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噛む力の回復・維持が健康寿命延伸につながる可能性 高齢者4,410人の追跡研究

島根大学、島根県歯科医師会、国立保健医療科学院などの共同研究チームは、島根県内の高齢者を対象とした調査により、客観的な咀嚼能力(噛む力)の低下や低位での停滞が、その後の要介護認定や死亡のリスクを大幅に高めることを明らかにした。

噛む力の回復・維持が健康寿命延伸につながる可能性 高齢者4,410人の追跡研究

研究のポイント:噛む力の「回復」が健康寿命延伸につながる可能性も示唆

島根県後期高齢者医療広域連合が実施する「後期高齢者歯科口腔健康診査」のデータを活用し、島根県内の75歳以上の高齢者4,410名を対象に、約2年間の咀嚼能力(噛む力)の変化とその後の要介護認定や死亡リスクとの関連を調査した。

「噛む力」の低下・停滞グループでリスク増大

噛む力が高い状態を維持している人に比べ、噛む力が低下した人(1.75倍)や低いままの人(1.86倍)は、要介護または死亡のリスクが有意に高いことが判明した。

噛む力の「回復」が重要

一度低下した噛む力が改善したグループでは、高い状態を維持しているグループと比較して統計的に有意なリスク上昇はみられず、早期発見・治療による「咀嚼能力の回復」が健康寿命の延伸に重要である可能性が示唆された。

客観的評価の有用性を証明

島根県の歯科健診で独自に行っている客観的な咀嚼能力測定が、高齢者の将来の健康リスクの重要な指標となることを改めて裏付けた。

著者らは、「本研究の成果は、早期から良好な機能を『維持し続けることとともに、一度低下した機能を後から回復させることも、高齢者の健康寿命において重要であることを示唆している。この知見は、今後の地域保健における口腔機能管理の重要性を裏付ける重要なエビデンスとなる」としている。

論文のアブストラクトより

対象

2016年4月~22年3月に、2回の口腔健康診断を受けた75歳以上の島根県在住者4,410人。年齢中央値は79歳(四分位範囲78~82)、2,000人(45.35%)が男性、2,410人(54.65%)が女性。

方法

グミゼリーテストを用いた評価により咀嚼能力を「高」または「低」と判定し、2回の評価結果の変化に基づき、高-高群、低-高群、高-低群、低-低群という4群に分類。評価項目は、追跡期間(中央値31カ月〈16~42〉)中の機能障害および死亡であり、共変量を調整したうえで高-高群を基準とするハザード比(HR)を推定。

結果

高-低群(HR1.75〈95%CI;1.19~2.59〉)および低-低群(HR1.86〈1.35~2.55〉)は、いずれも統計学的に有意なリスク上昇が認められた。一方、低-高群のリスク上昇は有意でなかった(HR1.48〈0.95~2.32〉)。

関連情報

グミ測定による経年的な咀嚼能力の維持が要介護認定・死亡のリスクを抑制する可能性【研究成果】~地域包括ケア教育研究センター(島根大学)

文献情報

原典論文のタイトルは、「Association between masticatory performance changes and functional disability and mortality risk in older adults: a retrospective cohort study」。〔Arch Gerontol Geriatr. 2026 Jun 11:150:106335〕
原文はこちら(Elsevier)

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