スポーツ栄養WEB 栄養で元気になる!

SNDJ志保子塾2026 ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー
一般社団法人日本スポーツ栄養協会 SNDJ公式情報サイト
ニュース・トピックス

死亡リスクが最も低いのは高強度運動と中強度運動の組み合わせ 米国60万人を10年間追跡調査

米国の約60万人の成人を10年間追跡した研究から、高強度運動による死亡リスク抑制効果は中強度運動による効果よりも大きい可能性が示され、米国心臓協会(AHA)発行の「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に論文が掲載された。また、最大のリスク低下は、中~高強度運動を行っていて、かつ高強度運動の割合が一定程度以上を占める群で認められたという。

死亡リスクが最も低いのは高強度運動と中強度運動の組み合わせ 米国60万人を10年間追跡調査

健康効果を最大化するための最適な運動パターンを探る

健康のための身体活動として、中強度運動(moderate-intensity physical activity;MPA)と高強度運動(vigorous-intensity physical activity;VPA)の双方が推奨されているが、健康効果を最大化するうえで最適な運動パターンは依然として明らかにされていない。これを背景に本研究では、米国で行われている公的調査の大規模データを用いて、身体活動の量とパターンと、全死亡、心血管疾患(cardiovascular disease;CVD)による死亡(CVD死)、癌死リスクとの関連が検討された。

利用した調査は、米国国民健康インタビュー調査(National Health Interview Survey;NHIS)。NHISは米国疾病対策センター(Centers for Disease Control and Prevention;CDC)と米国保健医療統計センター(National Center for Health Statistics;NCHS)が1957年から実施しており、毎回約3万5,000世帯から18歳以上の成人1人を無作為に抽出して、健康状態、健康行動、受領行動などを詳細に調査している。本研究では、身体活動に関する調査項目が充実した1997年以降、2018年までの調査参加者のうち、データ欠落のない58万6,936人を解析対象とした。死亡に関する情報は2019年末まで追跡した。

身体活動量の分布

58万6,936人のうち、34.4%は身体活動を行っていない(No physical activity;No PA)群、23.6%は中強度運動(MPA)のみを行っている群(MPA群)、9.0%は高強度運動(VPA)のみを行っている群(VPA群)、30.0%は中強度運動と高強度運動(moderate-to-vigorous physical activity;MVPA)を行っている群(MVPA群)と分類された。

年齢が高い人ほど、VPAやMVPA群の割合は低下しMPA群の割合が上昇した。No PA群と比較しMVPA群は若年で男性が多く、教育歴が長く、未婚で、喫煙者または飲酒者であり、慢性疾患が少ない傾向にあった。

なお、死亡リスクの解析に際しては、交絡因子未調整(モデル1)、年齢、性別、人種、地域を調整したモデル(モデル2)、モデル2の調整因子に加えてBMI、飲酒・喫煙状況、婚姻状況、教育歴を調整したモデル(モデル3)、モデル3の調整因子に加えて慢性疾患(高血圧、糖尿病、心疾患、脳卒中、癌)を調整したモデル(モデル4)という四つのモデルが用いられた。

中強度運動より高強度運動で死亡リスクが低いが、最大のリスク低下は両者の並行

中央値10.0年の追跡期間中に、8万2,959人(14.1%)が死亡した。そのうち2万5,893人(4.4%)がCVD死、1万9,468人(3.3%)が癌死だった。

死亡リスクの低下はMPA<VPA<MVPAの順

モデル1~4において、身体活動を行っていないNo PA群に比べてその他の3群は、その実施時間にかかわらず、全死亡、CVD死、癌死のいずれも、ほぼすべて有意にリスクが低かった。

例えばモデル4における全死亡リスクは、中強度運動のみのMPA群はHR0.74(95%CI;0.72~0.76)、高強度運動のみのVPA群はHR0.56(0.54~0.59)、中強度運動と高強度運動を行っているMVPA群はHR0.50(0.48~0.51)であった。つまり、MPA<VPA<MVPAの順に、全死亡リスクがより大きく低下していた。

CVD死も同様に、モデル4において、MPA群はHR0.69(0.67~0.72)、VPA群はHR0.49(0.46~0.53)、MVPA群はHR0.42(0.40~0.44)であり、癌死も同順にHR0.77(0.74~0.80)、HR0.59(0.55~0.64)、HR0.52(0.50~0.55)だった。

中強度・高強度運動を並行し、かつ高強度運動が50%以上の場合に死亡リスクが最低

次に、総身体活動量に占めるVPAの割合により、6群に分類(0%〈MPAのみ〉、VPAが25%未満、同25~50%、50~75%、75~100%未満、100%〈VPAのみ〉)したうえで、死亡リスクとの関連が検討された。その結果、MVPA群であって、かつVPAを一定程度以上行っている場合に最も大きく死亡リスクが低下していた。

例えば、モデル4において全死亡のリスクは、前記したように、MPA群はHR0.74(0.72~0.76)、VPA群はHR0.56(0.54~0.59)であるのに対して、MVPA群でありVPAの割合が75~100%未満の場合はHR0.47(0.45~0.50)であり、最もリスクが低かった。同様にCVD死も、MVPA群でありVPAの割合が75~100%未満の場合にHR0.38(0.34~0.42)であり最もリスクが低かった。癌死については、MVPA群でありVPAの割合が50~75%の場合(HR0.51〈0.47~0.54〉)と75~100%未満の場合(HR0.51〈0.47~0.55〉)に、最もリスクが低かった。

既存のガイドラインの推奨を支持する結果

著者らは本研究の重要な発見として、MVPAを行う成人はMPAのみ、またはVPAのみを行う成人よりも生存率が高いという点を挙げている。さらに、身体活動量が同等の場合、VPAがMPAよりも大きな健康上の利点をもたらす可能性を示唆しているとしている。

そして、「これらの結果は、臨床および公衆衛生の分野における身体活動ガイドラインの継続的な推進を支持するもの」としたうえで、「MPAは大半の成人にとって効果的で、達成可能かつ安全な選択肢であり、公衆衛生に関するメッセージにおいて引き続き主要な推奨対象として位置づけられるべきである。VPAは実施可能な場合に追加的なメリットをもたらす可能性があるが、すべての集団にアクセス可能、または適切であるとは限らない。公衆衛生の観点からは、適切かつ安全な場合には、MPAとVPAの両方を採り入れたバランスの取れたアプローチを推進することが、最大の生存率向上につながる可能性がある」と総括している。

文献情報

原典論文のタイトルは、「Associations of Combined Moderate and Vigorous Physical Activity With All‐Cause, Cardiovascular, and Cancer Mortality: A Cohort Study of 586 936 US Adults」。〔J Am Heart Assoc. 2026 Jul 7;15(13):e051199〕
原文はこちら(American Heart Association)

この記事のURLとタイトルをコピーする
志保子塾2026後期「ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー」

関連記事

スポーツ栄養Web編集部
facebook
Twitter
LINE
ニュース・トピックス
SNDJクラブ会員登録
SNDJクラブ会員登録

スポーツ栄養の情報を得たい方、関心のある方はどなたでも無料でご登録いただけます。下記よりご登録ください!

SNDJメンバー登録
SNDJメンバー登録

公認スポーツ栄養士・管理栄養士・栄養士向けのスキルアップセミナーや交流会の開催、専門情報の共有、お仕事相談などを行います。下記よりご登録ください!

元気”いなり”プロジェクト
元気”いなり”プロジェクト
おすすめ記事
スポーツ栄養・栄養サポート関連書籍のデータベース
セミナー・イベント情報
このページのトップへ