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デイケアサービス利用者での社会的フレイルの実態 食欲や栄養状態との関連の横断的検討

デイケアサービスを利用している高齢者を対象に、社会的フレイルの実態や食事・栄養状態などとの関連を調査した結果が報告された。社会的フレイルは筋肉量の少なさや同居家族の少なさと関連していることなどが示されている。高島平中央総合病院リハビリテーション科の山下司氏らの研究によるもので、論文が「Journal of Physical Therapy Science」に掲載された。食欲に関しては独居者のほうが良好であり、しかし筋肉量は少ないという。

デイケアサービス利用者での社会的フレイルの実態 食欲や栄養状態との関連の横断的検討

社会的フレイルが課題となることの多いデイケアサービス利用者を対象に調査

フレイルは健常な状態と要介護状態の中間に位置し、介入によって可逆的な変化を期待できる段階とされる。フレイルは、身体的フレイル、心理的フレイル、そして社会的フレイルという三つに大別される。このうち身体的フレイルに関しては多くの知見が蓄積されてきているのに対して、社会的フレイルについては、リスクに影響を及ぼし得る因子が幅広く存在することもあり、いまだ実態の理解が十分進んでいない。しかし、身体的フレイルのリスク因子とされる栄養不良が、社会的フレイルにも関与しているとする報告が存在する。これらを背景として山下氏らは、デイケアサービスを利用している高齢者を対象として、社会的フレイルと食事摂取状況や体組成などとの関連を横断的に検討した。

なお、研究対象をデイケアサービス利用者としたことについて論文では、施設居住者を対象とした場合は身体的フレイルやサルコペニアが多くを占めることになり、地域社会への参加機会の多寡がリスクに強くかかわる社会的フレイルの調査には、デイケアサービス利用者のほうが適していると述べられている。

半数強が社会的フレイル、3分の1がプレ社会的フレイル

この研究は、徳島県に所在するデイケアセンター単施設で、2024年8~9月に実施された。徳島県は65歳以上の高齢者が人口の35.9%を占め、全国3位の高齢化率。また高齢の独居者も多いという特徴がある。

研究参加に同意した59人のうち、認知機能低下の兆候が認められる人や解析に必要なデータに欠落のある人などを除外すると48人になった。このうち男性が3人含まれていたが、サンプルサイズが小さすぎると判断し除外。45人の女性のみを解析対象とした。

社会的フレイルは、先行研究(DOI: 10.1016/j.jamda.2018.09.013)に基づき、(1)基本的社会ニーズの充足、(2)社会資源、(3)社会的行動や活動、(4)一般的資源という4項目を評価し、すべてが満たされている場合は「ロバスト(健常)」、1項目が満たされていない場合は「プレ社会的フレイル」、2項目以上満たされていない場合は「社会的フレイル」と判定した。その結果、5人(11.1%)がロバスト、15人(33.3%)がプレ社会的フレイル、25人(55.6%)が社会的フレイルと分類された。

社会的フレイルに該当するか否かでBMIは同等だが筋肉量などに有意差

各群の平均年齢は、ロバスト群が82.4歳、プレ社会的フレイル群が83.7歳、社会的フレイル群が85.0歳であり、有意差はなかった。また、BMIは同順に23.4、23.0、23.6であって、こちらも有意差はなかった。

社会的フレイル群に、筋肉量が少ない、処方薬が多い、同居者が少ないなどの特徴

一方、筋肉量や位相角(phase angle;PhA)などの体組成指標、同居者数、処方薬剤数などに、以下のような有意差が認められた。いずれも、ロバスト群、プレ社会的フレイル群、社会的フレイル群の順に示す(表1、表2、表3、表4)。

●表1 筋肉量(kg)
ロバスト群34.1±1.37*
プレ社会的フレイル群32.2±3.48
社会的フレイル群30.9±2.02*
*は有意差があることを示す
●表2 PhA(度)
ロバスト群中央値3.9
(四分位範囲3.7~4.2)
プレ社会的フレイル群中央値4.3
(四分位範囲4.2~4.8)*
社会的フレイル群中央値3.9
(四分位範囲3.6~4.1)*
*は有意差があることを示す
●表3 処方薬数
ロバスト群中央値5(3~6)
プレ社会的フレイル群中央値3(2~5)*
社会的フレイル群中央値5(4~8)*
*は有意差があることを示す
●表4 同居者数
ロバスト群3(3~3)*
プレ社会的フレイル群2(1~3)
社会的フレイル群0(0~2)*
*は有意差があることを示す

上記のほかに評価した、握力、骨格筋量指数(skeletal muscle mass index;SMI)、歩行速度、基礎代謝量、要介護度、および、簡易栄養状態評価尺表短縮版(Mini Nutritional Assessment Short-Form;MNA-SF)、日本人高齢者用簡易食欲評価質問票(Simplified Nutritional Appetite Questionnaire for Japanese Elderly;SNAQ-JE)のスコアに、群間の有意差はなかった。

食欲の有無では、骨格筋量指数(SMI)と同居者数に有意差

SNAQ-JEのスコアが15点未満を食欲の低下と定義すると、食欲低下者が23人、食欲正常が22人と、ほぼ半数ずつとなった。

この2群で比較した場合、食欲低下群は骨格筋量指数(SMI)が低く(5.96±0.32 vs 6.33±0.82kg/m2)、同居者数が多いという(中央値2〈四分位範囲2~3〉 vs 0〈0~2〉)、有意差が観察された。

BMI、位相角(PhA)、握力、基礎代謝量、処方薬数、要介護度、MNA-SFスコアには有意差がなかった。

この研究で明らかになったポイント

これらの結果に基づく考察から、著者らはいくつかのポイントを掲げている。

社会的フレイル該当者は独居者に多く、筋肉量が減少し筋肉の質が低下

まず、ロバスト、プレ社会的フレイル、社会的フレイルの3群のすべてで平均BMIは約23であり、基本的な特性にも大きな差は認められなかった。ただし、社会的フレイル群は筋肉量が少なくて同居家族が少なく、独居高齢者は身体機能が低下する傾向が確認された。

また、社会的フレイル群は位相角(PhA)がプレ社会的フレイルより低値だった。PhAは細胞膜機能を反映し、筋肉の質とも関連していることが報告されている。本研究において社会的フレイル群で観察されたPhAの低さは、社会的フレイルがサルコペニアのリスクとも関連している可能性を示唆するものと考えられた。

一方、ロバスト群との間にPhAの有意差は認められなかった。この点については、ロバスト群のサンプルサイズ(5人)が小さいためではないかと述べられている。

社会的フレイル該当者にはポリファーマシーが多い

社会的フレイル群は処方薬が多くポリファーマシー(多剤併用)の傾向が観察された。ポリファーマシーでは転倒等のリスクが上昇することが知られている。著者らは、それらのリスク抑制のために、デイケアサービスにおいても医療従事者間の連携を強化し、優先度が高くない薬剤を減らす工夫や、予防的な理学療法を奨励すべきとしている。

社会的フレイルは食欲低下とは関連していない

食欲に関しては、社会的フレイルとの有意な関連がみられなかった。むしろ社会的フレイルの該当者が多い独居者においては、食欲低下が少なかった。この理由としては、同居者がいても食事は一人で食べている高齢者の存在が想定されること、また、独居者は本人の好みで自由な食品を食べられることなどが考えられるという。

著者らは本研究に、男性が対象に含まれていないこと、サンプルサイズが十分とは言えないことなどの限界点があるとしたうえで、社会的フレイルに関する一層の研究の必要性を指摘している。

文献情報

原典論文のタイトルは、「Social frailty and appetite status and their associations with physical, nutritional, and lifestyle factors in community-dwelling older women attending a day-care service」。〔J Phys Ther Sci. 2026 Apr;38(4):179-185〕
原文はこちら(J-STAGE)

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