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栄養知識が豊富なユースサッカー選手ほどVO2maxや無酸素性作業閾値が高い 男子84人調査

男子ユースサッカー選手では、栄養知識が豊富であるほどVO2maxや無酸素性作業閾値(AT)が高いという、横断研究の結果がルーマニアから報告された。ただし著者らは、潜在的交絡因子の存在も考えられることから、仮説生成的なものと解釈すべきと述べている。

栄養知識が豊富なユースサッカー選手ほどVO2maxや無酸素性作業閾値が高い 男子84人調査

サッカーのパフォーマンスを左右する体組成・身体能力は栄養知識と相関するか?

サッカーでは低速での走行と高速スプリントが繰り返され、全体として試合中に10km以上を走行し、高度な有酸素運動と無酸素運動の能力が求められる。サッカーのパフォーマンスの発揮には体組成が中心的な役割を担うと考えられ、適切な除脂肪量(fat-free mass;FFM)はスプリントの加速やパワーが要求される場面の反復に貢献する一方、過剰な脂肪量(fat mass;FM)はエネルギーコストを増大させて有酸素能力を低下させる。最適な体組成の維持には適切な食行動が重要であり、さらに適切な食行動の遵守には、食事・栄養に関する正確な知識を身につけていることが必要とされる。

これらの理論的な背景から、サッカー選手の体組成や運動能力に個人の栄養知識の豊富さが関与している可能性が考えられる。しかしそれらの関連を客観的な指標に基づいて検討した研究は少ない。今回取り上げる研究は、ルーマニアの男子ユースサッカー選手を対象に、客観的な評価法で把握した栄養知識の豊富さと体組成、および最大酸素摂取量(VO2max)、無酸素性閾値(AT)などとの関連を検討している。

栄養知識は体組成とは関連がないが身体能力と関連

この研究の参加者は、組織的なトレーニングを継続し公式試合に積極的に参加している14~16歳の男子サッカー選手84人。急性・慢性の疾患や怪我のある選手は含まれていない。主な特徴はBMI 20.82±1.86、生体電気インピーダンス法による体脂肪率9.20±4.92%、心肺運動負荷試験によるVO2max 51.18±16.67mL/kg/分、AT 26.58±12.76mL/kg/分、出力330.21±91.58W。

栄養に関する知識は、スポーツ栄養知識アンケート(Nutrition for Sport Knowledge Questionnaire;NSKQ)で調査した。対象が未成年のためアルコールに関する質問項目を除外し、合計スコアを81点としたところ、平均は43.56±18.06点(53.8%)だった。

体組成と身体能力は有意に関連するが、栄養に関する知識の豊富さは体組成と関連なし

体組成と身体能力との関連を解析すると、多くの有意な関連が示された。例えば除脂肪量(fat-free mass;FFM)は、絶対出力とρ=0.702、相対出力とρ=0.545であり、いずれも正相関し(ともにp<0.001)、評価項目の中で最も強い相関を示した。

一方、栄養に関する知識の豊富さ(NSKQのスコア)とBMI、除脂肪量(kg)および除脂肪量率(%)との関連を検討したところ、それらはすべて有意な関連が示されなかった。

栄養知識の豊富さは身体能力と関連する

次に、栄養知識の豊富さと身体能力の関連をみると、NSKQスコアが高いことが、VO2maxが高いことと独立して関連していた。具体的には、交絡因子未調整で有意(p=0.001)であり、身長や体脂肪率で調整後も有意だった(p<0.001)。

また、無酸素性作業閾値(AT)についても、NSKQスコアは調整なしモデルで有意であり(p=0.020)、身長で調整した後も有意(p=0.024)であった。ただし、体脂肪率も調整した場合は、わずかに非有意となった(p=0.052)。

農村部に居住しているユース選手は身体能力と栄養知識に優れている

続いて、研究参加者の居住地を都市部と農村部に分類したうえで、身体能力や栄養知識を比較した。なお、全体の63.1%が都市部に居住し、36.9%は農村部に居住していた。

身体能力については、いくつかの指標で有意差が観察され、都市部よりも農村部に居住しているユース選手のほうが優れていた。例えばVO2maxやATに有意差が認められた。また、栄養に関する知識についても有意差がみられ、農村部居住者はNSKQのすべての下位尺度、および合計スコアで有意に高いスコアを獲得した。

一方、身長、体重、BMI、除脂肪量、体脂肪量、出力については、居住地による有意差は認められなかった。

因果関係の考察は制限されるが、栄養知識がパフォーマンスに貢献する可能性を支持

以上の結果に基づき論文の結論は、「男子ユースサッカー選手において、栄養に関する知識は体組成とは関連していなかったが、体組成はパワーと強い関連があった。それに対して、栄養に関する知識が高いほど、体組成で調整後も、VO2maxとAT値が高いことと独立して関連していた。これらの結果は、ユースサッカーにおいて、栄養に関する知識は体組成よりも、有酸素運動能力とより密接に関連している可能性を示唆している」とまとめられている。

また、「横断研究であるため因果関係の推論はできない」としたうえで、「観察されたこの関連性は、栄養に関する知識がトレーニング適応に関連するパフォーマンスに貢献するという考え方を裏付けている」としている。ただし、「栄養に関する知識の向上によって、生理学的パフォーマンスの向上につながるかどうかを判断するには、食事摂取量、行動指標、および生物学的成熟度を組み込んだ縦断的研究が必要」と付け加えられている。

文献情報

原典論文のタイトルは、「Associations Between Nutrition Knowledge, Body Composition, and Cardiopulmonary Exercise Performance in Adolescent Football Players」。〔Sports (Basel). 2026 Jun 5;14(6):231〕
原文はこちら(MDPI)

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