カフェイン+炭水化物で高強度インターバル運動のパフォーマンス向上、洗口はより効果的な可能性
カフェインと炭水化物の併用による高強度インターバル運動(HIIE)へのプラス効果が、システマティックレビューと3レベルメタ解析の結果として報告された。炭水化物については摂取するよりもマウスリンス(洗口)とした場合のほうが、有用性が高い可能性も示されている。

いずれもエビデンスが豊富なカフェインと炭水化物を併用した場合のHIIEへの効果は?
カフェインと炭水化物のサプリメントは、どちらもスポーツパフォーマンスを向上するという豊富なエビデンスのあるエルゴジェニックエイドとして普及している。とくに、試合時間が長く、試合中に高強度の負荷と短時間の回復に充てられる時間が繰り返されるような競技では、カフェインの神経刺激作用と炭水化物のエネルギー基質としての働きが組み合わさり、理論的にはそれら両者を併用することに相加的な効果が期待できる。さらに炭水化物は脳の報酬系を刺激することなど、基質酸化とは別の経路でパフォーマンス向上に働くというメカニズムも示唆されている。
カフェインと炭水化物の併用効果は既に複数の研究がなされている。ただし結果に一貫性がなく、摂取プロトコルの違い、検討対象の違い(アスリートか否か)などが、結果が一致しない理由として考えられる。今回紹介する論文の研究は、カフェインと炭水化物を併用し、両者を併用することのメリットが得られやすいと考えられる、高強度インターバル運動(high-intensity interval exercise;HIIE)のパフォーマンスへの影響を検討した研究を統合する、システマティックレビューと3レベルメタ解析の報告。3レベルメタ解析は、一つの研究から複数の評価結果が得られている場合に、それらを独立したデータとして扱わず、同じ研究内の結果が互いに関連していることを考慮して統合する手法であり、研究間の異質性と研究内のばらつきを考慮した解析が可能。
4件のデータベースから11件の研究報告を抽出
システマティックレビューとメタ解析のための優先レポート項目(PRISMA)ガイドラインに則して、Web of Science、Cochrane Library、PubMed、Scopusという4件の文献データベースに、それぞれのスタートから2026年4月までに収載された報告を対象とする検索を実施。包括基準は、18歳以上の健康な成人を対象に、無作為化二重盲検クロスオーバー法によって、カフェインと炭水化物の併用による高強度インターバル運動(HIIE)のパフォーマンスへの急性効果を検討した研究。主な除外基準は、英語以外の論文、カフェインと炭水化物を長期間併用した場合の慢性効果を検討した研究、査読システムのないジャーナルの論文、総説、ケーススタディー、学会発表、動物実験、臨床(疾患の治療)での研究。
一次検索で524報がヒットし、ハンドサーチで1報を追加した後、重複を削除。347報のタイトルと要約に基づき、2名の研究者が独立してスクリーニングを実施。採否の意見の不一致は討議による合意形成、または3人目の研究者を加えた討議により解決した。21報を全文精査の対象とし、最終的に11件の研究の報告を適格と判断した。
抽出された研究の特徴
11件の研究のサンプルサイズは6~13で、合計105人(うち男性97人)が参加していた。平均年齢は21~32歳であり、56%がトレーニングを行っているアスリート、44%がレクリエーションアスリートだった。
9件はカフェイン(caffeine)摂取と炭水化物(carbohydrate)の摂取を並行(CAF+CHO)した影響を検討し、2件はカフェイン摂取と炭水化物のマウスリンス(CHO mouth rinsing)を並行(CAF+CMR)した影響を検討していた。
全体として併用効果が認められ、とくに炭水化物マウスリンスの有用性が高い可能性
3レベルメタ解析の結果、カフェインと炭水化物の併用は、高強度インターバル運動(HIIE)のパフォーマンスに対して小~中程度の急性効果があることが示された(効果量〈Hedgesのg〉=0.44〈95%CI;0.23~0.66〉、p<0.001、異質性〈I2〉=42%〈中程度〉)。
カフェイン+炭水化物マウスリンスのほうがHIIEへの影響が強い
カフェイン摂取と炭水化物摂取を並行(CAF+CHO)した研究と、カフェイン摂取と炭水化物のマウスリンスを並行(CAF+CMR)した研究はいずれも、有意な効果があることが示された(いずれもp<0.001)。ただし、効果量は後者のほうが大きく、両者に有意差が認められた(p=0.031)。
具体的には、CAF+CHOはg=0.33(0.14~0.52)であり、CAF+CMRではg=0.91(0.49~1.33)であった。
比較対照群でカフェイン単独摂取が行われた研究では、炭水化物上乗せ効果が非有意
次に、比較対照群に用いられた介入方法別のサブグループ解析が行われた。その結果、対照群がプラセボまたは炭水化物単独の場合は、いずれも両者併用による有意なパフォーマンス向上が示されたが、対照群がカフェイン単独の場合は両者併用による有意なパフォーマンス向上が示されなかった。
具体的には、対照群がプラセボの場合はg=0.66(0.29~1.03)、炭水化物単独の場合はg=0.32(0.10~0.53)、カフェイン単独の場合はg=0.10(-0.09~0.28)であった。ただし、効果量の群間差は非有意だった(p=0.154)。
研究対象のトレーニング状況による差はみられない
最後に、研究参加者のトレーニング状況のサブグループ解析が行われ、トレーニングを行っているアスリートとレクリエーションアスリートの双方で、カフェインと炭水化物を並行摂取することの有意な影響が認められた。効果量の群間差は非有意だった(p=0.307)。
女性への適用可能性などの留意点
以上の結果について論文では、先行研究の知見を援用し以下のような考察が加えられている。
まず、カフェイン摂取と炭水化物摂取の並行(CAF+CHO)よりも、カフェイン摂取と炭水化物のマウスリンスを並行(CAF+CMR)したほう場合の効果が高い可能性が示された点については、CHO摂取では消化器症状発現のリスクがある一方で、CMRにはそのリスクがなく脳内報酬系の刺激などを介してパフォーマンスに働きかけ得る可能性があるとしている。
また、比較対照群でカフェイン単独摂取が行われていた場合はメタ解析の結果が非有意であったことについては、それらの研究のすべてでCAF+CMRではなくCAF+CHOによる介入が実施されていたことを、重要な点として指摘している。
論文の結論は、「報告によって結果は異なるもののメタ解析は、カフェインと炭水化物の併用が高強度インターバル運動のパフォーマンスを有意に向上させ、レクリエーションとして運動する人とトレーニングを積んでいる人の双方に効果があることを示している。ただし、研究数と女性参加者の数が限られているため、これらの結果は慎重に解釈する必要がある」とし、「より信頼性の高いエビデンスに基づく推奨事項を確立するためには、より厳密で大規模な試験が必要」と総括している。
文献情報
原典論文のタイトルは、「Synergy or Dominance? The Ergogenic Effects of Caffeine and Carbohydrate on High-Intensity Interval Exercise Performance: A Three-Level Meta-Analysis」。〔Nutrients. 2026 Jun 10;18(12):1868〕
原文はこちら(MDPI)







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