピックに出場して、9月にはもうドイツにいました。日本に残っているチームメイトが、メディアに登場している様子をドイツからよく見ていましたよ。
現在、僕が所属している「RSVランディル」というチームは世界トップチームで、ヨーロッパチャンピオンや世界のクラブチャンピオンシップで何回も優勝しているようなすごい名門です。そんなところからオファーが来て移籍したので、この世界トップレベルのクラブチームで頑張ることが当面の目標となっています。
鈴木理事長:そう、パラリンピックが終わって1週間か10日位でしたね。私も驚きました。着いたらいきなり試合なんだけど、時差どうしよう、みたいな相談があって(笑)それぐらい本当に休む間もない展開でした。移籍した後に初めて「どう?そっちのチーム」って聞いたときに言った怜央の言葉がまだ忘れられない。「すごい練習だよ!」って。「今までの練習とは比べものにならない。プラスアルファでなにかやらないと。年齢とともに下がっていくものも補わないと!」って。だから、いま一番練習してるんじゃない?
怜央選手:はい、僕は若いころ、筋トレってあんまりしなかったんですよね。本当にバスケットボールだけをやっていて、若いから、車いす乗ったらすぐにシュートを打てたし、すぐに走れたし、すぐに練習できたんですけれど、年齢を重ねるにつれて、何かこう身体のリハーサルをしておかないと高強度の練習についていけないなって考えるようになって。それで、筋肉に刺激を入れてからチーム練習に入るようになったんです。
鈴木理事長:怜央の身長は183cm、今朝の体重は97.1kgだったけど、右足があったら100kg超えだよって注意をしてるぐらい大きな身体なんです。"食べて太らない身体は良いよね"ってふつうの人はよく言いますが、私はそういう見方をしません。食べて消化して、多いぶん太るのは当たり前のこと。食べて消化して太れないというのは何かある。消化吸収が弱いとか。でも怜央は食べて多ければちゃんと太れる(笑)。太ることによって筋肉は潤いを得るからメンテナンスとしては悪くない。故障しづらい身体としては良いんだけど、重ければ動きづらくなって、そのぶんスピード感がなくなってしまう。怜央は、"今のチームでスピード感をもって動きたい"という強い希望があったので、いまは少しずつ絞りながら体づくりをしています。
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藤本選手のプロフィール
藤本 怜央(ふじもと れお)
静岡県出身。SUS所属。車いすバスケットボール選手。ドイツ・ブンデスリーガ「RSVランディル(RSV Lahn-Dill)」、日本では「宮城MAX」、車いすバスケットボール男子日本代表選手として活躍中。
小学3年生の春、交通事故で右足の膝下を失う。義足を履き、小学時代は主にサッカー、中・高校時代はバスケットボールに熱中。高校の終わりに出会った車いすバスケットに魅せられ、「立ってやるより、スピーディーで面白いバスケットができる」と思い車いすバスケットボールに転向。
日本選手権11連覇。パラリンピック5大会連続出場。東京2020パラリンピックではチームの大黒柱として、銀メダル獲得に貢献。2021年シーズンからドイツにRSVランディルに所属し、ドイツブンデスリーガ、ユーロリーグでの優勝を目指す。
◆こちらで「RSV Lahn-Dill」の試合が視聴できます
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主な実績
- 東京2020パラリンピック2位
- 2019アジアオセアニアチャンピョンシップ4位
- 2019三菱電機ワールドチャレンジカップ3位
- 2019天皇杯第47回日本車いすバスケットボール選手権大会優勝(11連覇)
- パラリンピック5大会連続出場(アテネ・北京・ロンドン・リオデジャネイロ・東京)