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甘味/塩味や脂肪分の好き嫌いと全死亡、生活習慣病リスクの関連 英国18万人を9年以上追跡

甘味や塩味が好きか嫌いか、脂肪分の多い食品が好きか嫌いかという食の好みが、さまざまな交絡因子を調整後にも、全死亡リスクや生活習慣病発症リスクと有意に関係していることが明らかになった。英国で行われている大規模疫学研究の参加者18万人以上を9年以上追跡した前向き研究の結果として報告された。

甘味/塩味や脂肪分の好き嫌いと全死亡、生活習慣病リスクの関連 英国18万人を9年以上追跡

食の好みと健康アウトカムとの関連を、長期大規模研究で検討

不適切な食習慣が、さまざまな疾患や死亡のリスクと関連していることは、広く知られている。この関連のメカニズムとして一般に、エネルギー密度が高い食品、とくに糖や脂肪を好むことが、脳内の報酬系を変化させたり味覚感受性を低下させたりすることで摂取量の増大を招き、肥満リスクを高めることで、健康アウトカムの悪化につながると説明される。実際、横断研究では、脂肪分の好みの高さが肥満と関連していること、女性では甘味の好みが肥満と関連していることなどが報告されている。

ただし、これまで行われてきた食の嗜好と健康との関連の研究の大半は、観察研究か短期間の追跡にとどまる縦断研究として行われてきている。さらに、検討されたアウトカムの大半はBMIや肥満であって、生活習慣病の発症または死亡というハードエンドポイントとの関連性を長期追跡研究で検討した研究はなく、BMIの上昇を介さずにそれらのリスクが高まるのか否かも明らかにされていない。

以上を背景として、今回紹介する研究では、英国の一般住民を対象に実施されている大規模疫学研究「UKバイオバンク」のデータを用いた検討が行われた。

一般生活者18万人を食の好みで分類し9年間追跡してアウトカムを比較

UKバイオバンクは2006~10年に英国の40~69歳の成人、50万人以上を登録して行われている前向きコホート研究。今回の研究では、食の嗜好に関する調査に回答していた参加者のうち、ベースライン時点で疾患を有していた人、追跡開始から2年以内に解析対象疾患を発症または死亡した人、解析に必要なデータが欠落している人を除外し、18万2,181人(UKバイオバンク参加者の36%)を解析の対象とした。

食の嗜好に関する調査はオンラインで実施され、脂肪分の多い/少ない食品、および、甘味/塩味食品の好みの程度を、1(非常に嫌い)から9(非常に好き)という9段階のリッカートスケールで回答してもらった。

食品の嗜好との関連を評価したアウトカムは、あらゆる原因による死亡(全死亡)、および、2型糖尿病、心血管疾患、大腸癌、肺癌、乳癌、前立腺癌の発症とした。追跡期間は中央値9.2年(四分位範囲9.6~9.9〈論文のママ〉)だった。

関連の解析に際しては、以下の3種類のモデルが用いられた。モデル1は、年齢、性別、民族、剥奪指数(経済的困窮)、研究参加登録の時期を調整。モデル2はモデル1の調整因子に加えて、喫煙・飲酒・身体活動習慣、座位時間を調整した。モデル3は、食の嗜好と健康アウトカムとの関連が、BMIの影響を調整することで減弱するか否かを検討するためのモデルとして、モデル2の調整因子にBMIのみを追加した。

なお、摂取エネルギー量は後述のように把握されているが、調整因子として論文中には記されていない。

解析対象者の特徴

解析対象者18万2,181人の主な特徴は、年齢中央値57歳(四分位範囲50~62)、女性54.4%であり、摂取エネルギー量は中央値2,003kcal/日(1,670~2,385)だった。

食の嗜好については、高脂肪/塩味食品を好きが81.2%、嫌いが18.8%、高脂肪/甘味食品を好きが79.4%、嫌いが20.6%、低脂肪/塩味食品を好きが94.5%、嫌いが5.5%、低脂肪/甘味食品を好きが97.3%、嫌いが2.7%だった。

性別で比較すると、女性は男性に比べて、高脂肪食品は塩味か甘味かにかかわらず、嫌いの割合が高く、低脂肪食品については逆の傾向がみられた。年齢については、食品の好みに関する有意な傾向が観察されなかった。

食品の好みと明確な関連が認められた指標はBMIであり、高脂肪/塩味食品が嫌いな人の51.2%は基準範囲内のBMIだったのに対して、高脂肪/塩味食品が好きな人ではその割合が35.5%であり、過体重や肥満が多い傾向があった。

有害な健康転帰との関連性は、脂肪分の多い食品を好む嗜好パターンで最も強い

解析の結果、食の好みと健康アウトカムとの間に、さまざまな有意な関連が認められた。さらに、それらの関連性は、モデル2とモデル3で大きく異ならなかった。つまり、食の好みによる健康リスクへの影響の多くは、BMI増加を介さずとも生じる可能性が考えられた。

以下、本稿ではBMIも調整したモデル3の結果のみを紹介する。なお、それぞれの数値は、ハザード比(HR)とその95%信頼区間。また、有意な結果のみを記す(記していないアウトカムとの関連は非有意)。

食品の好みのリッカートスコアが1点高いことと、健康アウトカムの関連

低脂肪/甘味の好みが1点高いごとに、心血管疾患は0.96(0.94~0.98)、2型糖尿病は0.92(0.88~0.96)と低リスクになり、前立腺癌は1.04(1.00~1.08)と高リスクとなった。

低脂肪/塩味の好みが1点高いごとに、全死亡は0.85(0.79~0.92)、心血管疾患は0.95(0.93~0.96)、2型糖尿病は0.92(0.88~0.96)、すべての癌は0.90(0.86~0.95)と低リスクになった。

高脂肪/甘味の好みが1点高いごとに、心血管疾患は0.98(0.97~0.99)、2型糖尿病は0.92(0.89~0.95)と低リスクになり、全死亡は1.06(1.00~1.13)、すべての癌は1.02(1.01~1.04)、大腸癌は1.06(1.02~1.11)、前立腺癌は1.03(1.01~1.06)と高リスクとなった。

高脂肪/塩味の好みが1点高いごとに、心血管疾患は0.97(0.95~0.96)と低リスクになり、2型糖尿病は1.05(1.00~1.09)、肺癌は1.11(1.01~1.26)と高リスクとなった。

高脂肪食品を好むことと、健康アウトカムの関連

次に、甘味/塩味いずれの高脂肪食品も嫌いと回答した群を基準とする比較が行われた。

甘味の高脂肪食品が好きで塩味の高脂肪食品は嫌いな場合、全死亡が1.66(1.01~2.70)と高リスクだった。塩味の高脂肪食品が好きで甘味の高脂肪食品は嫌いな場合もやはり、全死亡が1.66(1.03~2.67)と高リスクであり、かつ2型糖尿病も1.30(1.02~1.67)と高リスクだった。

そして、甘味の高脂肪食品と塩味の高脂肪食品がともに好きな場合、全死亡が1.71(1.12~2.59)、すべての癌が1.08(1.00~1.16)と高リスクであり、心血管疾患は0.88(0.82~0.95)と低リスクだった。

著者らは本研究が観察研究に基づいた解析結果であることなど、いくつかの限界点があるとしたうえで、「食品の好みと健康転帰との関連性は食品群によって異なり、ほとんどの関連性はBMIで調整しても弱まらないようである。また、重要な発見として、有害な健康転帰との関連性は脂肪分の多い食品の嗜好パターンで最も強く、甘いものを好むことだけではリスク上昇と関連していなかったことだ」と述べている。

文献情報

原典論文のタイトルは、「Associations between liking patterns for foods characterised by high/low fat content and sweet/savoury profiles and health outcomes: findings from the UK Biobank prospective cohort study」。〔Br J Nutr. 2026 Jul 13:1-26〕
原文はこちら(Cambridge University Press)

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