日本人アスリート専用の食物摂取頻度質問票で評価したエネルギー摂取量と、二重標識水法で評価した消費量の比較
日本人アスリート向けに特化して作成された食物摂取頻度質問票(FFQJA)を用いて評価した総エネルギー摂取量(TEI)と、二重標識水(DLW)法で評価した総エネルギー消費量(TEE)との関連が報告された。男子大学陸上競技選手を対象とする検討においては、FFQJAで評価したTEIはDLW法で評価したTEEと有意差はないものの、個人レベルでの一致度は高くなかったという。東洋大学健康スポーツ科学部の髙田和子氏らの研究の結果であり、「Journal of Nutritional Science and Vitaminology」に論文が掲載された。

日本人アスリートの食事をFFQで評価する
食事摂取量を評価する手法として、食事記録や食物摂取頻度調査(food frequency questionnaire;FFQ)、思い出し法など、さまざまな方法があり一長一短があるが、FFQは他の手法に比べて対象者本人の負担が少ないというメリットがある。ただしFFQは対象集団の食文化が異なると汎用性が制限されるため、国や民族などにあわせて個別に開発する必要がある。さらにアスリートの食生活は一般生活者と大きく異なることが多いことから、アスリートに特化したFFQが必要とされる。
このような背景から、髙田氏らは以前、62項目の質問で10種類の栄養素、17種類の食品群の摂取量を評価する、日本人アスリート専用のFFQ「food frequency questionnaire for Japanese athletes;FFQJA」を開発。これまでに、複数の集団を対象で精度検証を行ってきている。今回の研究は、男子大学陸上競技選手を対象として実施された。
男子大学陸上競技選手10人のTEEを二重標識水(DLW)法で測定
研究参加者は、単一の大学の陸上競技部から募集された男子学生10人。主な特徴は、年齢20.5±1.1歳、BMI 21.6±1.3で、種目は短距離、中距離、ハードルなどであり、競技レベルは全員Tier 3だった。
オフシーズン(12月)に、7日にわたり二重標識水(doubly labeled water;DLW)法により総エネルギー消費量(total energy expenditure;TEE)を測定。その最終日に、FFQJAにより総エネルギー摂取量(total energy intake;TEI)を評価した。なお、7日間の初日から最終日までの体重の変化は0.0±0.8kgであり、有意な変化は認められなかった。
FFQJAのTEEとDLW法のTEIに有意差はないが、個人レベルでの一致度は低い
FFQJAで評価したTEIは2,662±445kcalで、DLW法で測定したTEEは3,149±337kcal、体重変化の影響を調整したTEE(corrected TEE;cTEE)は3,149±764kcalだった。
FFQJAによるTEIとcTEEとの間に有意差はなかったが(p=0.093)、TEIのほうが486±897kcal少なく、乖離幅は-10.3±28.0%だった。
先行研究(doi.org/10.1186/s12937-015-0027-y)によると、FFQの妥当性の検証において許容される乖離幅は最大10.0%とされており、今回の結果はそのレベルにわずかに達しなかった。また、参加者間のばらつきも-40.3%~33.3%と大きかった。そのため、評価されたTEIは順位性は高いが、個人においてはTEIとcTEEの一致度は低かった。
より大きなサンプルサイズでの検討の必要性と、FFQJAの改善の必要性を示唆
論文の考察によると、FFQJAにより評価したTEIを食事記録法により評価したTEIと比較した過去の研究では、15~21歳のアスリートでは乖離幅が9.3%、中学生アスリートでは-3.4%であって、今回の研究の乖離(-10.3%)はそれらよりも大きかった。しかし、これは食事記録法も実際よりも過少に評価している可能性がある。
一般に、食事調査によるTEIは実際の摂取量より過少に評価することが知られており、FFQにもその傾向がある。また乖離の程度は、TEIが高値であるほど、より大きくなることも知られている。FFQJAは、これらの影響を抑えるような工夫がなされており、今回の研究でも、TEIとcTEEの差と、TEIとcTEEの平均値との間に有意な関係はなく(r=-0.493、p=0.147)、TEIが高いために乖離が大きくなるというエビデンスは示されなかった。しかし一方で、TEEが3,000kcalを超えた7人のうち4人は、TEIを20%以上過少評価していた。これらから、FFQJAの精度向上に向けて、改善の余地がある可能性が示唆された。
著者らは、本研究のサンプルサイズが小さいこと、男子陸上競技のアスリートのみで検討していることなどの限界点を挙げ、「結果の一般化には留意が必要」としている。また、今後、より多様な競技・種目のアスリート、より大きなサンプルサイズでの検討の必要性を指摘するとともに、FFQJAの修正を要する可能性についても触れている。例えば、摂取量の多い対象の評価精度向上のためには、FFQJAで摂取量の回答をする際に、参考として示している写真に、現行のものより分量の多い料理の写真を追加するなどの方法が考えられるという。
文献情報
原典論文のタイトルは、「Evaluation of Energy Intake Assessed by the Food Frequency Questionnaire for Japanese Athletes (FFQJA) Using the Doubly Labeled Water Method」。〔J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo). 2026;72(3):256-259〕
原文はこちら(J-STAGE)







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