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持久系の女性アスリート82%にREDsリスク 非持久系の2.4倍で重症例も フィンランド調査

女性アスリートのスポーツにおける相対的エネルギー不足(REDs)の該当者率を、競技別に比較検討した結果がフィンランドから報告された。持久系アスリートは非持久系アスリートに比べ、リスクを有するオッズが2.4倍だという。

持久系の女性アスリート82%にREDsリスク 非持久系の2.4倍で重症例も フィンランド調査

REDsの該当者率を競技別に比較

女性アスリートのスポーツにおける相対的エネルギー不足(relative energy deficiency in sport;REDs)の該当者率は、報告により20~80%と広い範囲に分布している。これは調査対象の相違が主な原因と考えられるが、研究アプローチの相違が少なくとも部分的に関係している可能性がある。たとえば、自己申告に基づく症状の把握、食事調査の手法などの違いの影響が考えられる。また、REDsの基盤は利用可能エネルギー不足(low energy availability;LEA)であると理解されているものの、競技の種類、心理的ストレス、遺伝的背景などが関与している可能性もある。しかしこれまでのREDs該当者率に関する研究の多くは、単一の競技集団を対象としたものが多く、競技間での比較は十分できていない。

今回取り上げる論文の研究では、フィンランドのユヴァスキュラ大学で実施された、運動パフォーマンスと栄養に関する3年間の縦断研究(NoREDS研究)のベースラインデータを用いて、女性アスリートのREDs該当者率を競技別に、非アスリート集団も含めて比較検討されている。なお、NoREDS研究には同国のTier3~4(国内~国際レベル)、年齢16~35歳のアスリート388人が参加していた。本研究では、性別が女性であり、データ欠落のないアスリート137人と、年齢層の一致する非アスリート女性20人、計157人を解析対象とした。

アスリートは、持久系競技50人(長距離走、クロスカントリースキー、ノルディック複合、バイアスロン、トライアスロン、オリエンテーリング、競歩)、スピード・パワー系競技50人(スキージャンプ、短距離走、チアリーディング、バレーボール、やり投げ)、団体競技・インターバル競技37人(7人制ラグビー、アイスホッケー、バスケットボール、アメリカンフットボール、体操団体)で構成されていた。

REDsリスクについては、国際オリンピック委員会によるREDs臨床評価ツール第2版(REDs-CAT2)により評価した。体組成や骨密度の評価には二重エネルギーX線吸収測定(DXA)を用い、摂食障害関連行動は12項目の摂食障害検査質問票短縮版(Eating Disorder Examination Questionnaire Short Form;EDE-QS)を用いた。食事記録にはオンラインアプリを用いた。

持久系アスリートは利用可能エネルギー量が高いにもかかわらず、REDsハイリスク

各群の基本的な特徴の比較

まず、各群の基本的な特徴を比較すると、以下のような点で有意な相違が認められた。

BMIは、持久系は20.8±1.7であり、スピード・パワー系(以下、パワー系と省略)の23.3±2.8や団体競技・インターバル競技(以下、団体競技と省略)の24.0±3.6に比較し有意に低値だった。

エネルギー摂取量は持久系が最も高く2,598±582kcal/日であり、他の二つのアスリート集団は上記と同順に、2,279±517kcal/日、2,164±456kcal/日であり、いずれも持久系より有意に低かった。利用可能エネルギー(energy availability;EA)は持久系39.2±12.3kcal/kg除脂肪体重〈fat-free mass;FFM〉/日、パワー系32.3±9.4kcal/kg FFM/日、団体競技35.5±8.1kcal/kg FFM/日であり、持久系とパワー系との間に有意差が認められた。

REDsリスクの該当者率

競技カテゴリー別にみたREDsリスクの該当者率は以下のとおり。

持久系は緑(リスクなし、または低リスク)が17.9%、黄色(中等度リスク)が51.3%、オレンジ(高リスク)が17.9%、赤(重篤)が17.9%。

パワー系は緑が36.4%、黄色が45.5%、オレンジが13.6%、赤が4.5%。団体競技は同順に、33.3%、45.8%、12.5%、8.6%。非アスリートは35.0%、50.0%、15.0%であり、赤(重篤)の該当者はいなかった。

要約すると、持久系アスリートでは82.0%がREDsリスクを有しており、非持久系アスリートでは65.4%だった。二項ロジスティック回帰分析の結果、持久系アスリートのREDsリスクは非持久系アスリートに対してオッズ比(OR)2.41(95%CI;1.06~5.51)であり、有意に高リスクであることが示された。

REDs評価指標別の比較

REDs評価指標別に該当者率を比較すると、まず、ホルモン避妊薬を使用していない人における無月経については、持久系36.1%、パワー系33.3%、団体競技16.7%、非アスリート0%であった。

遊離トリヨードサイロニン(T3)は同順に、4.5、5.6、4.6、4.9pmol/Lであり、持久系はパワー系より有意に低値であった。また、RMR比(実測安静時代謝量〈resting metabolic rate;RMR〉/カニンガム式予測値)は、50%、62%、56%、59%であり、持久系は他の集団より有意に低値であった。これらは総じて持久系アスリートに代謝抑制が生じていることを示唆している。

腰椎の骨密度のZスコアは、0.6、1.8、1.4、1.1であり、持久系は他のアスリート集団より有意に低値だった。また大腿骨頸部の骨密度については1.3、2.3、1.8、1.1であり持久系とパワー系との間に有意差が存在した。

心拍数は、50、62、56、59bpmであり、持久系は他の集団より有意に低値であった。

REDsのリスク評価において、単一のマーカーに依拠することはできない

上記以外のデータの解析に基づく考察として、著者らは以下のようにポイントをまとめている。

REDsはLEA以外の因子の影響も関与している

持久系アスリートは、他のグループよりもT3、RMR、インスリンレベルが低く、これらの所見がエネルギー利用可能性の低下と骨の健康状態の悪化に関連しているとする、先行研究と一致する結果が示された。

しかし、本研究のデータでは、利用可能エネルギー量と炭水化物摂取量は持久系アスリートが高かった。また、スピード系およびパワー系アスリートは、骨ストレス損傷の発生率が高いにもかかわらず、持久系アスリートよりもT3が高く、骨代謝は良好だった。

これらは、REDの多因子的な性質を強調するものであり、またアスリートの骨の健康状態の把握に際しては、骨密度と骨ストレス損傷歴の双方を評価することの重要性を示している。

心拍数が低いことは競技特有の文脈での解釈が必要

持久系アスリートは、他の競技アスリートや非アスリートに比べて安静時心拍数が低かった。これはREDsに関連するものと見なすことも可能だが、心拍数の低下は高負荷有酸素トレーニングに対するよく知られた適応でもある。

よってこのような生理学的所見は単独で解釈するのではなく、競技特有の文脈の中で解釈する必要があることが示唆される。

持久系アスリートはREDsリスクに、より注意を払う必要がある

我々の究は、REDsリスクがスポーツ全体に存在するものの、均一に分布しているわけではないことを示している。持久系アスリートはREDsリスクが最も高く、スクリーニングとフォローアップにとくに注意を払う必要があることが裏付けられた。

また、非アスリート集団にもREDs関連指標がいくつか観察された。これは、REDsリスクが競技スポーツに限定されるものではないことを示唆している。ただし、これが競技スポーツ以外のREDsリスクを反映しているのか、一部の指標の特異性によるものなのかは不明であり、今後の研究が必要である。

文献情報

原典論文のタイトルは、「Sport-specific prevalence of Relative Energy Deficiency in Sport (REDs) risk among Finnish female national- and international-level athletes」。〔J Sci Med Sport. 2026 May 8:S1440-2440(26)00190-8〕
原文はこちら(Elsevier)

SNDJ特集「相対的エネルギー不足 REDs」

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