スポーツ栄養WEB 栄養で元気になる!

SNDJ志保子塾2026 ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー
一般社団法人日本スポーツ栄養協会 SNDJ公式情報サイト
ニュース・トピックス

アスリートの栄養知識に課題 微量栄養素やサプリメントの知識に乏しいことが浮き彫りに

チームスポーツ選手の栄養知識のレベルを、行っている競技や競技レベル、性別などで比較検討した結果が報告された。サンプルサイズが900を超える大規模な横断研究として、アイルランドで行われたもの。選手の4人に3人は栄養リソースへのアクセスを希望しているものの、3人に2人はアクセスできていないという実態も明らかにされている。

アスリートの栄養知識に課題 微量栄養素やサプリメントの知識に乏しいことが浮き彫りに

さまざまなチームスポーツ選手の栄養知識を大規模サンプルで比較検討

アスリートの栄養に関する知識を調査した研究報告は少なくない。チームスポーツ選手の栄養知識を調査した報告も、それらに含まれている。しかし今回紹介する論文の著者らは、先行研究の多くはサンプルサイズの少なさのために、行っている競技や競技レベルで知識が異なるのかという点の検討ができていないとしている。これを背景として著者らは、アイルランドの伝統的な競技を含むさまざまなチームスポーツのアスリートを対象とする横断調査を実施した。

栄養知識の評価には、精度検証済みのスポーツ栄養知識質問票(Nutrition for Sport Knowledge Questionnaire;NSKQ)を用い、臨床研究用のオンラインプラットフォームであるREDCap(Research Electronic Data Capture)を通じて回答を募集した。対象は、地域のクラブのポスターなどを介して募集。適格条件は、団体競技を行っていて健康な18~40歳の選手で、週に2回以上トレーニングを行っていることとした。競技レベルは、プロ、国家・地方レベル以上をエリート、大学、地元レベルを非エリートに分類した。

NSKQは、体重管理、主要栄養素、微量栄養素、スポーツ栄養、サプリメント、アルコールという6領域にわたる87の質問で構成されている。正答率が49%以下は栄養知識が「不良」、50~64%は「平均的」、65~75%は「良好」、76%以上は「優秀」と評価する。

全体として栄養知識の不十分さがみられ、競技・競技レベル・性別での差はわずか

920人が回答を完了した。主な特徴は、年齢中央値23歳(四分位範囲21~28)、BMI同24.30(22.65~26.00)、競技歴15年(12~20)、トレーニング量7時間/週(5~9)。性別は男性62.6%、女性37.4%で、行っている競技はゲーリックフットボール62.6%、ハーリング/カモギー14.5%、ラグビー11.6%、サッカー11.3%で、競技レベルは37.3%がエリートレベルであり、62.7%が非エリートレベルだった。

全体的な傾向:栄養知識「良好」以上は10人に1人

スポーツ栄養知識質問票(NSKQ)の総合スコアは平均すると50.4±12.78%であり「平均的」と判定され、全体として9割(89.8%)が「不良」または「平均的」に該当した。「良好」は8.3%、「優秀」は2.0%だった。NSKQの下位項目別にみると、とくに微量栄養素(42.77±19.89%)やスポーツ栄養(46.93±17.55%)、サプリメント(35.42±18.86%)は低値であった。

NSKQの総合スコアは、トレーニング時間と弱いながら有意に正相関していた(r=0.163)。競技歴やBMIと総合スコアの関連は有意でなかった。

競技や競技レベル、性別での比較

競技別に比較すると、ラグビー選手の平均NSKQ総合スコアは54.55±11.77%であり、これはゲーリックフットボール選手の50.18±12.93%やハーリング/カモギー選手の48.24±13.39%より有意に高かった。ハーリング/カモギー選手は競技別にみた場合、唯一、平均スコアが「不良」の範囲にあった。

競技レベルで比較すると、エリート選手の平均NSKQ総合スコアは51.25±12.59%であり「平均的」の範囲にあり、非エリート選手は49.90±12.88%で「不良」の範囲にあった。ただし、スコアに有意差はなかった。NSKQの下位項目別にみると、スポーツ栄養(p=0.025)と体重管理(p=0.045)については有意差があり、エリート選手ほうが高値だったが、効果量は小さく差はわずかであった。

性別で比較すると、NSKQ総合スコアは有意差がなかった。NSKQの下位項目別にみた場合、微量栄養素(p<0.001)、アルコール(p=0.002)に有意差があり、女性のほうが高値であった。一方、主要栄養素については男性のほうが高値だった(p=0.005)。

4人に3人は栄養リソースへのアクセスを希望し、3人に2人はそれができていない

上記のほかに、栄養に関する情報の履修やアクセス状況などが調査された。主な結果は以下のとおり。

「栄養学を正式に履修したか」という質問に対して「はい」との回答は8.3%にとどまった。

「スポーツ団体は会員に栄養情報や栄養士/管理栄養士へのアクセスを提供すべきだと思うか」という質問に対しては、4人に3人(74.9%)が「栄養情報と栄養士/管理栄養士へのアクセス」の提供を望むと回答し、19%が「栄養情報のみ」の提供を希望。5.1%は「どちらも不要」と回答した。

一方、「所属クラブは栄養情報や栄養士/管理栄養士へのアクセスを提供しているか」という質問に対し、64.3%は「栄養情報も栄養士/管理栄養士も利用できない」、24.1%は「栄養情報のみ利用可能」、11.2%は「栄養情報と栄養士/管理栄養士の両方を利用可能」と回答した。

栄養知識の不足は、効果がない/有害/禁止されている物質の使用の可能性を高め得る

論文の結論には以下のような総括が述べられている。

「団体競技アスリートの栄養に関する知識は全体として十分でなく、競技間での差は小さかった。とくに、微量栄養素、スポーツ栄養、サプリメントの知識が乏しいことが示された。これは、効果のない、有害な、あるいは禁止されている物質を使用する可能性を高めることを懸念させる。チームスポーツ選手の栄養知識を高めることによって、食事摂取量が適切となり、健康やパフォーマンスが向上する可能性がある」。

文献情報

原典論文のタイトルは、「Nutritional knowledge of team sport athletes」。〔J Nutr Sci. 2026 Jun 1:15:e39〕
原文はこちら(Cambridge University Press)

この記事のURLとタイトルをコピーする
志保子塾2026後期「ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー」

関連記事

スポーツ栄養Web編集部
facebook
Twitter
LINE
ニュース・トピックス
SNDJクラブ会員登録
SNDJクラブ会員登録

スポーツ栄養の情報を得たい方、関心のある方はどなたでも無料でご登録いただけます。下記よりご登録ください!

SNDJメンバー登録
SNDJメンバー登録

公認スポーツ栄養士・管理栄養士・栄養士向けのスキルアップセミナーや交流会の開催、専門情報の共有、お仕事相談などを行います。下記よりご登録ください!

元気”いなり”プロジェクト
元気”いなり”プロジェクト
おすすめ記事
スポーツ栄養・栄養サポート関連書籍のデータベース
セミナー・イベント情報
このページのトップへ