ユースサッカーの試合間隔、3日では回復が十分でない可能性 CKが高くパフォーマンスに有意差
ユース代表サッカー選手が高頻度で試合に参加した場合、クレアチンキナーゼ(CK)が高い状態が続き、多くのパフォーマンス指標に有意な低下がみられることが報告された。著者らは今後、CKが高い状態で試合に参加することによる怪我のリスクへの検討をする必要性を指摘している。ハンガリーとオーストラリアの研究者の報告。

クレアチンキナーゼ(CK)で回復を推定する
現代サッカーでは、トレーニングと試合による負荷および回復状態のモニタリングが重視され、とくに競技レベルが高いほど、この点がより重要となる。筋肉の疲労に関する研究では、クレアチンキナーゼ(creatine kinase;CK)をバイオマーカーの一つとして用いることが多い。CKはスポーツ活動後24時間でピークに達し、ベースライン値に戻るのに42~120時間を要すると報告されている。
短い試合間隔でプレーを続けることは、筋疲労の回復が不十分な状態が続いてパフォーマンスが低下したり、怪我のリスクが上昇したりする可能性がある。しかし、サッカー選手の筋疲労や回復をCKで評価した先行研究が複数存在するものの、それを試合間隔と関連づけて解析した研究は少ない。さらに、代表レベルのサッカー選手でのそのような報告はより少ない。
これを背景として、この研究では、試合間隔と試合後のCKの変動の関連を解析。副次的にパフォーマンスとの関連も解析されている。
欧州のU15~21ユース代表サッカー選手188人のCKの変化を解析
この研究の対象は欧州のU15~21ユース代表サッカー選手188人(16.5±1.8歳)。選手は通常、週に1~2回の頻度で、所属クラブでの試合に参加し、週に5~7回の頻度でトレーニングを行っていた。クレアチンキナーゼ(CK)は毎朝測定され、トレーニングと試合中にはGPS/GNSSデバイスにより選手の動きと負荷量がモニタリングされた。
試合参加日のCKデータがあり、かつ、試合の3日前からのいずれかの時点でのCKデータがある場合を、解析対象として適格と判断した。そのうえで、試合後2日までのデータがある場合はそれを解析に利用した。
なお、国際大会参加時には、選手は週末にそれぞれの所属クラブでプレーした後、日曜日の午後に代表チームに合流しリカバリーセッションに参加。火曜日に国際戦が行われ、試合に参加した選手は水曜日にリカバリープログラムを受ける。典型的な場合、U21では3~5回のトレーニングセッションの後に国際戦に臨み、その後2回のトレーニングセッションと2回目の試合が行われる。
試合参加頻度の分類
試合(match day;MD)に参加する前の3日間において、いずれも試合に参加していないか出場時間が60分未満の場合、「非過密スケジュール(non-congested schedules;NCS)」、それ以外を「過密スケジュール(congested schedules;CS)」と分類した。
さらに、過密スケジュール(CS)については、試合(MD)の3日前に別の試合で60分以上のプレーをしていた場合を「CS 3DAYS」とし、MDの2日前に別の試合で60分以上のプレーをしていた場合を「CS 2DAYS」、MDの前日に別の試合で60分以上のプレーをしていた場合を「CS 1DAYS」と分類した。
試合密度が濃いと試合当日朝のCKが有意に高い
2016年3月~2023年6月の間に、合計2,489件の解析対象となり得るCKデータを得られた。
試合当日朝のCKの試合参加頻度での比較
全体として、試合参加日の朝のクレアチンキナーゼ(CK)の平均は242U/Lであり、非過密スケジュール(NCS)での参加日は220U/L、過密スケジュール(CS)」で参加日は309U/Lで、後者が有意に高かった。
また、CS 3DAYSでの試合当日の朝は263U/L、CS 2DAYSでは355U/L、CS 1DAYSでは493U/Lであり、試合参加頻度が高いほど試合当日朝のCKが高いという有意差がみられた。
試合翌日以降のCK値の変化
次に、試合参加翌日(MD+1)と翌々日(MD+2)の朝のCK値が、NCSとCSで比較された。
NCSでのCK値は、MD+1が478~483U/L(解析対象データが条件により異なるため単一の数値では表されていない、MD+2が303U/Lだった。一方、CSでのCK値は、MD+1が678~701U/L、MD+2が395U/Lだった。つまり、CSで試合に臨んだ場合には、NCSで試合に臨んだ場合よりも、試合参加の翌日以降のCKの絶対値が、より高値で経過していた。
なお、試合当日(MD)からの変化率としてみると、NCSではMD+1が+181%、MD+2が+74%であるのに対して、CSではMD+1が+135%、MD+2が+44%であった。つまり、試合日以降のCKの相対的な変化は、NCSで試合に臨んだ場合よりもCSで臨んだ場合のほうが少なかった。この点について著者らは、MD+1のトレーニング負荷はCSの場合のほうが低かったことから、トレーニングの多寡の影響ではなく、CSでは試合参加時点で既にCKが高いことが、試合後の変化率を抑制した可能性が高いと考察している。
CK高値で試合に臨むと、パフォーマンス低下や怪我のリスクが上昇するか?
このほか、試合中のパフォーマンスとの関連も副次的に解析されている。総走行距離、高強度の加速回数、減速回数、方向転換の回数など、合計15項目が評価され、そのうち11項目で有意差があり、いずれもNCSで試合に臨んだ場合において優れていた。
これらの結果に基づき著者らは、「CKは過密なスケジュールに鋭敏に反応し、筋肉の回復をモニタリングに適用可能であることが示された。また、試合間に1日か2日の回復日しかないことの多いユース代表選手にとって、本研究結果は重要な意味を持つ可能性がある」と総括している。さらに、今後の研究の方向性として、「CKの上昇が試合中のパフォーマンスや怪我のリスクに悪影響を与えるか否かを調査する必要がある」と付け加えている。
文献情報
原典論文のタイトルは、「Are three recovery days enough? Elevated match day creatine kinase levels under congested schedules in youth soccer」。〔Biol Sport. 2026 Mar 24:43:1051-1060〕
原文はこちら(Institute of Sport, Warsaw, Poland)








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