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食事スタイル変更で腸内細菌叢はどう変わる? 地中海食、低FODMAP食、日本食などを比較解析

身体的・精神的健康とのさまざまな関連が示されてきている腸内細菌叢の組成は、食事スタイルの変更でどの程度変化するのだろうか。この疑問を既報研究のシステマティックレビューで検討した結果が報告された。地中海食や日本食を含む13パターンの食事介入の影響を解析した結果、短鎖脂肪酸産生菌や乳酸産生菌の増加や炎症マーカーの低下との関連が認められる食事スタイルなどが浮かび上がったという。

食事スタイル変更で腸内細菌叢はどう変わる? 地中海食、低FODMAP食、日本食などを比較解析

特定の食品の上乗せではなく、食事スタイル変更の介入効果を検討

腸内細菌叢の組成が代謝性疾患、慢性炎症、神経疾患、精神疾患、免疫能などと関連していることは近年、多くの臨床領域でトピックとして取り上げられている。また、腸内細菌叢の組成を何らかの方法で変えることが、疾患の治療やリスク抑制につながる可能性を示した研究も報告されてきている。腸内細菌叢の組成を変える方法として、糞便移植や抗菌薬の使用、減量・代謝改善手術なども挙げられるが、最も影響力があり介入のハードルが低い方法は、食事スタイルの変更と考えられる。

既に、地中海食への変更によるフレイルリスク抑制、発酵食品や食物繊維の摂取量を増やすことによる免疫能の改善など、介入研究の結果が報告されている。ただしこれまでのところ、腸内細菌叢と疾患リスクや健康指標との関連を検討した研究は、横断的デザインによるもの、または何らかの機能性食品を上乗せして介入効果をみたものが多い。これを背景に今回取り上げる論文の研究では、食事スタイルを変更することの腸内細菌叢への影響をシステマティックレビューにより検討している。

文献検索について

システマティックレビューとメタ解析のための優先レポート項目(PRISMA)に準拠し、PubMed、EMBASE、Cochrane Central Register of Controlled Trials、CINAHL、Scopusという文献データベースを用いた検索が行われた。それぞれのデータベースのスタートから2024年12月10日までに収載された文献を、収載日を制限せずに検索対象とした。

包括基準は、ヒトを対象として食事スタイルを変更する介入を行い、対象群・条件との比較が可能なデザインで、腸内細菌叢のα多様性、β多様性、分類学的組成への影響を検討した研究であり、副次的アウトカムとして、血液、糞便、尿で測定されたバイオマーカーへの影響の報告も含めた。一方、学会発表、レビュー論文、学位論文、灰色文献、および英語以外の言語で書かれている文献は除外した。また、食事スタイルへの介入ではなく、単一の食品や栄養素を上乗せしたのみの介入や、一般的な食事指導介入(バランスのよい食事の推奨など)、食事以外の介入(例えば運動)を並行して行い食事のみの影響を評価できない報告も除外した。なお、食物繊維やポリフェノールなど特定の栄養素の摂取量を増やす目的で、食事の摂り方を全体的に変更する介入は適格とした。

介入に用いられていた食事スタイル

一次検索で2万1,623報がヒットし、ハンドサーチで特定した33報を追加したのち、重複を削除して1万9,276報を2名の研究者が、タイトルと要約に基づくスクリーニングを実施。205報を全文精査の対象として、最終的に80件の研究報告を適格と判断した。

介入に用いられていた食事スタイルは、地中海食が23件、西洋スタイルの食事4件、韓国食、日本食、北欧食が各1件、低FODMAP食が13件、ケトジェニック食が5件、グルテンフリー食が2件、カロリー制限食14件などだった。

α多様性、β多様性、短鎖脂肪酸などに有益な食事スタイルと有害な食事スタイル

α多様性への影響

地中海食、韓国食、カロリー制限食、低脂肪食は、腸内細菌叢の個人内の多様性の指標であるα多様性の増加と関連していた。

低FODMAP食、ケトジェニック食、低炭水化物食は、α多様性との関連性が一貫しておらず、正の相関を報告している研究もあれば負の相関を報告している研究もあった。

西洋食、グルテンフリー食、高タンパク質食、低タンパク質食、動物性食品中心の食事、植物性食品中心の食事、サイコバイオティクス食、高ポリフェノール食、高繊維食は、α多様性の変化がみられなかった。

日本食、北欧、高炭水化物食、高脂肪食は、α多様性を検討した報告がみられなかった。

β多様性への影響

西洋食、韓国食、低FODMAP食、カロリー制限食、ケトジェニック食、低炭水化物食、低脂肪食、動物性食品中心の食事、植物性食品中心の食事、高繊維食は、対象集団の腸内細菌叢の多様性の指標であるβ多様性の増加と関連していた。

地中海食、グルテンフリー食、高タンパク質食、低タンパク質食、サイコバイオティクス食、高ポリフェノール食は、β多様性の変化がみられなかった。

日本食、北欧、高炭水化物食、高脂肪食は、β多様性を検討した報告がみられなかった。

短鎖脂肪酸産生菌を増やす食事と減らす食事

地中海式、日本食、韓国食、カロリー制限食、高ポリフェノール、高繊維、植物性、低脂肪、低タンパク質の食事はすべて、短鎖脂肪酸産生菌の増加または乳酸産生菌の増加、あるいは日和菌の減少と関連していた。これらの食事療法の中には、炎症マーカーの低下と関連するものもあった。

一方、西洋食、動物性食品中心の食事、低FODMAP食、ケトジェニック食、グルテンフリー食は、短鎖脂肪酸産生菌の減少と関連していた。

なお、短鎖脂肪酸は発酵性食物繊維などが腸内細菌で資化されることで発生する脂肪酸であり、主に酢酸、酪酸、プロピオン酸が該当する。短鎖脂肪酸は、腸管上皮エネルギー源となるほか、腸管バリア機能の維持、炎症抑制、制御性T細胞を増やすことによる免疫調整、食欲や糖・脂質代謝の調節に関与している。現在、腸内細菌叢との関連が認められている種々の健康上の利点の多くは、これら短鎖脂肪酸の関与が大きいと考えられている。

著者らは、「本システマティックレビューの結果は、さまざまな食事介入と腸内細菌叢や炎症マーカーなどとの、有益な影響と有害な影響という双方の異なる関連性を明らかにしている」と結論づけるとともに、「研究間に方法論や評価指標に大きなばらつきが見られた」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Dietary interventions and the gut microbiota: a systematic literature review of 80 controlled clinical trials」。〔J Transl Med. 2026 Jan 7;24(1):39〕
原文はこちら(Springer Nature)

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