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スポーツ・運動をする女性は微量栄養素不足に注意 17種類中16種類で男性より摂取量が少ない

スポーツや運動を行っている成人における微量栄養素不足の該当者率を、性別で比較検討した研究結果が報告された。17種類の微量栄養素のうち16種類に、摂取量の性別による有意差がみられたという。

スポーツ・運動をする女性は微量栄養素不足に注意 17種類中16種類で男性より摂取量が少ない

スポーツ人口における微量栄養素不足の実態を探る

2024年に報告された、185カ国、約75億人を代表するデータの解析から、世界で数十億人が微量栄養素を十分に摂取していないことが示されている。しかしながら、特定の集団での微量栄養素の不足の状況は明らかでないことが多く、そのような特定の集団の一つとして、スポーツや運動を行っている集団が挙げられる。

栄養素の不足とは、通常、人口の50%が必要量を満たすと考えられる「推定平均必要量(estimated average requirement;EAR)」を下回ることを指す。スポーツや運動は微量栄養素の需要を増大させるため、EARを満たさない場合には、負の影響が強く生じる懸念がある。また、スポーツ・運動実践者の中には意図的に摂取量を制限したり、特定の食品を避けたりする人もいて、その場合、栄養素不足のリスクは一層高まると言える。

今回取り上げる論文の研究では、米国アリゾナ州で2019~24年にわたり5回実施された、スポーツ人口を対象とする調査のデータが解析に用いられた。この調査の参加者は、レクリエーションレベルのスポーツ実践者から、体系的なトレーニングを行っているアスリートまで、幅広い層が含まれていた。

調査手法と解析対象者の特徴

栄養素摂取量の評価には、米国立衛生研究所(NIH)が提供している無料のwebベースツールである24時間食事自己管理記録(Automated Self-Administered 24-h;ASA24)を用いた。

回答者は226人であり、5回の調査で記録されていた計681件のデータを解析に用いた。

対象者の主な特徴は、年齢22.5±3.7歳、BMI 24.7±3.5、体脂肪率27.9±8.4%、摂取エネルギー量2,141±980kcal、トレーニング歴5.9±4.8年、トレーニング頻度3.5日/週。女性が154人で301件の記録があり、男性は72人で380件の記録があった。

回答者全体のほぼ半数(47.3%)は1件の記録のみ、23.9%が2件、18.5%は3~4件、10.3%は5件以上の記録があった。これらの記録の81.5%は平日、18.5%が休日の摂取量の記録と考えられた。

ビタミンではDやEが不足、ミネラルではマグネシウムが不足の傾向

ビタミン摂取量:ビタミンC以外はすべて、女性の摂取量が男性より有意に少ない

ビタミンの種類ごとに、摂取量が推定平均必要量(EAR)を下回っている人の割合をみると、ナイアシンが最も低く7.1%、ビタミンDが最も高く91.2%だった。

女性の栄養ギャップスコア

EARとの差の程度(栄養ギャップスコア)を性別にみると、女性では、ビタミンDとビタミンEの中央値が100%未満であり、EARより有意に摂取量が少なかった。葉酸、ビタミンA、ビタミンCに関しては100%付近でEARと有意差がなく充足されていた。他のビタミンは100%を超えており、EARより有意に摂取量が多かった。

男性の栄養ギャップスコア

男性ではビタミンDの栄養ギャップスコアの中央値が100%未満であり、EARより有意に摂取量が少なかった。ビタミンCとビタミンEに関しては100%付近でEARと有意差がなく充足されていた。他のビタミンは100%を超えており、EARより有意に摂取量が多かった。

性別による比較

ビタミンCを除くすべてのビタミンで、性別による摂取量の有意差が観察され、女性は男性より少なかった。また、ビタミンCとビタミンA以外のすべてのビタミンの栄養ギャップスコアが、女性より男性のほうが高かった。

ミネラル摂取量:マグネシウム以外はすべて、女性の摂取量が男性より有意に少ない

ミネラルの種類ごとに、摂取量がEARを下回っている人の割合をみると、リンが最も低く4.0%、マグネシウムが最も高く50.0%だった。

女性の栄養ギャップスコア

女性では、カルシウムとマグネシウムの栄養ギャップスコアの中央値は100%付近で、EARと有意差がなく充足されていた。銅、鉄、リン、セレン、亜鉛は100%を超えており、EARより有意に摂取量が多かった。

男性の栄養ギャップスコア

男性では、マグネシウムの栄養ギャップスコアの中央値は100%付近で、EARと有意差がなく充足されていた。マグネシウム以外のすべてのミネラルは100%を超えており、EARより有意に摂取量が多かった。

性別による比較

マグネシウムを除くすべてのミネラルで、性別による摂取量の有意差が観察され、女性は男性より少なかった。

集団の中央値がEAR前後であれば、約半数はEARを満たしていないことに留意すべき

著者らは本研究で明らかになった点を以下のようにまとめている。

まず、評価した17種類の微量栄養素のうち16種類に性別による摂取量の有意差が認められ、女性のほうが少なかった。また、ビタミンDは性別にかかわらず摂取量の中央値がEARを下回っており、女性ではビタミンEも中央値がEARを下回っていた。

ただし、EARは健康な一般人口の半数が必要量を満たす量であるため、中央値がEARと等しい場合においても、その集団の半数近くがEARを満たしていない可能性がある。とくに今回の調査対象はアスリートや習慣的に運動を行っている集団であり、実際の必要量はEARより高いと考えられる。このため、必要量を満たしていない割合は、本研究で示された値よりも高い可能性がある。

これらから論文の結論は、「とくに女性において、一部の微量栄養素の不足が示唆される。よって、運動やスポーツを行っている人たちに対する、微量栄養素の適切な摂取のために介入し、健康とパフォーマンス向上を目指した今後の研究が望まれる」と総括されている。

文献情報

原典論文のタイトルは、「Sex differences in nutrient gaps among active adults」。〔J Nutr Sci. 2026 Jan 2:15:e5〕
原文はこちら(Cambridge University Pres)

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