国内のサプリメント利用者の約2割が「摂りすぎ」 安全利用へ情報提供の重要性を示唆 東邦大学
サプリメント利用者の2割近くが摂取目安量を超えた量を摂取しているという実態が報告された。東邦大学の研究グループが二千人のサプリ利用者を対象に行った調査の結果であり、論文が「Interactive Journal of Medical Research」に掲載されるとともに、同大学のサイトにプレスリリースが掲載された。

東邦大学の研究グループは、サプリメントの購買履歴データを活用して、メーカーが提示する摂取目安量を超える摂取(以下、過剰摂取)の実態と、その関連要因を明らかにした。2,002人のサプリメント利用者のうち18.5%(371人)が1日あたりの摂取目安量を超えた量を摂取していた。さらに、この過剰摂取者371人のうち、食事摂取基準で「耐容上限量(UL)」が定められている栄養素を含む製品を使用していた297人について分析したところ、58%が少なくとも1種類の栄養素について、サプリメントからの摂取量が耐容上限量を超えていた。研究者らは、「本研究は、健康食品の安全な利用に向けた注意喚起や、表示・情報提供のあり方を検討するうえで役立つ可能性がある」としている。
発表のポイント
- サプリメント利用者の18.5%(371/2,002人)が、メーカーの示す摂取目安量を超えてサプリメントを摂取していた。
- 摂取目安量を超えた摂取(過剰摂取)は、年齢が50~64歳の範囲、有職(パートタイムまたはフルタイム勤務)、錠剤タイプ(とくに水溶性ビタミン単剤)の使用、6カ月以上の継続使用などと関連していた。
- 耐容上限量(習慣的な摂取量の上限〈tolerable upper intake level;UL〉)が設定された栄養素を含む製品を摂取していた1,705人のうち、摂取目安量を超えていた人は17%(297/1,705人)で、そのうちの62%(184/297人)が、1種類以上の栄養素で耐容上限量を超過していた。
発表概要:日本人のサプリ利用者の利用実態が明らかに
サプリメントを含むいわゆる健康食品は健康維持や栄養補給の目的で広く利用される一方、摂取量が多くなると一部の栄養素で過剰摂取となり、健康リスクにつながる可能性がある。しかし、利用者がメーカーの示す摂取目安量を実際に守れているか、また摂取目安量を超えている場合に、その要因は何であるかについては、十分に検討されていなかった。
本研究では、購買履歴データを活用して対象者が購入したサプリメント製品を特定し、オンライン形式で摂取の実態を調査した。過去3カ月間に主要25製品のいずれかの購入歴があり、直近1カ月以内に使用、または定期的に使用している日本人成人2,002人(18~74歳)を対象に、自己申告の摂取量・頻度から1日摂取量を推定し、製品のメーカーが示す摂取目安量と比較した。さらに、多変量ロジスティック回帰分析により、過剰摂取と関連する社会人口学的要因・使用習慣を調べるとともに、サプリメント由来のビタミン・ミネラル摂取量が「日本人の食事摂取基準」に基づく耐容上限量を超えている人の割合を算出した。
その結果、過剰摂取はサプリメント利用者の18.5%(371/2,002人)に認められ、50~64歳の年齢(比較対照:34~49歳)、有職者であること(同:無職)、錠剤タイプの使用(同:液体タイプ)、とくに水溶性ビタミン単剤の使用(同:マルチビタミン・マルチミネラル)、6カ月以上の継続使用(同:3カ月未満)、意図的に推奨量より多く摂る行動(同:摂取目安量と同じ量を摂っていると認識している人)と有意に関連していた。
さらに、耐容上限量の定められた栄養素を含む製品を摂取していた1,705人に限ると、過剰摂取群297人のうち、62%(184人/297人)が、1種類以上の栄養素で耐容上限量を超える摂取をしており、健康食品の安全な利用に向けた情報提供の重要性が示唆された。
発表内容:習慣的なサプリ利用者約二千人を対象とする調査で課題を特定
背景:サプリの利用実態はあまり把握されていなかった
サプリメントを含む健康食品の利用は各国で増加しており、栄養補給に役立つ一方で、摂取量が多くなることで一部の栄養素の過剰摂取が起こり得る。欧米では製品ラベルに推奨目安量の表示が求められることが多いものの、サプリメント利用者がその摂取目安量を守っているか否かに関する研究は限られていた。さらに、これまでのサプリメントに関する研究では、製品名を自己申告で把握することが多く、製品の特定が難しくなることが課題だった。
目的:目安量を超える摂取の関連要因などを探索
本研究の目的は、以下の二つとした。
- メーカーが示す摂取目安量を超えるサプリメントの摂取(過剰摂取)と関連する要因を明らかにすること。
- サプリメントの過剰摂取が、耐容上限量の超過につながり得るかを把握すること。
方法:主要25製品の購入歴のある人を対象にオンライン調査
本横断研究は、2024年11~12月に、購買履歴情報を有するモニターを対象にして実施した。まず、2024年3~6月のモニター全体の購買履歴から、購入頻度の高い主要25製品を選定(図1-Step 1)。次に、過去3カ月間に主要25製品のいずれかの購入歴がある人を参加者の候補として選び(図1-Step 2)、オンライン質問票調査のリンクを送った。そして、スクリーニングの質問で、自分のために製品を購入していて、直近1カ月以内に使用、または定期的に使用していると回答した日本人成人を本調査の参加者とした(図1-Step 3)。
本調査では、購入・使用している製品について、1回あたりの摂取量と摂取頻度を含む、利用の習慣を尋ねた。回答した人の中から最終的に2,002人(18~74歳)(図1-Step 4)が解析対象者となった。
図1 調査のフレームワーク

自己申告の1回あたり摂取量と摂取頻度から1日摂取量を推定し、メーカーが示す製品の摂取目安量と比較し、超過している者を過剰摂取群とし、まず、過剰摂取群と摂取目安量以下の群とで、対象者の特性を比較。そして、多変量ロジスティック回帰分析により、過剰摂取と関連する社会人口学的要因・使用習慣を調べた。さらに、サプリメント由来のビタミン・ミネラル摂取量が「日本人の食事摂取基準(2025年版)」に基づく耐容上限量を超えている人の割合を算出した。
結果:18.5%が過剰摂取で、その6割は1種類以上の栄養素の耐容上限量を超過
サプリメント利用者のうち、18.5%(371/2,002人)が過剰摂取群に分類された。過剰摂取群は摂取目安以下の群と年齢、性別、サプリメントの形態、主な栄養素、使用期間、使用前に摂取目安量を確認したか、自分の摂取量に関する認識に有意な差があった(表1)。
表1 対象者特性の比較

多変量ロジスティック回帰分析の結果、過剰摂取は、年齢(50~64歳)、有職(パートタイムまたはフルタイム勤務)、錠剤タイプ(とくに水溶性ビタミン単剤)の使用、6カ月以上の継続使用、意図的に推奨量より多く摂る行動と関連していた(表2)。
表2 摂取目安量超の使用と関連する要因

さらに、耐容上限量(UL)の定められた栄養素を含む製品を摂取していた人(1,705人)に限ると(図2)、過剰摂取群297人のうち、62%(184/297人)が、1種類以上の栄養素で耐容上限量を超過しており、サプリメントの安全な利用に向けた情報提供の重要性が示唆された。
図2 摂取量が耐容上限量(UL)を超えている人とUL以下の人の人数

結論:適切な利用の啓発が重要
日本人成人のサプリメント利用者において、過剰摂取が一定割合(約2割)で生じており、過剰摂取は中高年、有職者、錠剤(とくに水溶性ビタミン単剤)の使用、長期使用などと関連していた。サプリメントの過剰摂取は耐容上限量の超過につながり得ることから、利用者が推奨量を理解しやすい情報提供や、製品選択・摂取行動に関する啓発の重要性が示唆される。
プレスリリース
日本人でサプリメントの「過剰摂取」はどのくらい起きているのか?~過剰摂取者の割合と関連要因の横断的調査~(東邦⼤学)
文献情報
原題のタイトルは、「Prevalence and Associated Factors of Excessive Dietary Supplement Use Among Japanese Adults: Cross-Sectional Study」。〔Interact J Med Res. 2026 Mar 19:15:e82623〕
原文はこちら(JMIR Publications)







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