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女性は6日間でどこまで走れる? ウルトラマラソン「FURTHER」でトップ選手が901kmの世界記録

女性ウルトラマラソン選手のパフォーマンスの限界を探るために、2024年に米国で実施されたイベント「FURTHER」に関連した研究の初回の報告が論文化された。レースの概要と研究手法などが概説されている。要旨を紹介する。

女性は6日間でどこまで走れる? ウルトラマラソン「FURTHER」でトップ選手が901kmの世界記録

6日間にわたり数百キロを走行する、女性ランナーに特化した研究

ウルトラマラソンの競技人口が急速に拡大しており、完走者数でみると2005年には世界で8万9,597人(女性18%)であったものが2019年には68万2,156人(同23%)になったと報告されている。それに伴い多くの研究が行われるようになってきている。ただし先行研究の大半は、24時間以内で完結するレースを対象としており、また女性での研究はより少ない。

「FURTHER」プロジェクトは、さまざまなトレーニング歴をもつ女性ランナーが参加した、6日間に及ぶウルトラマラソンであり、過去の記録を塗り替えることを目的として、パフォーマンス向上のために各参加者に適したウェア、シューズをスポンサーが提供し、サポートチームによる計画的なペース配分、栄養・水分補給、休息・回復などの戦略がとられた。レース参加前からレース中、レース後にわたってさまざまなデータが収集され、多角的な視点で解析が行われている。今回紹介する論文はその包括的な概説であり、今後発表される各分野の論文に先立ち発表されたもの。

FURTHERの実施概要

FURTHERは、米国カリフォルニア州のカフイラ湖を周回する全長4.099kmのコースで、2024年3月6日9時5分から12日10時5分にかけて実施された。全体の約2割が舗装、約8割がダートで、途中に107mで1.21mの傾斜があるのみの標高差の少ないコース。

参加者は10人であり、うち1人は世界クラス(Tier5)、3人は国際大会レベル(Tier4)、1人は国内大会レベル(Tier3)、他の5人はトレーニング段階(Tier2)と、幅広いレベルのアスリートが集められた。各選手は5~8人のクルーがサポートし、選手の好みに合わせたスポーツ栄養製品(電解質飲料、ジェル、バーなど)がエイドステーションで提供された。また、シェフの率いるスポーツ栄養チームがケータリングと総合的な栄養評価を実施した。

コースに隣接して選手村が設けられ、長時間の休憩や睡眠をとることのできる個別のトレーラーが設置された。コースと選手村との間の移動は、必要に応じてゴルフカートを利用できた。

1位の選手は6日で900km走行。2位以下の選手との明確な違いは経験年数

10人の選手全員が6日間にわたり走り切り、全員が自己ベストの走行距離を記録した。平均走行距離は463.6±199.6kmで、トップの選手は901.754km走行し、過去の女子の世界記録である883.631kmを更新した。

全体として1日最大20時間走行し、エネルギー摂取量は4,188±1,109kcal/日、エネルギー消費量は6,698±2071kcal/日、運動強度は約46±6%VO2peak。1kmの走行に平均8分41秒±2分27秒かかり、最初の2日間から最後の2日間にかけての平均走行速度の低下率は9±13.1%であった。

トップの選手は、2~5位の上位選手と比べて、生理学的指標は類似していたものの、コース上で最も長い時間を過ごし、エネルギー摂取量、エネルギー消費量、および歩数が最高値を示し、神経筋疲労、炎症マーカー、睡眠不足(睡眠時間の短さ)、ペースの低下も有意に大きかった。1位の選手と2~5位の選手との明確な違いは、ランニング経験年数(29年対9.7±7.4年)であった。

エネルギー摂取量:上位の選手ほど多く摂取し、1位の選手が最大

1日のエネルギー摂取量の平均は2,915~6,856kcal/日の範囲だった(平均は前述のように4,188±1,109kcal/日)。6日間で記録された最小のエネルギー摂取量は、走行記録が10位(最低)だった選手にみられた2,362kcal/日であり、反対に最大のエネルギー摂取量は、走行記録がトップの選手にみられた7,904kcal/日だった。

トップの選手の1日あたりのエネルギー摂取量は6,856±786kcal/日であったのに対して、2~5位の選手は4,443±919kcal/日と少なく、さらに6~10位の選手は3,442±624kcal/日と、より少なかった。

エネルギー消費量:上位の選手ほど多く消費し、1位の選手が最大

1日のエネルギー消費量の平均は3,727~1万1,309kcal/日の範囲であった。走行記録がトップの選手の1日あたりのエネルギー摂取量は1万1,309kcal/日であったのに対し、2~5位の選手は6,902±1,741kcal/日と少なく、さらに6~10位の選手は5,613±1,271kcal/日と、より少なかった。

その他の主な指標

論文では上記以外にも、さまざまな指標について、全体の平均と1位の選手の値、および上位5人と下位5人の比較を示している。一部のみ抜粋して紹介する。

平均1位2〜5位6〜10位
年齢
(歳)
37.8±6.242.236.7±8.037.7±5.7
BMI24.7±9.119.220.1±1.029.5±10.9
体脂肪率
(%)
22.8±11.11617.3±5.828.6±12.7
VO2peak
(mL/分/kg)
45.7±13.859.155.5±8.435.1±10.8
ランニング経験
(年)
10.3±9.1299.7±7.46.0±6.4
睡眠時間
(時間/日)
5.2±1.91.55.6±0.16.2±0.6
平均血糖値
(mg/dL)
119±11124122±14113±7

文献情報

原典論文のタイトルは、「Project FURTHER: A Physiological, Biomechanical, and Psychosocial Profile of an All-Female 6-Day Ultramarathon Race」。〔Sports Med Open. 2026 Jun 10;12(1):67〕
原文はこちら(Springer Nature)

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