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アスリートの摂食障害に特化した治療で症状が改善 抑うつ・不安なども改善し1年後も安定

摂食症(摂食障害)のあるアスリートを高度医療環境で、特化したプログラムに則して治療した場合の臨床アウトカムが、米国から報告された。摂食障害の症状と関連障害、抑うつ、不安、運動機能関連障害が改善し、1年後も安定していたという。著者らは、「本研究の結果は、アスリートの摂食障害に特化した治療プログラムをより高度な治療に統合することの有用性と実現可能性について、予備的ながら実証的な根拠である」としている。

アスリートの摂食障害に特化した治療で症状が改善 抑うつ・不安なども改善し1年後も安定

アスリートに特化した摂食障害治療プログラムの必要性

アスリートは摂食障害のリスクが高く、有病率は男性で最大19%、女性では45%に達するという報告がある。摂食障害は怪我のリスク増大、パフォーマンス低下、早期引退につながるだけでなく、引退後の健康にも悪影響を及ぼし得る。このようなことは古くから認識されているが、今回紹介する論文によると、アスリートの摂食障害に特化した治療の有効性に関する研究は明らかに不足しているという。そして、アスリートの特性があまり考慮されていない、標準的な摂食障害治療が行われているとしている。例えば、アスリート独特の摂食関連の課題である、ボディーイメージの偏重、それを促すことのある周囲からの期待、競技のプレッシャーなどが考慮されていないことがある。さらに、治療開始に際して「運動を控えるように」といった一般的な指示が出されることもあり、その結果、アスリートは治療への抵抗性が高まり、早期に治療から離脱することも起こり得る。

本研究は、このような研究ギャップを埋めることを目的として、(1)高度医療環境でのアスリートの摂食障害治療プログラムに参加した患者の人口統計学的特徴を明らかにすること、(2)治療中および治療終了後の運動症状、摂食障害症状、摂食障害関連の障害、抑うつ、不安の変化を把握すること――という2点が調査された。

部分入院で専門治療を受けた182人のアスリートの経過を解析

研究の対象

この研究は、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部病院において行われた。2019年5月~2025年1月に、部分入院(昼間は病院で治療を受け夜間は帰宅)レベルでの摂食障害治療を受けた患者のうち、入院期間中に4回以上、アスリートセラピーグループに参加していた182人を解析対象とした。

部分入院の適応は米国精神医学会のガイドラインに準拠して判断された。アスリートセラピーへの参加には、(1)アスリートとの自己認識があること、(2)治療終了後に競技への復帰を目指していること、(3)治療にあたるスタッフ(医師、栄養士、セラピストなど)全員が参加を承認していること――という条件を満たす場合に限られた。

アスリートセラピーの内容

アスリートセラピーグループには、アスリートとしてのアイデンティティ、スポーツにおけるボディーイメージへのプレッシャー、運動に対する姿勢、スポーツ栄養、コーチやチームメイトとのコミュニケーション、スポーツにおける相対的エネルギー不足(relative energy deficiency in sport;RED-S)などを含む、心理教育とディスカッションが含まれていた。また、ボディーイメージの改善、休みをとる能力の向上、運動以外の対処法、競技復帰時のパフォーマンスに関する助言、復帰後の再発予防などの要素も重視された。

評価項目

治療介入の評価項目は、摂食病理症状尺度(Eating Pathology Symptoms Inventory;EPSI)、摂食障害評価質問票(Eating Disorders Examination Questionnaire;EDE-Q)、臨床的機能障害評価尺度(Clinical Impairment Assessment;CIA)、患者健康質問票9項目版(Patient Health Questionnaire-9-item;PHQ-9)、状態-特性不安尺度(State-Trait Anxiety Inventory;STAI)などを用いて、摂食障害の症状、関連する障害、抑うつや不安レベルを把握した。

これらは、入院時(入院後14日以内)、入院中(治療開始1カ月後)、退院時(退院後14日以内)、退院6カ月後、1年後に評価された。

評価したすべての指標が、退院後も長期にわたり改善を維持

解析対象者の年齢は19.05±6.83歳で、女性が85.2%と多くを占めていた。摂食障害の診断名は、神経性やせ症(制限型)が53.8%、神経性やせ症(過食・排出型)15.4%、神経性過食症8.2%、回避・制限性食物摂取症5.5%などだった。

各評価指標の結果は、時間とともに有意に変化することが明らかになった。推定周辺平均値の変化は以下のとおり。

運動機能障害の症状の推定周辺平均値は入院時から退院時にかけて減少し、退院後は非有意レベルの増加および、その後の安定がみられた。

摂食障害の症状の推定周辺平均値については、入院時から退院1年後にかけて有意に減少していた。評価期間ごとの詳細な検討から、摂食障害の症状は治療の初期に急速に改善し、その後、安定化するという非線形的な経過をたどることが示唆された。

摂食障害関連の障害は、入院時から退院1年後にかけて有意に減少していた。評価期間ごとの詳細な検討から、入院期間中に急速に改善し、その後は低いレベルで安定していた。

抑うつレベルも入院時から退院1年後にかけて有意に減少していた。退院後の変化は有意でないことから、入院期間中に改善し、その後は低いレベルで安定したことが示唆された。

不安レベルに関しては、治療介入後の初期段階では反応に乏しくスコアの変化が少なかったが、退院時までには有意に低下しており、その後1年間の追跡調査期間中、低いレベルで安定していた。

これらの結果に基づき著者らは、「アスリートの摂食障害に特化した、より高度な専門的治療プログラムの臨床的意義が浮き彫りにされた。このような介入は、症状の軽減にとどまらず、摂食障害のあるアスリートの積極的な治療への参加を促し、治療中断のリスクを抑制し、再発やスポーツ関連の怪我のリスクといった長期的な課題に対処においても有望な可能性がある」と総括。また、「本研究はアスリート向けプログラムの実現可能性、安全性、そして潜在的なメリットを実証することで、個々のニーズに合わせた摂食障害治療介入の今後の評価に向けて、重要な基盤を提供するものだ」としている。

文献情報

原典論文のタイトルは、「Athlete-focused eating disorder programming in higher levels of care: feasibility and clinical outcomes from a naturalistic setting」。〔Front Nutr. 2026 May 12:13:1734726〕
原文はこちら(Frontiers Media)

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