20代で低体重だった女性の40%は30代以降も低体重 6年追跡で判明した「シンデレラ体重」の実態と健康課題 藤田医科大学
20代女性で低体重を1度でも経験した人の多くは、その後、低体重と正常範囲とを行き来しているという、縦断的検討の結果が報告された。藤田医科大学の研究によるもので、論文が「Nutrients」に掲載されるとともに、同大学からプレスリリースが発行された。

研究の概要:横断研究では若年期低体重の健康への影響をよくわからない
藤田医科大学の研究グループは、低体重状態の維持に関する四つの解析方法の比較を行い、20代女性で低体重を一度でも経験した人の多くは、正常範囲と低体重を行き来するとの仮説に至った。実際に低体重女性のBMIは18~19に分布し、正常範囲と低体重を行き来することがわかった。20代では低体重への流入が多い一方、30代後半では低体重から正常体重への移行が増えるという。
30代以降も低体重にとどまる人は全体の40%程度で、残りは正常体重へ移行していた。さらに、低体重にとどまる人の特徴として、20代でのBMIが17.5程度と低い傾向がみられた。
以上から20代女性の低体重は一様ではなく、異なるパターンが存在することがわかった。低体重による健康被害を調査するうえでは、横断調査よりも縦断調査に基づいた低体重の評価が必要と考えられる。
研究成果のポイント
- 短期的な指標(年度ごとの推移)と長期的な指標(状態の占有率、Aalen–Johansen推定量、カプランマイヤー法)では低体重維持率の大きな乖離がみられ、低体重状態が維持されるわけではないことがわかった。
- 正常体重から低体重への流入・低体重から正常体重への流出率は、22~27歳で流入が流出を上回り、27~37歳で平衡状態、37~47歳で流出優位を示した。
- 20代で低体重と一度でも言われた人のBMIは、18.0~19.0に集中した。
- 時間加重分類では、持続型(観察期間中の低体重時間≧75%;40.1%、BMI:17.54)、中等度型(50~74%;17.6%、BMI:18.40)、間欠型(25~49%;17.6%、BMI:18.97)、一過性型(<25%;24.8%、BMI:19.49)の4群に分かれた。
- 低体重は不均一な集団であり、縦断的な低体重サブグループと臨床転帰の関連性を検討することで、リスクの高い集団を特定できる可能性がある。
研究の詳細:シンデレラ体重の女性のその後を縦断解析により明らかにする
背景:若年期の低体重が及ぼす将来の健康リスクを予測する必要性
シンデレラ体重という言葉があるように、若い女性の低体重は日本では頻度が高く、社会的な関心が高まっている。一部の学会でも低体重・低栄養症候群として取り上げられているが、日本における実態は不明。
本研究グループはこれまでに、若い低体重女性でビタミン欠乏を伴う頻度が高いこと、低体重女性では体重とは独立してリンパ球数と体脂肪率が関係することを明らかにした。さらに低体重女性の中でもBMI18~19付近の場合に最も、腸内細菌の多様性だけでなく、食事の多様性も良好であることを報告した。そのため、ひとくくりに低体重といってもいくつかのサブグループに分かれるのではないかと考えられた。
加えて、低体重の期間がさまざまな低体重の副作用(例:骨粗鬆症)に影響すると考え、今回は日本人の若年低体重女性における体重の軌跡を評価することにした。これにより、低体重群に存在する持続群を抽出することができれば、低体重に伴う副作用(骨粗鬆症、不妊、月経異常)との紐付けを行うことで、今後、本当に治療が必要な低体重のサブグループを同定できると考えられる。
研究手法・研究成果:20歳代に低体重だった女性883名の約6年間の体重推移
2003年から2025年までの間に、藤田医科大学病院で健康診断を受けた藤田医科大学の教職員を対象に研究を行った。そのなかで、20歳代で一度でも低体重を指摘されたことがある女性883名を対象に、平均6.1±4.2年間の後ろ向き解析を行った。
(1)年度ごとの推移、(2)状態の占有率、(3)Aalen–Johansen推定量、(4)カプランマイヤー法という四つの手法を比較したところ、手法1と4の間で低体重の維持率は78.1% vs 47.1%と、31%も異なることがわかった。
流入・流出率の定量化を含む双方向フロー解析では、正常体重から低体重への流入・低体重から正常体重への流出率をみると、22~27歳で流入が流出を上回り(35.7%/年 vs 20.7%/年、流出/流入比:0.58)、27~37歳で平衡状態(比:1.02)、37~47歳で流出優位(比:4.92)を示した。20代で一度でも低体重と言われたことのある人のBMIは18.0~19.0に集中(42.7%)した(図1)。
図1 20代で低体重と言われた人の体重分布

時間加重分類では、持続型(観察期間中の低体重時間≧75%;40.1%、BMI:17.54)、中等度型(50~74%;17.6%、BMI:18.40)、間欠型(25~49%;17.6%、BMI:18.97)、一過性型(<25%;24.8%、BMI:19.49)の4群に分かれた(図2)。持続して低体重の人はBMIも17.5と低く、全体の40%程度だった(図2)。
図2 低体重サブグループの軌跡

今後の展開:低体重状態の蓄積と健康アウトカムを関連づける研究の必要性
今回の検討では横断研究でなく、縦断データを用いて、日本人低体重女性のBMIの軌跡を世界で初めて明らかにした。20代で低体重と言われた人の60%は正常体重へ最終的に変化していくが、30代以降も低体重が続く人が40%程度いることがわかった。
低体重状態の蓄積は、骨折など将来のリスクにつながる可能性が指摘されており、骨折や月経異常などのアウトカムとの関連を明らかにする必要がある。また今回は、1施設の研究結果のため、低体重男性の軌跡は調べられなかった。今後はより大人数集団の縦断データを使用して、日本人全体での低体重の軌跡を明らかにする必要がある。
プレスリリース
文献情報
原典論文のタイトルは、「Underweight in Young Adult Women as a Dynamic Nutritional State: Evidence from Four Complementary Longitudinal Methods」。〔Nutrients. 2026 Apr 3;18(7):1156〕
原文はこちら(MDPI)







熱中症予防情報
SNDJユニフォーム注文受付中!

