20代からの「肥満歴」がその後の血圧上昇と関連 肥満期間が長いほど高く、低体重期間が長いほど低く推移 藤田医科大学
20代に肥満歴のある人ではその後の血圧上昇が大きく、20代に低体重歴のある人では血圧上昇が緩やかであるという関連が報告された。藤田医科大学の研究の成果であり、論文が「BMC Public Health」に掲載されるとともに、同大学からプレスリリースが発行された。

研究の概要とポイント
藤田医科大学の研究グループは、日本の約40万人の健康診断データを解析し、20代に肥満歴のある人では、20代を通じて正常体重を維持していた人に比べ、その後の血圧上昇が大きいことを明らかにした。一方、20代に低体重歴のある人では、血圧上昇が緩やかだった。
さらに、観察期間中に肥満であった期間が長いほど血圧上昇が大きく、低体重であった期間が長いほど血圧上昇は小さいこともわかった。これらの関連は、20代での食べる速さを統計的に考慮しても、ほとんど変わらなかった。
同研究グループは、先行研究において、20代での食べる速さがその後の肥満・低体重であった期間の割合、すなわち「体重履歴」と関連することを報告している。今回の結果とあわせると、食べる速さ、体重履歴、血圧が、一連の流れとして関連する可能性が示された。研究グループでは、「本研究は現在の体重だけでなく、若い頃からの『体重履歴』を捉えることが、その後の血圧推移を考えるうえで重要である可能性を示すもの」と述べている。
- 日本の職域健康診断データ40万6,814人分を解析。20代に肥満歴のある人では、正常体重を維持した人よりその後の血圧上昇が大きく、年齢とともに差が広がった。
- 肥満であった期間が長いほど血圧上昇は大きく、低体重であった期間が長いほど血圧上昇は小さい傾向がみられた。
- 20代の食べる速さを考慮しても関連はほとんど変わらず、一時点の体重だけでなく、若年期からの「体重履歴」の重要性が示唆された。
研究の背景:現体重ではなく、過去の「体重履歴」と血圧の推移の関連を調査
高血圧には遺伝的要因と環境要因がかかわり、なかでも体重増加は予防の観点から働きかけることができる重要な要因。近年は、肥満の程度だけでなく、「どのくらい長く肥満であったか」という持続期間や累積的な影響も、血圧上昇に関係することが報告されている。また、朝食欠食や早食いなどの食行動と高血圧との関連も報告されている。
同研究グループは先行研究で、20代の食べる速さが、その後の肥満・低体重であった期間の割合、すなわち「体重履歴」と関連することを明らかにしていた。そこで本研究では、20代の肥満・低体重歴とその後の血圧推移との関連を調べるとともに、食べる速さの影響や、肥満・低体重であった期間の長さについても分析した。
研究手法:40万人以上の職域健診データを解析
日本の職域健診データ40万6,814人を対象に、20代のBMIに基づいて「低体重歴あり」「正常体重を維持」「肥満歴あり」の3群に分類し、その後の収縮期・拡張期血圧の推移を男女別に解析した。
睡眠、運動習慣、身体活動量、歩行速度などの影響を統計的に調整し、さらに20代の食べる速さを加えたケースも検討した。また、観察期間中に低体重または肥満であった期間の割合と血圧との関係も分析した。
研究成果:20代の肥満歴はその後の血圧上昇幅と関連
20代に肥満歴のある人では、正常体重を維持した人に比べ、その後の血圧上昇が大きく、年齢とともに差が広がった。一方、低体重歴のある人では血圧上昇が緩やかだった。20代の食べる速さを加えて調整しても、この傾向はほとんど変わらなかった。さらに、肥満であった期間が長いほど血圧は高く、低体重であった期間が長いほど血圧は低く推移していた。
以上から、一時点の体重だけでなく、長期的な体重履歴がその後の血圧推移と関連する可能性が示された。
図 20代の体重履歴とその後の収縮期血圧との関連

(B)45歳時点の、肥満または低体重であった期間の割合と収縮期血圧差を男女別に示した。肥満であった期間が長いほど血圧差は正の方向に大きく、低体重であった期間が長いほど負の方向に大きくなった。
今後の展開:若いころに肥満である期間を短くすることが大切な可能性
本研究から、20代の体重履歴によってその後の血圧推移が異なり、肥満・低体重であった期間の長さも血圧と関連することが示された。健康診断や日常診療では、現在の体重だけでなく、過去の肥満・低体重歴を問診で把握することの意義が示唆される。
また、同研究グループによる先行研究の結果とあわせると、20代の食べる速さ、体重履歴、血圧が一連の流れとして関連する可能性がある。若い頃から食べる速さを意識し、適正体重を維持して、とくに肥満の持続期間を短くすることが、その後の血圧上昇の抑制につながる可能性がある。
プレスリリース
20代からの「体重履歴」が、その後の血圧推移と関連 —食べる速さ・体重履歴・血圧、3つを「ひとつなぎ」に捉える可能性—(藤田医科大学)
文献情報
原典論文のタイトルは、「Body weight history from young adulthood and subsequent blood pressure trajectories in a Japanese employment-based health-check cohort: a retrospective longitudinal study」。〔BMC Public Health. 2026 Aug 19〕
原文はこちら(Springer Nature)








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