肥満の減量は「ゆっくり」より「急速」が効果的? RCTで1年後の体重減少にも有意差
BMIが30以上の肥満成人を対象に、ゆっくりと減量を進める群と急速な減量を行う群に二分し、減量効果や1年間での目標達成率などを比較した無作為化比較試験の結果が、欧州肥満学会(ECO 2026、5月12~15日、トルコ・イスタンブール)で報告された。結果は、急速な減量は緩やかな減量よりも大きな減量効果をもたらし、1年後の体重維持にも優れているというものだった。発表者らは、「この結果は、ゆっくりとした減量が最も効果的であるという従来の考え方に疑問を投げかけるものだ」と述べている。

研究の背景:肥満関連合併症リスクの低減には、急速な減量か緩徐な減量か?
最近報告された大規模集団ベースのコホート研究(Busettoら、2025年)において、減量によってBMI 27以下、および腹囲身長比(waist-to-height ratio;WHtR)0.53以下を達成することが、肥満関連合併症(2型糖尿病、高血圧、アテローム性動脈硬化性心血管疾患、股関節・膝関節変形性関節症)の10年間のリスクを低減するうえで、臨床的に意義のある治療目標となり得ると結論づけられた。
これを背景として本研究は、これらの治療目標を達成するにあたり、急速な減量(rapid weight loss;RWL)プログラムと緩徐な減量(gradual weight loss;GWL)プログラムの有効性を比較検討することを目的に実施された。
研究の方法:無作為に二分し16週間で減量、その後はリバウンド防止介入
この研究は、52週間にわたる研究者主導の臨床試験として実施された。
肥満(BMI 30以上)の成人284人を対象に、16週間の食事療法に基づくRWLプログラム(1~8週は1日1,000kcal未満、9~12週は1日1,300kcal未満、13~16週は1日1,500kcal未満)、または16週間の食事療法に基づくGWLプログラム(推定総消費エネルギー量から800~1,000kcalを差し引いた摂取量)のいずれかに1対1の割合で無作為に割り付け、その後、両群共通の36週間にわたるリバウンド防止プログラムを実施した。
介入には、1~16週目は毎週の対面式減量グループセッションが含まれ、それ以降は、最初の3カ月間は14日ごとの対面式グループミーティング、残りの5カ月間は月1回のミーティングまたは個別連絡が行われた。
主要評価項目は、1年後の総体重減少率(%TBWL〈total body weight loss〉)とし、事後的な探索的評価項目として、1年後にBMIが27以下または腹囲身長比(WHtR)が0.53以下を達成した参加者の割合を比較した。
結果:%TBWLや目標達成率は、すべて急速減量群が大きく有意差あり
計284人(女性257人)の参加者が、RWLプログラム(142人)、またはGWLプログラム(142人)のいずれかに無作為に割り付けられた。
ベースライン時において、平均年齢48.1±9.0歳、体重102.7±15.6kg、身長168±7cm、BMI 36.1±4.3、ウエスト周囲長112.7±11.1cm、WHtR 0.67±0.06)であった。なお、ベースライン時点でBMIまたはWHtRの治療目標を満たしていた参加者はいなかった。
1年後の平均%TBWLは、GWL群(-10.5%〈95%CI;-11.7~-9.2〉)と比較して、RWL群(-14.4%〈同-15.6~-13.2〉)が有意に大きく、群間差は-3.9パーセントポイント(-5.7~-2.2)であった。
BMI 27以下を達成した参加者の割合は、16週時点(13.8 vs 0.8%)、および1年後(28.3 vs 9.7%)のいずれにおいても、GWL群よりRWL群が有意に高かった(いずれもp<0.001)。また、WHtR 0.53以下を達成した割合も、16週時点(24.2 vs 8.9%、p=0.001)、および1年後(33.0 vs 18.4%、p=0.016)のいずれにおいても、GWL群よりRWL群で有意に高かった。
結論:肥満関連合併症の予防には、緩徐な減量より急速な減量が効果的な可能性
肥満の成人において、構造化されたRWL(急速な減量)プログラムへの参加は、GWL(緩徐な減量)アプローチと比較して、1年経過時点での有意に大きな体重減少をもたらし、かつ臨床的に意義のあるBMIおよび腹囲身長比(WHtR)の目標値を達成する割合が高いという結果を示した。
発表者らは、「これらの知見は、管理された専門スタッフの監督下で実施される場合、RWLが、肥満に関連する健康リスクの低減と関連する身体計測上の目標値を達成するうえで、GWLよりも効果的な方法となり得ることを示唆している」とまとめている。
文献情報
演題のタイトルは、「Rapid versus Gradual Weight Loss for Reducing Risk of Obesity-Related Complications: A Treat-to-Target Analysis of an RCT」。
発表の抄録はこちら(33rd European Congress on Obesity (ECO 2026))







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