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高齢者の死亡リスク、舌ブラシ使用で23%低下、歯間清掃で11%低下 約1万人を6年間追跡 東京科学大学

歯間清掃具を使用している高齢者は死亡リスクが約11%低く、舌ブラシを使用している人は約23%低いことが明らかになった。東京科学大学大学院医歯学総合研究科歯科公衆衛生学分野の相田潤氏らが、日本老年学的評価研究(Japan Gerontological Evaluation Study;JAGES)のデータを解析した結果であり、東京科学大学およびJAGESのサイトにプレスリリースが掲載された。

高齢者は舌ブラシ使用で死亡リスク23%低下、歯間清掃で11%低下 約1万人を6年間追跡

研究の概要:簡単な口腔保健行動と死亡リスクとの関連の検討

全国の65歳以上の高齢者を対象とした大規模追跡データを分析し、複数の日常的な口腔保健行動と全死因死亡リスクとの関連を検証した。

本研究では、日本老年学的評価研究(JAGES)のデータを用い、なるべく実験研究に近くなるようにデータを精密に分析して、日常的な口腔保健行動と死亡リスクとの関連を検討。歯が1本以上あり、機能的に自立している地域在住高齢者9,676人を6年間追跡した結果、死亡発生率は1,000人を1年間追跡した場合17.3件だった。さまざまな背景要因を考慮して解析した結果、歯間清掃具を使用している人では死亡リスクが約11%、舌ブラシを使用している人では約23%低いことが明らかになった。

これらの結果から、簡便かつ低コストな口腔保健行動が、高齢社会における健康長寿の実現に貢献する可能性が示された。

研究の背景:自立している高齢者でも口腔ケアで死亡リスクが下がるか?

誤嚥性肺炎は高齢者の主要な死因の一つであり、口腔のケアが病院や介護施設における肺炎の発症を減少させることが知られている。しかし、比較的健康で要介護認定を受けていない高齢者において、口腔のセルフケアが死亡率に及ぼす長期的な影響は十分に明らかになっていない。

そこで本研究では、複数の日常的な口腔保健行動が全死因死亡リスクの低下と関連するかどうか、また、その関連が社会人口統計学的要因、行動要因、および健康関連要因によってどのように変化(修飾)するかを検証することを目的とした。

対象と方法:約1万人の高齢者を6年間追跡

本研究では、高齢者9,676人を6年間追跡したデータを分析し、七つの日常的な口腔保健行動と全死因死亡リスクとの関連を検証した。対象とした口腔保健行動は、(1)1日2回以上の歯磨き、(2)歯間清掃具(デンタルフロスや歯間ブラシ)の使用、(3)舌ブラシの使用、(4)歯磨剤の使用、(5)液体歯みがき(洗口液、マウスウォッシュ)の使用、(6)過去12カ月以内の歯科治療のための受診、(7)過去12カ月以内の歯科健診のための受診――の7項目。

結果:交絡因子を調整後も歯間清掃や舌ブラシの習慣が死亡リスクの低さと関連

分析の結果、死亡発生率は1,000人を1年間追跡した場合、17.3件だった。年齢、性別、社会経済状況、生活習慣、健康状態などの影響を考慮して解析したところ、歯間清掃具を使用している人では全死因死亡リスクが約11%低く(関係する要因を考慮した重みづけ調整ハザード比※1〈HR〉=0.89、95%信頼区間※2=0.80~0.99)、舌ブラシを使用している人では約23%低いことが明らかになった(HR=0.77、95%信頼区間=0.68~0.87)(図1、表1)。

図1 日常的な口腔保健行動と高齢者の全死因死亡リスクとの関連(n=9,676、6年の追跡)

日常的な口腔保健行動と高齢者の全死因死亡リスクとの関連(n=9,676、6年の追跡)

(出典:東京科学大学)

表1 日常的な口腔保健行動と全死因死亡の分布とハザード比

日常的な口腔保健行動と全死因死亡の分布とハザード比

(出典:東京科学大学)

また、年齢、性別、社会経済状況、生活習慣、健康状態などによる層別解析を行った結果、これらの関連の強さに明確な違いは認められず、口腔保健行動と死亡リスクとの関連はさまざまな集団で一貫して認められた。

本研究の意義:簡便かつ低コストな口腔保健行動が健康長寿の実現に貢献する可能性

以上の結果を基に著者らは、「歯間清掃や舌ブラシの使用が、高齢者の死亡リスクの低下と関連する可能性が示された」と結論づけ、「これらの簡便かつ低コストな口腔保健行動は、健康寿命の延伸や健康長寿の実現に貢献する可能性がある」と付け加えている。

プレスリリース

歯間清掃と舌ブラシで健康長寿に期待 高齢者約1万人の追跡調査で死亡リスク低下との関連を確認(東京科学大学)

文献情報

原題のタイトルは、「Routine oral health practices and all-cause mortality among older Japanese adults: A 6-year cohort study」。〔J Dent. 2026 Sep:172:106789〕
原文はこちら(Elsevier)

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