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卓球選手に必要な栄養戦略 炭水化物・タンパク質・水分・微量栄養素をレビュー

「卓球王国」中国の研究者による、卓球選手のための食事・サプリメント戦略に関するレビュー論文を紹介する。既報論文に基づき、炭水化物、タンパク質、脂質、鉄、マグネシウム、ビタミンDなどの推奨摂取量が示されている。

卓球選手に必要な栄養戦略 炭水化物・タンパク質・水分・微量栄養素をレビュー

卓球における栄養素需要

卓球は中国において最も人気の高いスポーツの一つであり、2021年の東京五輪(東京2020)期間中に中国国内での卓球視聴者は約3億5,000万人に上ったと報告されている。主要な卓球の国際大会では、選手の参加期間が10日程度に及ぶこともあり、この間、競技としての特徴から要求される筋力、持久力、敏捷性、注意力を維持し、繰り返される試合間の短時間でいかに回復できるかが結果を左右する。

パフォーマンスの維持と回復促進に栄養が重要であることは論をまたず、例えば持久力には炭水化物、回復の遅延には炭水化物と蛋白質の適切な摂取が求められることは、一般的な理解といえる。しかし、卓球という競技における適切な栄養素摂取に関する研究は十分なされてない。これらを背景として著者らは、ナラティブレビューにより卓球の栄養戦略に関する知見の統合を試みた。

PubMedおよびGoogle Academicに、それぞれのスタートから2025年6月までに収載された報告の中から、査読システムのあるジャーナルに英語で執筆されているものを検索した。検索語には、卓球、エネルギー代謝、栄養を使用した。

抽出された報告に基づき、論文は、「卓球におけるエネルギー代謝の特徴」、「卓球選手のための栄養に関するアドバイス」、「具体的な栄養戦略」などの項目としてまとめられている。ここでは「卓球選手のための栄養に関するアドバイス」の一部を抜粋する。

卓球選手のための栄養に関するアドバイス

炭水化物

卓球のトレーニングと試合は主に有酸素運動に該当することから、推奨される炭水化物摂取量は5~7g/kg/日であり、性別、運動強度・期間、環境条件によって調整する。試合中には最適な血糖値を維持することが不可欠であり、食物繊維含有量が高くグリセミック指数(GI)が低い炭水化物の試合前摂取が役立つことが実証されている。

実践的戦略

炭水化物を豊富に含む食品(米、麺類、パスタ、パンなど)を十分に摂取する。中~低GIの炭水化物を選ぶ。トレーニング中は血糖値を維持するために炭水化物・電解質飲料を摂取する。運動後の回復を最適化するために、炭水化物とタンパク質の両方を含む食品(牛乳など)を摂取する。

タンパク質

1.2~2.0g/kg/日のタンパク質を摂取すると、筋肉の合成と修復が促進され、それによってスポーツパフォーマンスが向上することが実証されている。卓球選手の推奨される摂取量は1.4~1.7g/kg/日で、これはサッカーや筋力トレーニングのタンパク質必要量に相当する。ただしオフシーズンには1.2g/kg/日に減らすことが推奨される。また、最適な吸収のため、1日を通して分散して摂取することが推奨される。試合が連続する期間中にタンパク質が豊富な食品や飲料の摂取が難しい場合、プロテインパウダーの使用は有効な代替手段となり得る。

実践的戦略

推奨される供給源は、牛乳、赤身肉、大豆製品、卵。1食あたりの最適な摂取量は0.3g/kg。カゼインなどの緩徐に吸収されるタンパク質を就寝前に摂取すると、筋肉の合成と回復を促進する。

脂質

卓球選手の脂質摂取量は、公衆衛生ガイドラインに準拠しつつ、トレーニングレベルと体組成に応じて個別に設定する必要がある。総エネルギー摂取量の20%未満という低レベルの脂質摂取を長期間継続することは、脂溶性のビタミンや脂肪酸の欠乏につながる可能性があるため推奨されない。なお、トレーニング前や競技前に摂取する食品は、消化器症状発現リスクの最小化のため、脂質含有量が少ないものを選択する。

実践的戦略

動物性脂肪などの飽和脂肪酸を多く含む食品の摂取をなるべく抑え、魚、種子、ナッツ類などからの多価不飽和脂肪酸の摂取が望ましい。

水分

運動中に失われた水分と電解質を補うために、運動後の水分補給が必要。水分不足は運動能力を低下させ、とくに暑熱環境では生理的負担を増大させる可能性がある。研究によると、水分不足による体重1%の減少でさえ、認知機能や注意持続時間に悪影響を及ぼす可能性がある。また、汗にはナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、銅、鉄などが含まれている。そのため大量の発汗は、程度の差こそあれ電解質の喪失につながり、運動能力の低下、筋肉の痙攣や不整脈を引き起こす。

実践的戦略

運動を始める前に十分な水分補給を心がける。高強度トレーニング中、または1日に複数の試合に参加する場合は、炭水化物と電解質を含む飲料で水分を補給する。

主な微量栄養素

ビタミンとミネラルが免疫能の維持、ヘモグロビン合成、エネルギー代謝において極めて重要であることを理解しておく必要がある。習慣的な運動は体内のミネラルレベルの低下につながることが実証されており、マグネシウムと亜鉛はその顕著な例である。そのため高強度のトレーニングを行うアスリートは、微量栄養素の摂取量を増やす必要がある可能性がある。なお、ビタミンB群はエネルギー代謝において重要な役割を果たすが、パンや米などの主食に豊富に含まれていることを考えると、欠乏症が起こる可能性は低いだろう。

実践的戦略

鉄分;赤身肉やほうれん草などの濃い緑色の葉野菜を摂取する。マグネシウム;濃い緑色の葉野菜、全粒穀物、ナッツ、種子を十分に摂取。ビタミンD;ビタミンDレベルをモニタリングし、必要に応じて経口サプリメントの摂取を検討。マグロなどの脂身の多い魚など、ビタミンDが豊富な食品を摂取し、また十分に日光に当たる。カルシウム;乳製品、緑の葉野菜、豆類を習慣的に摂取。

文献情報

原典論文のタイトルは、「Dietary and nutritional supplementation strategies for table tennis athletes: a mini-review」。〔Front Nutr. 2026 Jun 26:13:1849900〕
原文はこちら(Frontiers Media)

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