健常段階から生涯を通して利用できるフレイルティ評価票を開発 国立長寿医療研究センター
健常な段階からエンド・オブ・ライフまで、経時的に利用可能な新たなフレイルティ評価票が、国立長寿医療研究センターなどによって開発された。保健・医療・介護分野の専門職者の利用を想定しているが、一般での利用も含めて、非営利目的であれば許可を得る必要なく、ダウンロードし使用可能だという。同センターのサイトにプレスリリースが掲載された。

発表の概要
国立研究開発法人国立長寿医療研究センターの研究グループは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)長寿科学研究開発事業の助成を受け、鹿児島大学、大阪大学の研究者らとともに、健常からエンド・オブ・ライフまで経時的に内在的能力※1も評価できる新しいフレイルティ評価票(frailty-intrinsic capacity index)「FR-IC Index(フリックインデックス)」を開発した。保健・医療・介護分野の専門職者が、高齢者の健康状態を多職種の観点から、総合的かつ簡易に評価するために作成されたもの。特別な許可などは必要なく、非営利目的であれば一般を含め、誰でも利用できる。
※1 内在的能力とは、WHOが提唱する「身体的および精神的能力の組み合わせ」であり、個人に備わる心身のポジティブな能力を指す。日々の生活習慣や適切な介入を通じてこの内在的能力を維持・向上させることは、加齢に伴う機能低下を抑制し、自立した生活を継続するための重要な資源となる。
背景:フレイルティは誰でも進行する可能性があり、健常な段階からの評価が大切
フレイルティ(Frailty)※2とは、加齢に伴い心身の機能が低下し、疾患や生活機能障害が増加することにより要介護状態や死亡などのリスクが増した状態。フレイルティは加齢に伴い、誰でも進行する可能性があり、フレイルティが進行すると自立した生活が困難になることもある。人生100年時代を最期まで充実して過ごすためには、健常の頃からフレイルティの評価を行い、適切な対策を講じることが重要とされる。
※2 「フレイル」は、健常と要介護の中間的な段階(要介護状態に至る前段階)と定義され(日本老年医学会、フレイルに関する日本老年医学会からのステートメント、2014年)、体重減少、身体機能の低下、活動量の減少等から評価される(表現型モデル)。一方、「フレイルティ」は健常から死亡に至る心身機能の脆弱を意味し、生活機能障害や疾病等の蓄積数により評価される(累積型モデル)。
一方、近年ではフレイルティの評価だけでなく、心身機能の保持に焦点を当てた「内在的能力(Intrinsic capacity)」の評価も、高齢期のヘルスケアにおいて重要であることが世界保健機関(WHO)より示されている。その人らしく幸せな高齢期を過ごすためには、心身機能低下や健康障害の程度を把握するだけでなく、こころの健康を含む内在的能力を総合的に評価することが大切。そして、個人の持ち得る能力を活かしたフレイルティ予防対策を展開することが望まれる。
新しいフレイルティ評価票の開発
以上を背景として研究班は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)長寿科学研究開発事業(2024から2025年度)の助成を受け、健常からエンド・オブ・ライフまで経時的に利用可能な、新しいフレイルティ評価票(frailty-intrinsic capacity index:FR-IC Index)を開発した。
この評価票はフレイルティの程度に加えて、内在的能力の評価も可能。開発にあたり、保健・医療・介護分野の多職種の専門家だけでなく、誰でも利用可能な内容とすることを目指した。定期的に利用することで、個人の健康状態を経時的に評価することができる。
「利用のてびき」も公開されており、ICOPE(Integrated Care for Older People:高齢者のための包括的ケア)に基づき、本人が保持する内在的能力に着目した介入方法も解説されている。
フレイルティ評価票「FR-IC Index(フリックインデックス)」

研究者らは、「フレイルティ評価票『FR-IC Index』を活用し、ご自身や家族、患者や被介護者等のフレイルティの程度とともに、内在的能力を把握することを勧める本評価票が日本全国で広く活用され、フレイルティの進行抑制を含む包括的ケアの展開につながることを期待している」としている。







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