健康維持に役立つサプリメントとは? システマティックレビューに基づくサプリメントの概説
サプリメントの健康への影響に関する、文献レビューによる総説を紹介する。インドの研究者らによるもので、マルチビタミン・ミネラルのほか、ω3脂肪酸、クルクミン、コエンザイムQ10などのサプリについても解説されている。

高所得国でも高齢者を中心に微量栄養素不足がみられる
世界で20億人以上が微量栄養素欠乏症のリスクに直面しているという報告がある。その多くは低~中所得国の国民ではあるものの、高所得国においても高齢者のかなりの割合が微量栄養素不足であるとする報告がある。微量栄養素の不足がこのように蔓延していることを考慮すると、マルチミネラル・ビタミン(multivitamin and mineral;MVM)のサプリメントは実用性の高いアプローチと考えられる。MVMサプリが栄養状態の改善やある種の慢性疾患の進行抑制に有用とする報告もみられる。こうした背景から著者らは、MVMを含む各種サプリメントの有用性に関するシステマティックレビューを行った。
文献検索にはPubMedとGoogle Scholarを用い、英語で報告されている論文を抽出。メタ解析などは実施せず、栄養素またはサプリ成分別の概説、および疾患や特定の集団におけるサプリ戦略について総括されている。前者の概説のうちMVMに関しては、国内では多くの情報源があるためここでは触れずに、その他のサプリメントの概説および疾患や特定の集団におけるサプリ戦略の要旨を紹介する。
サプリメントの概説
論文では以下のような内容が、成分や植物名、報告されている働き、豊富に含む食品・植物の順に、表形式でまとめられている。一部を抜粋して示す。
| 成分 | 報告されている働き | 豊富に含む食品・植物 |
|---|---|---|
| アルファリポ酸 | 糖尿病性神経障害の改善・予防、 脂質過酸化の抑制 | 内臓肉、ほうれん草、ブロッコリー、 トマト、エンドウ豆、芽キャベツ、米 |
| アミノ酸 | 胎児の発育をサポート | 肉類、野菜、アラニン、グルタミン |
| アシュワガンダ(Astaxanthin) | コルチゾールを低下させ ストレスや不安を軽減 | ウィタニア・ソムニフェラ(植物) |
| アスタキサンチン | 肌と目の健康 | 藻類、酵母、サケ、マス、 オキアミ、エビ、ザリガニ |
| ビルベリー(Bilberry) | 夜間の視機能の改善 | ビルベリー(植物) |
| ブラーフミー(Brahmi) | 記憶力と注意力を高める | バコパ・モニエリ(植物) |
| カルニチン | 心臓発作リスクを軽減、 男性の妊孕性の維持 | アボカド、カリフラワー、小麦、パン、 牛肉(レバー、腎臓、心臓)、鶏肉、ラム肉、 牛乳、カゼイン、ピーナッツ |
| コリン | 胎児や小児の脳の発達のサポート | 牛レバー、鶏レバー、卵、小麦胚芽、 ベーコン、生大豆、豚肉、リンゴ、 アボカド、トマト、ニンジン、タマネギ |
| 柑橘類バイオフラボノイド | 酸化ストレスを軽減 | 柑橘類 |
| コエンザイムQ10(ユビキノン) | 心不全における死亡リスクを抑制 | 肉、魚、ナッツ、油 |
| クルクミン | 抗炎症作用 | ターメリック |
| ドコサヘキサエン酸 | 神経発達と視覚をサポート | 魚介類、サケ、サバ、ニシン、 マス、魚油、オキアミ油、藻類油、 亜麻仁油、エゴマ油、母乳 |
| 月見草油(オエノセラ・ビエンニス) | 肌の健康を維持 | オエノセラ・ビエンニス(植物) |
| L-テアニン | リラックスと集中力をサポート | 紅茶、緑茶、白茶、烏龍茶、プーアル茶 |
| ルテイン | 目の健康をサポート | ケール、ほうれん草、ブロッコリー、 エンドウ豆、レタス、卵黄、トウモロコシ |
| リコピン | 抗酸化作用 | トマト、アプリコット、 スイカ、ピンクグレープフルーツ |
| オメガ3脂肪酸 | 抗炎症作用、心臓保護作用、 インスリン感受性の改善、骨保護作用 | 脂身の多い魚、魚油(アンチョビ、イワシ、 ニシン、カラフトシシャモ)、大豆油、 キャノーラ油、亜麻仁、チアシード、 エキウム油、ナッツ類 |
| ピペリン | 肝臓保護作用、心臓保護作用、炎症抑制 | 黒胡椒、長胡椒 |
| レスベラトロール | 炎症反応、脂質異化の調節、 細胞の解毒とリサイクルをサポート | 赤ワイン、ピーナッツ、リンゴ、生ブドウ、 桑の実、ピスタチオ、赤ブドウジュース |
| ゼアキサンチン | 視覚機能の維持・改善、抗酸化作用、 抗炎症作用、肝臓・腎臓機能の調節 | ケール、ほうれん草、レタス、ブロッコリー、 トウモロコシ、ニンジン、キャベツ、メロン、 ズッキーニ、ピーマン、キウイ、ブラックカラント、 アボカド、ラズベリー、卵黄 |
疾患管理におけるサプリのエビデンス
心血管疾患(CVD)、癌、糖尿病、認知機能、骨代謝、免疫能、加齢性眼疾患、不妊・更年期症状、スタチン関連筋症状について、サプリのエビデンスがまとめられている。
例えばCVDについては、複数の研究でCVD関連死リスクに対するマルチミネラル・ビタミン(MVM)のサプリの潜在的有用性が報告されているものの、メタ解析では否定されているとしている。一方、葉酸やビタミンB群などの特定の栄養素は、脳卒中のリスク低下と関連付けられており、また英国の大規模疫学研究であるUKバイオバンクからは、MVMサプリが心血管イベント発生率のわずかながら有意な低下と関連していたという。さらにオメガ3脂肪酸サプリは複数の研究から、CVD関連死抑制と関連づけられており、コエンザイムQ10サプリは心不全患者を含む14件の無作為化比較試験(RCT)のメタ解析で、死亡率の低下が報告されている。
癌については、MVMサプリ利用者は癌死リスクが低いことを示唆する報告がある。しかし、米国予防医学作業部会(USPSTF)は、ビタミン、ミネラル、または栄養補助食品の使用が癌予防に有効とする十分なエビデンスはないとしている。
特定の集団におけるサプリ戦略
妊婦・授乳婦および胎児、乳幼児・児童・若年者、高齢者、およびアスリートにおけるサプリ戦略が概説されている。
乳幼児・児童・若年者対象研究では、MVMサプリによる小児の脳機能改善、小児および若年者での貧血抑制、身長の伸びの促進、学業成績の向上などについて、いくつかのエビデンスが得られているとしている。
アスリート対象研究からは、適切な微量栄養素の摂取が、適切な栄養と適切な運動の組み合わせによりトレーニング効果を高めて、競技上の優位性をもたらす可能性があるという。例えば中国の野戦砲兵を対象としたRCTで、典型的な中国の食事を摂取している若い男性において1週間のMVMサプリ摂取が、心理機能、身体能力、および神経内分泌免疫系の回復をサポートしたとする報告がある。また、十分にトレーニングされた持久走者において、レースの21日前からレース後2日間のMVMサプリメント摂取が、レース後の最大筋力の回復を加速させた。
これらの知見を総合すると、MVMサプリ摂取は、激しい運動後の回復をサポートし、身体能力の回復を助けることで、アスリートに有益な効果をもたらすことが示唆されると述べられている。
文献情報
原典論文のタイトルは、「A to Z of Health: An Evidence-Based Narrative Review of Multivitamin-Multimineral and Nutraceutical Supplementation」。〔Cureus. 2026 Apr 30;18(4):e108032〕
原文はこちら(Cureus)







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