女子ユースサッカー選手の約45%にREDsリスク IOC REDs CAT2ツールで評価
ポーランドのハイレベル女子ユースサッカー選手のREDs有病率を、国際オリンピック委員会の臨床評価ツールであるIOC REDs CAT2を用いて検討した結果が報告された。半数近くの選手に軽度のREDsリスクがみられるという。著者らは、「コーチや保護者にとって重要なことは、ハードなトレーニングだけでなく、成長や発達と運動を支えるためのバランスのとれた健康的な食事を摂り、しっかりと回復して怪我を予防することも重要だということである」と述べている。

ハイレベルの若い女子サッカー選手のREDsの実態を探る
国際オリンピック委員会(International Olympic Committee;IOC)は2014年に「スポーツにおける相対的エネルギー不足(relative energy deficiency in sport;REDs)」を定義づけし、2023年には定義の一部を改訂するとともに、REDsのスクリーニングから診断までの流れを示した臨床評価ツール(IOC REDs Clinical Assessment Tool-Version 2;IOC REDs CAT2)を策定した。このIOC REDs CAT2を用いてREDsの有病率が、さまざまなアスリート集団で調査されてきている。
今回取り上げる研究では、ハイレベルでの競技を行っている女子ユースサッカー選手に焦点を当てている。未成年のアスリートは成人とは生理学的要求、精神的ストレス、経験の豊富さなどに差があり、REDsの感受性や表現型が異なる可能性が考えられる。
ポーランドのTier3/4の女子ユース選手30人を対象に横断的調査
この研究は、ポーランドにおいて2023/24シーズンで代表チームのトレーニングキャンプに参加した、17歳未満の女子サッカー選手を対象とする横断研究として実施された。いずれも、欧州サッカー連盟(UEFA)女子U-17、欧州選手権U-19、FIFA女子ワールドカップなどへの出場に向けて準備している選手であり、国内レベル(Tier3)または国際レベル(Tier4)に該当した。
当初30人が登録されたが、1人は国外のクラブへの移籍のために離脱し、解析対象は29人となり、平均年齢は16.10±0.94歳で、BMI 21.21±1.55、体脂肪率18.99±4.00%だった。
44.8%が軽度のREDsリスクあり
IOC REDs CAT2の主要指標が1~2項目該当し、かつ二次指標が1項目該当する場合、もしくは二次指標が2項目以上該当する場合を「軽度のREDs」と定義すると、13人(44.8%)と半数弱がこれに該当した。
全体として、骨ストレス損傷と乱れた食行動が高頻度にみられる
主要指標の各項目の該当者率は、骨ストレス損傷の既往(競技やトレーニングからの離脱が一定程度以上)、および、摂食障害調査票(Eating Disorder Examination Questionnaire;EDE-Q)で評価した乱れた食行動(disordered eating)がともに17.2%であり、次いで原発性無月経が6.9%にみられた。続発性無月経、遊離トリヨードサイロニン(T3)低値、骨密度低値、成長の停滞は、いずれも該当する選手がいなかった。
二次指標の各項目の該当者率は、骨ストレス損傷の既往(競技やトレーニングからの離脱が一定の範囲内)が24.1%と最も多く、稀発月経、および、総コレステロールまたはLDL-コレステロールの上昇がともに17.2%であり、うつや不安は認められなかった。
軽度のREDsと判定される選手内での検討
次に、軽度のREDsと判定された13人に絞り込んで評価指標の該当者率をみると、最も多かったのは低リスクの骨ストレス損傷の既往が7人(53.8%)で、次いで高リスクまたは再発性の骨ストレス損傷の既往が5人(38.5%)だった。
また、15件の筋骨格系損傷が報告された。最も多い損傷部位は足とつま先であり、またサッカー関連の手または指の損傷が5件報告された。
乱れた食行動(EDE-Q)のスコア上昇が認められたのは5人(38.5%)、続発性無月経は2(15.4%)だった。
なお、REDs関連リスクのない選手では、稀発月経、総コレステロールまたはLDLコレステロールの上昇が最も多く、それぞれ3人(18.8%)にみられた。続発性無月経や骨ストレス損傷の既往はみられず、EDE-Qのスコア上昇も認められなかった。
重篤な臨床的REDs指標はまれ=問題は静かに進行する可能性がある
上記のほか、REDsリスクと骨ストレス損傷の既往が有意に関連すること、REDsと判定された13人のうち5人(38.5%)が少なくとも1回の骨折の既往歴がある一方で、REDsと判定されなかった選手には骨折の既往がないこと、EDE-Qに基づく乱れた食行動も、REDsと判定された13人のうち5人(38.5%)が該当する一方、REDsと判定されなかった選手には該当者がいないことなどが明らかになった。
本研究について著者らは、サンプルサイズの小ささ、潜在的な選択バイアス、横断研究であることなどの限界があり、探索的な研究と位置づけられると述べたうえで、以下のように要点をまとめている。
‐若い女子サッカー選手のほぼ半数が、トレーニングや日々の活動に必要なエネルギーが体に十分に供給されていない可能性を示す初期兆候を示していた。
- 骨ストレス損傷の既往歴や摂食障害の兆候は、REDs発生リスクが高いことを示唆していた。
- 重篤な臨床的REDs指標はまれであり、これは明らかな症状が現れる前に問題が静かに進行する可能性があることを示唆している。そのため、エネルギーレベル、回復力、および負傷歴について定期的に確認することが重要となる。
- コーチや保護者にとって重要なのは、ハードなトレーニングだけでなく、健康を維持し成長、発達、運動を支えるためのバランスの取れた健康的な食事を摂り、しっかりと回復し、怪我を予防することも必要だということである。
文献情報
原典論文のタイトルは、「Exploring the presence of Relative Energy Deficiency in Sport (REDs) risk factors in talented Polish youth female football players: A single-team study using the IOC REDs CAT2 tool」。〔J Sci Med Sport. 2026 Jun 19:S1440-2440(26)00243-4〕
原文はこちら(Elsevier)







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