炭酸水の習慣的摂取で食行動・摂取量、飲酒量、BMI、検査値が好転する? 日本人対象12週間のRCT
ノンカロリーの炭酸水を1日に500mL、12週間にわたり毎日摂取した場合、同量のノンカロリー非炭酸水を継続摂取した場合に比べて、間食の頻度や飲酒量が減り、BMIや肝機能にも好ましい変化が現れることを示唆するデータが報告された。アサヒ飲料(株)研究開発戦略部の橋本秀紀氏らが、健康な日本人成人を対象に行ったRCTの結果であり、論文が「Scientific Reports」に掲載された。著者らは、探索的な研究であり因果関係の考察は制限されるが、食生活の改善におけるノンカロリー炭酸水の潜在的な影響を示す結果が得られたと述べている。

ノンカロリー炭酸水を習慣的に摂取した場合の影響をRCTで検証
メタボリックシンドローム(MetS)の早期発見やMetSに伴う心血管代謝性疾患の一次予防を主目的として、特定健診・保健指導をはじめとするさまざまな公衆衛生施策が実施されているが、依然としてMetS該当者や2型糖尿病等の患者数が高止まりしている。その一因として、食事や運動介入により一時的な効果がみられても、その状態を維持することが困難であることが想定される。そのため、少ない負担で日常の生活習慣を改善し得る手法が模索されている。
その手法の一つとして、ノンカロリー炭酸水の可能性が検討されている。既に、ノンカロリー炭酸水の摂取により満腹感や爽快感が高まり、食欲やアルコールへの渇望が低下することを示した研究結果が報告されている。ただしこれまでのところ、それらの研究はノンカロリー炭酸水を摂取後の急性反応を検討したものであり、生活習慣の一部として継続的に摂取した場合にも、健康に対する好ましい反応が維持されるのかは明らかでなく、また主観的指標ではなく客観的リスクマーカーへの影響に関するエビデンスは限られている。
以上を背景として橋本氏らは、健康な日本人成人を対象に介入期間が12週間にわたる無作為化比較試験(randomized controlled trial;RCT)を実施。ノンカロリー炭酸水(carbonated water;CW)を摂取した場合とノンカロリー非炭酸水(non-carbonated water;NCW)を摂取した場合で、食行動や食事摂取量、飲酒量、BMI、臨床検査値などへの長期的な影響が異なるのかどうかを検討した。
健康な日本人成人を無作為に2群に分け、CWとNCWによる介入を12週間継続
研究参加者は調査パネルの登録者から募集された日本人の一般成人であり、有償ボランティアとして参加した。適格基準は、年齢20~64歳で疾患がなく健康であり、BMI23~30、間食の頻度が週2回以上、飲酒頻度が週1回以上、ノンカロリー炭酸水の摂取量が週500mL以下など。除外基準は、疾患治療中、食品アレルギー、妊娠中・授乳中、1日20本以上の喫煙、1日60g以上のアルコール摂取、習慣的な高強度運動、最近の献血、研究期間中にサプリメント摂取を中止できないことなど。
上記の条件を満たす46人が参加。年齢、性別、BMIに偏りが生じないように配慮したうえで無作為に、ノンカロリー炭酸水(CW)群とノンカロリー非炭酸水(NCW)群に1:1で割り付けた。CWはアサヒ飲料(株)のウィルキンソン タンサンを用い、NCWも同社の非炭酸水を用いた。ともにノンカロリーであり、差異は炭酸の有無のみであって、摂取量は1日あたり500mLとして12週間連日摂取してもらった。
主な評価項目は、参加者本人の食事記録に基づく栄養素摂取量、間食頻度、飲酒量、BMI、血液検査値であり、ベースラインと介入4週、8週、12週(介入終了)という4時点で評価した。介入中にCW群の1人が脱落し、解析は45人で行われた。
介入中の間食頻度や飲酒量の変化量に有意な群間差
栄養素摂取量:CW群ではNCW群より炭水化物摂取量の減少幅がやや大きい
摂取エネルギー量、主要栄養素摂取量の介入前後の変化量は、評価した4時点のすべてにおいて、ノンカロリー炭酸水(CW)群とノンカロリー非炭酸水(NCW)群の間に有意差がなかった。ただし、12週時点の炭水化物摂取量の変化量については、わずかながらCW群のほうが大きく低下する傾向がみられた(p=0.096)。また、間食のみからの炭水化物摂取量も、12週時点においてはCW群の低下が大きい傾向にあった(p=0.067)。
間食頻度:CW群では間食頻度がNCW群より大きく減少
ベースラインにおける1週間あたりの間食の頻度は、CW群8.07±6.23回、NCW群7.50±5.79回であった。ベースラインから介入後の変化量を比較すると、4週(p=0.018、効果量〈d〉=0.73)と12週(p=0.049、d=0.61)時点において有意差が認められ、いずれもCW群の間食頻度が大きく低下していた。8週時点の変化量に関してはわずかに非有意だった(p=0.053)。
飲酒量:CW群では飲酒量がNCW群より大きく減少
ベースラインにおける1週間あたりの飲酒量は、CW群68.0±48.82g、NCW群56.93±56.36gであった。ベースラインから介入後の変化量を比較すると、12週時点において有意差が認められ(p=0.019、d=0.73)、CW群の飲酒量が大きく低下していた。4週および8週時点の変化量に関しては有意差がなかった。
BMI:CW群ではBMIがNCW群より大きく低下
ベースラインにおけるBMIは、CW群25.26±1.49、NCW群25.33±1.38であった。ベースラインから介入後の変化量をみると、12週時点において有意差が認められ(p=0.037)、CW群のBMIが大きく低下していた。4週および8週時点の変化量に関しては有意差がなかった。
血液検査:CW群では肝逸脱酵素がNCW群より大きく低下
血液検査データの中では、肝逸脱酵素の12週時点の変化量に有意差が観察された。具体的には、CW群ではASTのベースライン値が24.82±8.33U/Lであったものが12週時点では19.77±3.45U/Lと有意に低下、NCW群は同順に22.91±4.48U/L、21.91±5.62U/Lであり有意な変化がなく、CW群の低下が有意に大きかった(p=0.034)。ALTにも同様な変化がみられ、12週時点での低下がCW群で有意に大きかった(p=0.026)。このほかトリグリセライド(中性脂肪)について、12週時点の変化量に非有意レベルの群間差が観察され、CW群の低下が大きい傾向がみられた。
負担なく長続きする習慣としてのノンカロリー炭酸水の可能性
まとめると、12週間にわたり毎日500mLのノンカロリー炭酸水を摂取することで、間食頻度と飲酒量が有意に減り、炭水化物摂取量には非有意レベルの減少がみられ、BMIと肝逸脱酵素に好ましい変化が認められた。これらの変化のうちBMIと肝逸脱酵素の変化について論文では、「ノンカロリー炭酸水を摂取したことによる直接的な影響ではなく、行動の変化に伴う二次的なものではないか」との考察を加えつつ、「わずかな体重の減少でも代謝に好ましい変化が生じうることが確認された」と記している。
著者らは本研究について、「有意性の検討に適切なサンプルサイズを事前に検討せず実施していること、交絡因子を考慮せずに介入前後の変化量を比較していること、間食頻度や飲酒量などは自己申告に基づく解析であることなどの限界点があり、結果の解釈に注意を要する」と述べている。そのうえで、「得られたデータは、日常生活において容易に継続可能なノンカロリー炭酸水の摂取が健康に資するという、潜在的な役割を示唆するものと言える。より大規模かつ長期間の堅牢なデザインによる研究での検証が望まれる」と総括している。
なお、本研究はアサヒ飲料(株)の資金提供により実施された。
文献情報
原典論文のタイトルは、「Randomized trial of carbonated water consumption on snacking behavior, alcohol intake, and health indices in healthy Japanese adults」。〔Sci Rep. 2026 May 9〕
原文はこちら(Springer Nature)







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