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競技会参加者でない人のほうがドーピングに甘い? ノルウェーの横断調査で浮かび上がった課題

若年の男性、競技会参加者ではない人、サプリメント使用に積極的な人は、ドーピングに親和性が高い可能性のあることが、ノルウェーでの横断調査の結果として報告された。著者らは、これらの人々にアンチ・ドーピング対策を強化することが有効ではないかと述べている。

競技会参加者でない人のほうがドーピングに甘い? ノルウェーの横断調査で浮かび上がった課題

ドーピング対策の先進国、ノルウェーでの横断調査

今回取り上げる論文の研究はノルウェーで実施された。同国は、世界アンチ・ドーピング機構(World Anti-Doping Agency;WADA)によって、世界で最も効果的にアンチ・ドーピングを推進している国と評価されている。同国では、教育の過程や公共機関でアンチ・ドーピング教育が提供され、商業スポーツ施設でもドーピング検査が実施されていて、さらに最近では刑務所内でもアンチ・ドーピング教育が開始されたという。また同国の人々自身も、ドーピング施策においてノルウェーが道徳的リーダーであることを自任する傾向があるとのことだ。

とはいえ、ノルウェーの人々のドーピングに対する考え方や態度に関する知見が十分存在しているわけでないことから、オンライン調査に基づく本横断研究が実施された。

オンライン調査の実施期間は2021年10月~2022年11月で、回答への適格基準は定期的にスポーツや身体活動を行っている18歳以上とされ、ソーシャルメディアやスポーツ施設内に貼付したQRコード付きのポスター、研究者のネットワークなどを通じて募集された。

調査の質問項目として、「スポーツサプリメントに関する信念尺度(Sports Supplements Belief Scale;SSBS)」および「パフォーマンス向上に対する態度尺度(Performance Enhancement Attitude Scale;PEAS)」を用いた。

解析対象者の特徴

調査期間中に1,624人が調査サイトにアクセスし、このうち18歳以上で解析に必要な項目に回答していた1,441人(31.3±11.6歳、女性44%)を解析対象とした。

全体として174人は現在、レクリエーションアスリート(以下、非競技者)であり、768人が競技アスリート(以下、競技者)であった。過去3年以内に参加した最も上位の大会は、地域レベルが99人、地方レベルが141人、全国レベルが268人、国際レベルが152人だった。

若年の男性レクリエーションアスリートは、ドーピングへの親和性がやや高い可能性

サプリメントの使用率は58%

対象の58%が何らかのサプリメントを使用していると回答した(女性55%、男性60%)。競技参加者と非参加者に分けると、それぞれ59%と57%だった。

使用しているサプリの種類としては、ビタミンとミネラル(38%)が多く、次いでカフェイン(35%)、タンパク質/アミノ酸(31%)、クレアチン(27%)などだった。サプリ使用者のうち、8%は1種類のみを使用し、32%が2種類を使用、3種類は21%、4種類20%であり、5種類使用している人も15%存在した。

サプリ使用の考え方は中間的。パフォーマンス向上に対する姿勢は属性で有意差

サプリ使用者は「スポーツサプリメントに関する信念尺度(SSBS)」で中間的な回答をする傾向があり(3.53±1.06)、部分的に同意または非同意していることが示された。競技者と非競技者との比較では有意差はなかった。

一方、「パフォーマンス向上に対する態度尺度(PEAS)」の平均は1.66±0.65であり、全体として完全な非同意または部分的な非同意であることが示された。PEASは、競技者(1.60±0.61)よりも非競技者(1.76±0.69)のほうが高く、またサプリ非使用者(1.57±0.54)より使用者(1.73±0.70)のほうが高く、それぞれ有意差があった。

ドーピングの親和性は非競技者、サプリ使用者で高い

ドーピングにつながる可能性のある考え方は、競技者(1.59±1.18)よりも非競技者(1.82±1.34)のスコアのほうが高値であり、またサプリメント非使用者(1.46±0.92)よりも使用者(1.83±1.24)のほうが高く、それぞれ有意差があった。

架空シナリオへの回答

競技者および非競技者に対して、それぞれ次のような架空のシナリオを提示し、どのように対処するかを質問した。競技者への架空シナリオとは、「最も重要な試合の1週間前に、パフォーマンスの不調を感じている。チームメイトにそのことを話すと、彼は体力とパフォーマンスを向上させる新しい物質を使っていると教えてくれた。その物質はスポーツでの使用が禁止されているが、使用したとしてもあなたが捕まる可能性はまずない」というもの。非競技者へのシナリオは、設定の前半を「最近、トレーニングが計画どおりに進まず、効果も得られていないと感じている」と変更し、後半は同様。

解析の結果、非競技者のほうが架空シナリオを支持する可能性が高いという有意差が示された。

年齢を重ねるとドーピング親和性が低下する傾向

次に、年齢との関連を解析。年齢は、全体としてサプリ使用の考え方には有意な関連がなかった。しかし、ドーピングの親和性との間には、高齢であるほど親和性が低いという負の有意な関連がみられた。

競技者と非競技者に分けて解析すると、非競技者においては、年齢とサプリ使用を支持する考え方、およびドーピング親和性との間に、それぞれ有意な負の関連がみられた。

多重回帰分析からは、若年の男性、非競技者、サプリ使用支持者は、ドーピングの親和性が高い傾向がみられた。ただし、対照群との差は小さく、参加者は全体的にドーピングに反対する傾向にあった。

著者らは、「ノルウェーのスポーツ選手は一般的にサプリメント使用については中間的な態度だが、ドーピング行為には反対している。サプリ使用とドーピング親和性は、弱いながらも関連が認められた。群間差は小さいとはいえ、若年の競技会に参加していない人々のサプリ使用の考え方に焦点をあてた施策が、アンチ・ドーピング対策の効果を高める可能性がある」と総括している。

文献情報

原典論文のタイトルは、「Dietary Supplement Use and Doping Attitudes: A Cross-Sectional Survey」。〔Sports (Basel). 2026 Mar 26;14(4):131〕
原文はこちら(MDPI)

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