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日本の新体操選手は、やせや月経異常が多くボディーイメージの歪みや食行動の乱れが関連している

日本国内の女子新体操選手は、やせ(低BMI)や月経異常が多く、それらにボディーイメージの歪みや乱れた食行動が関連しているという実態が報告された。兵庫県立大学大学院環境人間学研究科の吉谷佳代氏、永井成美氏らが、バレーボール選手および非アスリート集団と比較検討した結果であり、「Journal of Nutritional Science and Vitaminology」に論文が掲載された。

日本の新体操選手は、やせや月経異常が多くボディーイメージの歪みや食行動の乱れが関連している

日本の女子新体操選手のBMIや月経異常などの実態を探る横断研究

審美系競技のアスリートは、意図的な減量によりBMI低値を維持していることが多く、月経異常や骨密度低下が懸念されることが少なくない。国内トップレベルの女性アスリートを対象とした先行研究からも、審美系競技の選手は他の競技の選手に比較し無月経の頻度が高いことが報告されている。

また、審美系競技の選手は女性が多いが、女性は男性に比較しボディーイメージの歪みが大きい(自分が太っていない/やせているにもかかわらず、そうでないと考えている)ことが報告されており、そのことが摂食障害のリスクに関与していることも知られている。さらに日本の若年女性は世界でもとくに痩身傾向が強く、この傾向はアスリート集団も同様と考えられる。

しかしこれまでのところ、国内の審美系女性アスリートの低BMIと月経異常の実態や、ボディーイメージ等との関連を包括的に検討した研究は限られている。これを背景に吉谷氏らは、国内の女性新体操選手、審美系以外の競技(バレーボール)の女性アスリート、アスリートでない女性という三つの集団を対象として、低BMIと月経異常の頻度、および、ボディーイメージや食行動・摂食態度を把握する横断研究を実施した。

新体操選手と他の競技のアスリートや非アスリートを比較検討

この研究のための調査はwebアンケートとして行われた。回答の適格条件は、アスリートの2集団については高校または大学の新体操部かバレーボール部に在籍し、ほぼ毎日トレーニングを行い、県大会レベル以上の競技会に出場している女性アスリートであり、研究参加を呼び掛けるチラシ等により募集された。非アスリート群はスポーツを行っていない女子高校生・大学生とした。なお、栄養学を専攻している生徒・学生は除外した。

評価項目について

BMI

BMI<18.5kg/m2を低BMIと定義した。

月経状態

月経の状態について、規則的、希発月経(39日周期以上)、頻発月経(24日周期以下)、無月経(3カ月以上月経なし)、月経不順、初経なしから選択してもらい、希発・頻発月経と無月経を月経異常と定義した。

ボディーイメージ

妥当性を検証済みの日本語版ボディーイメージスケール(Japanese version of the Body Image Scale;J-BIS)を用いて、10種類のシルエットから、理想的な体型と自身の体型を選択してもらい、その乖離をボディーイメージの歪みとして評価した。J-BISは、1点は極端なやせ、10点は極端な肥満であり、5~6点が標準的な体型を示している。

摂食態度・食行動

摂食態度は、26項目のEating Attitudes Test(EAT-26)で評価した。また、朝食欠食や就寝前摂食などの食行動などに関する質問項目を設けた。

新体操選手は低BMI、月経異常の割合が高く、ボディーイメージが歪み、摂食態度が乱れている

解析対象者数は、新体操群40人、バレーボール群46人、非アスリート群108人で、平均年齢は有意差がなく、アスリートの2群において競技歴に有意差はなかった。

新体操群は過半数が低BMIで、4人に1人は初経なし

BMIは新体操群が19.0±1.7 kg/m2と最も低く、次いで非アスリート群が19.9±2.4 kg/m2で、バレーボール群は21.0±1.4 kg/m2と最も高く、群間に有意差が認められた(p<0.001)。また、低BMI者の割合は、新体操群では51.3%と過半数を占めた。一方、バレーボール群は2.2%に過ぎず、非アスリート群も29.0%と3割未満であり、群間に有意差が認められた(p<0.001)。

月経異常者の割合は、新体操群64.1%、バレーボール群43.5%、非アスリート群26.2%であり、群間に有意差が認められた(p<0.001)。また、新体操群のうち10人(25%)は、まだ初経を迎えていないと回答した。

新体操選手はやせていることを理想とし、自分は太りすぎと考えている

J-BISによるボディーイメージの評価結果のうち、自分自身の体型として選んだシルエット(1~10点)の平均±標準偏差は、新体操群4.6±1.6点、バレーボール群5.2±1.4点、非アスリート群5.2±1.7点だった。これらの値に群間の有意差は認められなかった。

一方、理想とする体型は同順に、2.8±0.9点、4.4±0.9点、3.8±1.2点であり、新体操選手は3群内で最もやせた体型を理想としていて、群間に有意差が認められた(p<0.001)。自分の体型が理想よりも太っていると考えている割合は、バレーボール群は6.5%に過ぎず、非アスリート群も38.0%だったが、新体操群は55.0%と過半数に及んだ。

このほかに、新体操群の87.5%が体重を週5回以上測っていること(バレーボール群は37.0%、非アスリート群は22.2%)、52.5%が減量の実践経験があること(バレーボール群は8.7%、非アスリート群は23.1%)なども明らかになった。

新体操選手にはやせに向かいやすい摂食態度と食行動の乱れがみられる

やせに向かいやすい摂食態度として評価したEAT-26のスコアは、新体操群15.7±13.1点、バレーボール群8.9±8.3点、非アスリート群6.6±6.3点であり、新体操群は他の2群より有意に高かった。また、食行動に関する質問からは、新体操群は朝食欠食が多いことも明らかになった。

新体操選手であることとボディーイメージの歪みは、それぞれ低BMIに独立して関連

次に、低BMIまたは月経異常を目的変数とし、新体操選手であること、ボディーイメージの歪み、やせに向かいやすい摂食態度(EAT-26)を説明変数とするロジスティック回帰分析を実施した。

アスリートの2群(計86人)での解析(年齢と競技歴を調整)では、低BMIに独立した関連のある因子として、新体操選手であること(オッズ比〈OR〉174.41〈95%CI;6.38~927.83〉)、ボディーイメージの歪み(OR4.43〈1.601~11.80〉)の2項目が特定され、月経異常に独立した関連のある因子としては、摂食態度(OR1.07〈1.01~1.14〉)のみが特定された。

新体操群と非アスリート群(計148人)での解析(年齢を調整)では、低BMIに独立した関連のある因子として、新体操選手であること(OR3.95〈1.02~15.36〉)、ボディーイメージの歪み(OR7.45〈3.62~15.30〉)の2項目が特定され、月経異常に独立した関連のある因子としては、新体操選手であること(OR3.18〈1.36~7.56〉)、摂食態度(OR1.06〈1.01~1.11〉)の2項目が特定された。

女性アスリートの三主徴(トライアド)に関するさらなる研究が求められる

著者らは本研究を、審美系競技女性アスリート、非審美系競技女性アスリート、非アスリート女性という3群間で月経異常の有病率等を比較検討した、数少ない研究の一つと位置づけている。そして、本研究では、新体操選手において低BMIと月経異常がいずれも高頻度に認められたことから、審美系女性アスリートの三主徴(トライアド)に関する既存の知見を支持するものと考えられると述べている。

論文の結論では、「国内の新体操選手において、低BMIと月経異常が高頻度に存在し、ボディーイメージの歪みと非健康的な食生活がそれらの状態に関連していることが示唆された」と総括され、「他の審美系スポーツにおいても、女性アスリートの低BMIと関連する健康リスクを防ぐために、さらなる研究が求められる」と付け加えられている。

文献情報

原題のタイトルは、「High Proportions of Low Body Mass Index and Menstrual Dysfunction among Rhythmic Gymnasts: Association with Body Image Distortion and Eating Behaviors and Attitudes」。〔J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo). 2025;71(6):519-525〕
原文はこちら(J-STAGE)

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