女性アスリートへのβ-アラニン摂取、疲労困憊までの時間を延長か 11件のRCTをメタ解析
β-アラニンの女性のスポーツパフォーマンスや生理学的アウトカムに対する影響を、システマティックレビューとメタ解析で検討した結果、疲労困憊に至る時間を有意に延長する可能性が示されたという論文を紹介する。ただし、その他の評価指標に関する結果は非有意であり、全体として精確性が低くエビデンスが不十分だという。

β-アラニンの有効性を女性対象研究の報告に絞り込んでメタ解析
β-アラニンは、スポーツ栄養において最も広く利用されているサプリメントの一つであり、有用性を示す多くのエビデンスがある。しかし、多くの研究は男性のみ、または男性と女性の混合サンプルで検討されており、対象が女性のみという研究は少なく、女性対象研究を統合した定量的検討もなされていない。このことから、今回紹介する論文の研究では、女性に対するβ-アラニンの影響が、システマティックレビューとメタ解説により検討された。
文献検索には、PubMed、Web of Science、Scopus、Cochrane Library、Embaseを用い、それぞれのスタートから2026年4月末までに収載された論文を検索。包括基準は、研究対象が女性、または女性のみのデータを抽出可能な研究報告で、β-アラニンの反復摂取のスポーツパフォーマンスまたは生理学的アウトカムへの影響を無作為化比較試験(RCT)で検討している報告。除外基準は、動物実験、女性のみのデータを抽出できない報告、学会発表、総説、および、β-アラニンの単回摂取による急性効果を検討した研究。
5件の文献データベースの検索で1,025報がヒットし、重複削除後の336報について、2名の研究者がタイトルと要約に基づくスクリーニングを実施。21報を全文精査の対象とした。また、ハンドサーチ等により追加した5報のうち3報を適格と判断し、最終的に11件のRCTに基づく12報の研究報告を適格と判断した。
抽出された研究報告の特徴
11件のRCTの参加者は合計312人の女性で、サンプルサイズは15~34の範囲であり、年齢は18~54歳だった。参加者の特徴は研究により大きく異なり、高度トレーニングを行っているエリートアスリート、大学生アスリート、レクリエーションアスリート、運動習慣のない女性などだった。アスリート対象研究における参加競技もさまざまであり、バスケットボール、サッカー、自転車、およびレジスタンストレーニングなどであった。
β-アラニンの摂取プロトコルにもばらつきがみられた。一般的な摂取量は1.6~6.4g/日の範囲だったが、摂取回数やタイミングについては、分割摂取した研究、トレーニングセッションにあわせて摂取した研究などがあった。また介入期間には21日~8週間の幅があった。なお、研究数が少ないため、介入期間別の解析はされなかった。
疲労困憊に至るまでの時間(TTE)のみ、β-アラニン摂取の有用性が示される
評価項目は、疲労困憊に至るまでの時間(time to exhaustion;TTE)、VO2max、VO2peak、ピークパワー、無酸素性パフォーマンス、体脂肪率とされた。
TTEへの影響
疲労困憊に至るまでの時間(TTE)については8研究、187人のデータを用いたメタ解析が実施された。その結果、β-アラニン群がプラセボ群より有意に優れるという結果が占めたれた(標準化平均差〈SMD〉=0.49〈95%CI;0.20~0.79〉、p=0.001)。研究間の異質性は観察されなかった(I2=0%)。
サブグループ解析
TTEへの影響についてはトレーニング状況、β-アラニン投与量、およびTTEテスト方法によるサブグループ解析が実施された。これらのうち、トレーニング状況(アスリートまたは習慣的にトレーニング行っている集団とそれ以外)、および、TTEテスト方法(自転車とそれ以外)に関しては、いずれもβ-アラニン群がプラセボ群より有意に優れるという結果であった。
一方、β-アラニン投与量に関しては、高用量の介入を行った研究は群間に有意差がなく、低用量の介入を行った研究はβ-アラニン群が有意に優れるという結果であった。ただし、すべてのサブグループ解析において有意な交互作用は観察されなかった(すべて交互作用p>0.05)。
TTE以外の指標への影響
TTE以外の指標への影響は、以下のようにすべて非有意だった。
ピークパワーは4研究、86人が解析対象で、SMD=0.24(95%CI;-0.18~0.67)、p=0.26、I2=0%。有酸素運動パフォーマンス(VO2maxまたはVO2peak)は5研究、106人が解析対象で、SMD=0.32(同-0.06~0.71)、p=0.10、I2=0%。無酸素運動パフォーマンスは4研究、89人が解析対象で、SMD=0.11(-0.30~0.53)、p=0.59、I2=0%。体脂肪率は6研究、141人が解析対象で、SMD=-0.07(-0.41~0.26)、p=0.67、I2=1%。
感度分析とエビデンスの確実性
リーブワンアウト分析(メタ解析対象報告を一つずつ除外する解析)などによる感度分析の結果は概ね一貫していた。一方、GRADEフレームワークによるエビデンスの確実性の検討からは、評価されているすべてのアウトカムについて、確実性が非常に低いと評価された。全体的に、サンプルサイズが小さく、メタ解析の信頼区間が広いといった留意点が示された。
β-アラニンは女性のTTEを改善する可能性があるが、さらなる研究が求められる
著者らは、「β-アラニン摂取は、女性を対象とした研究のメタ解析において、TTEを改善する可能性が示された。しかし、ピークパワー、無酸素運動能力、VO2maxやVO2peak、および体脂肪率に関しては、現時点のエビデンスは明確な有用性を裏付けていない」と結論づけている。
また、「いずれの評価指標に関しても研究間の異質性(I2統計量)は小さく、特異的な反応パターンが示され、かつ感度分析の結果も一定していたが、研究プロトコルの差異も含め確実性は非常に低い」とし、信頼性の高いデザインでのRCTの必要性を述べている。
文献情報
原典論文のタイトルは、「Effects of beta-alanine supplementation on exercise performance and related physiological outcomes in women: a systematic review and meta-analysis」。〔Front Nutr. 2026 Jun 11:13:1857513〕
原文はこちら(Frontiers Media)







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