クレアチン摂取で無酸素性パワーが向上するが、体組成の改善には筋トレ併用が必要 メタ解析
比較的若年の男性を対象とする無作為化比較試験の報告のメタ解析から、クレアチン摂取はトレーニング環境にかかわらず無酸素性パワーを向上することが示された。一方、体組成の改善は、レジスタンストレーニングを並行して行った場合に認められるという。

トレーニング環境でクレアチン摂取の効果はどう変わる?
クレアチンのエルゴジェニックエイドとしての効果については多くのエビデンスがあり、メタ解析も行われてきている。しかし、おのおのの研究は研究参加者に男性と女性が含まれていたり、幅広い年齢層が含まれていたりする。また、並行して行うトレーニングの内容の違いが考慮されていないことが多い。これを背景にこの論文の研究では、比較的若年の男性を対象とする研究において、クレアチン摂取による体組成やパフォーマンスへの影響が、トレーニングの内容によって異なるのかを探ることを目的とする、システマティックレビューとメタ解析が行われた。
文献検索について
PRISMAガイドラインに準拠し、PubMed、Web of Science、Scopus、Embase、Cochrane Library、SPORTDiscusという6件の文献データベースを用いて、それぞれのスタートから2025年10月1日までに収載された報告を対象とする検索を行った。
包括基準は、18~30歳の男性のみを対象にクレアチン摂取の体組成やパフォーマンスへの影響を検討した無作為化比較試験(RCT)であり、介入には何らかのトレーニングを並行して行っていることとした。参加者の年齢範囲が18~30歳を逸脱している研究、男性のみでない研究、英語以外の論文、および、クレアチンとトレーニング以外の介入を並行しており、その影響を除外できない(例えば1群のみに何らかのサプリメントを追加しているなど)場合は除外した。
一次検索で2,472報がヒットし、重複削除後の1,023報を2名の研究者が独立してタイトルと要約に基づくスクリーニングを実施。採否の意見の不一致は討議による合意形成、または3人目の研究者を加えた討議により解決した。114報を全文精査の対象として、最終的に37件の研究報告を適格と判断した。
抽出された研究の特徴
抽出された37件のRCTの研究参加者の平均年齢は18.5~29.5歳であり、十分にトレーニングされた競技アスリート対象の研究から、日常的にトレーニングを行っていない座位行動の多い人を対象としたものまで多岐に渡っていた。
37件中24件はレジスタンストレーニング(resistance training;RT)環境での研究であり、13件は非RT環境での研究であった。全体として約65%にRTによる並行介入が行われ、その他のトレーニングプロトコルには、チームスポーツ(ラグビー、サッカー、ハンドボール、バスケットボール、アメリカンフットボール)、個人競技(カヌー、ボート、短距離走)、自転車競技などが行われていた。
サプリメント投与プロトコルについては、多くの研究でローディング期に続き維持期とするプロトコルが採用されていた。最も一般的な投与法は、1日20gを5~7日間分割投与し、その後、1日2~10gの維持投与を行うというものであった。その他の投与方法としては、体重に基づいた投与量(約0.07~0.3g/kg/日)、より高用量の固定投与量(25~35g/日)などがみられた。介入期間は4日~12週間までと幅広く、多くは4~10週間であった。
対照条件には、炭水化物ベースの比較物質(グルコース、マルトデキストリン、ショ糖ベースの飲料など)、または不活性プラセボ(セルロースなど)が最も多くに用いられ、少数の研究ではプロテインが使用されていた。
主な評価項目は、最大筋力(スクワットまたはレッグプレスの1RM〈1回のみ施行可能な最大負荷〉)、無酸素性または瞬発的なパフォーマンス(ウィンゲートパワーテストやカウンタームーブメントジャンプ〈CMJ〉)、および、体組成(除脂肪量〈fat-free mass;FFM、lean body mass;LBM)だった。なお、評価項目が研究間でほぼ一致していたため、解析には標準化平均差(SMD)ではなく平均差(MD)を用いた。
体組成の改善にはクレアチン摂取のみでなく筋トレの並行が必要か
メタ解析の結果について、まず全体的にみると、スクワット1RMに関してはクレアチン摂取による有意な効果が認められた(研究数〈k〉=16、n=300、平均差〈MD〉=11.9kg〈95%CI;7.60~16.20〉、p<0.001、異質性〈I2〉=43.1%)。レッグプレス1RMでは有意差は観察されなかった(k=12、n=273、MD=3.58kg〈-7.85~15.01〉、p=0.539、I2=43.1%)。
カウンタームーブメントジャンプ(CMJ)はクレアチン摂取による有意な効果が認められたが、研究間の異質性が高かった(k=11、n=273、MD=2.70cm〈0.18~5.21〉、p=0.04、I2=89%)。
無酸素性パフォーマンスについては、ウィンゲートテストのピークパワー(k=12、n=246、MD=71.27W〈38.09~104.45〉、p<0.001、I2=13.8%)、および平均パワー(k=11、n=218、MD=39.69W〈15.83~63.56〉、p=0.001、I2=40.5%)で、クレアチン摂取による有意な効果が認められた。
クレアチン摂取の有意な効果は体組成についても、FFM(k=15、n=327、MD=2.32kg〈0.76~3.89〉、p=0.004、I2=13.6)と、LBM(k=16、n=344、MD=1.84kg〈0.53~3.16〉、p=0.006、I2=37%)ともに観察された。
レジスタンストレーニング(RT)環境と非RT環境の対比
次に、レジスタンストレーニング(RT)環境での研究と、非RT環境での研究とに分類し、比較が行われた。
パフォーマンス関連指標
その結果、スクワット1RM、ウィンゲートテストのピークパワーと平均パワーは、いずれもRT環境と非RT環境の双方で、クレアチン介入の有意な影響が認められ、CMJについてはRT環境と非RT環境の双方で、クレアチン介入の有意な影響が認められなかった。
つまり、パフォーマンス関連指標に関しては、RT環境と非RT環境とで、クレアチン介入の有用性は違いがなかった。
体組成
一方、体組成に関しては、RT環境と非RT環境とで、クレアチン介入の有用性に差異が認められた。具体的には、FFM、LBMともに、RT環境ではクレアチン介入により有意な効果が示された。それに対して非RT環境ではFFM、LBMともに、クレアチン介入により有意な効果が示されなかった。
つまり、FFMはRT環境において有意(k=12、n=228、MD=3.39kg〈1.77~5.02〉、p<0.001、I2=0%)、非RT環境において非有意(k=3、n=99;、MD=-0.89kg〈-3.94~2.15〉、p=0.566、I2=24.0%)であり(サブグループ間の差p=0.009)、LBMもRT環境において有意(k=12、n=279、MD=2.70kg〈1.56~3.85〉、p=0.0001、I2=0%)、非RT環境において非有意(k=4、n=65、MD=-0.54kg〈-1.75~0.68〉、p=0.39、I2=0%)だった(サブグループ間の差p=0.0001)。
これらの結果に基づき著者らは、比較的若年の男性を対象とする研究のメタ解析の結論として、「クレアチンを摂取すると、トレーニング環境にかかわらず無酸素性パワーが向上するが、体組成の改善はレジスタンストレーニングの併用に依存する」と総括している。
文献情報
原典論文のタイトルは、「Creatine supplementation in young men under resistance versus non-resistance training: a systematic review and meta-analysis of strength, performance, and lean mass」。〔Front Nutr. 2026 Apr 8:13:1800546〕
原文はこちら(Frontiers Media)







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