ビタミンD不足の子どもは骨折すると治療期間が長引く 足の骨折や手術した場合に顕著
骨折した子どもの治療に要した期間と、ビタミンDレベルとの関連を検討した結果が報告された。ビタミンD低値の子どもは治癒に至るまでの期間が有意に長く、とくに下肢の骨折、および治療に手術を要した場合に、その傾向が顕著だという。

3分の1の子どもが17歳になるまでに骨折を経験
英国の研究では、性別にかかわらず子どもの約3分の1が17歳までに少なくとも1回の骨折を経験すると報告されている。成人、とくに高齢者では骨折リスクとビタミンDレベルとの関連について多くの研究がされているが、子どもの骨折とビタミンDレベルとの関連は知見が少ない。
これを背景として今回取り上げる論文の研究では、ビタミンDが腸管からのカルシウム吸収を促進することから、子どもの骨折治癒に要する時間がビタミンDレベルによって異なるとの仮説を立て、後方視的な検討を行っている。なお、研究の背景として述べられているところでは、17歳以下の子どもにおけるビタミンD欠乏症が世界的に増加していること、大腿または前腕を骨折した小児おいて、ビタミンDレベルが基準値範囲にあったのはわずか21.5%であったことなどの先行研究のデータが示されている。
レベル1外傷センターを受診した子どもの骨折患者の治療記録を後方視的に解析
この研究は、2015~2022年に四肢骨折により米国フロリダ大学の整形外科(レベル1外傷センター)を受診した0~17歳の患者のうち、骨折から1年以内にビタミンDレベルが測定されていた166人(骨折数は186)を対象とした。四肢以外の部位の骨折、骨形成不全症に伴う骨折は除外した。
ビタミンDレベルは、30.0ng/mL以上を正常として、それ未満を低値と定義した。なお、本研究は後方視的レビューであるため、ビタミンD測定が標準的に行われていたわけではなく、臨床医の判断または患者(保護者)の懸念等により測定されていたと考えられる。
主要評価項目は、治療開始から臨床的治癒および放射線学的治癒までの期間が、ビタミンDレベルの正常と低値の2群間で異なるか否かの検討であり、副次的に、骨折部位(上肢/下肢)および治療法(保存的治療/手術治療)に層別化した比較を行った。
平均8歳の骨折患者の6割はビタミンD低値
解析対象患者166人は、平均年齢7.9±5.0歳、男子62.0%であり、ビタミンDレベル正常が64人(38.6%)、ビタミンD低値が102人(61.4%)だった。ビタミンDレベルで分類した2群間に、年齢、性別の分布、BMIに有意差はなかった。
ビタミンD値は全体平均が28.6±12.7ng/mL(範囲4.4~101.4)であり、正常群は40.9±12.4 ng/mL、低値群は21.6±5.6ng/mLであって、有意差が存在した(p<0.001)。なお、骨折の発生からビタミンD測定までの平均期間は49.7±70.1日だった。
下肢の骨折、手術を要する骨折は、ビタミンD低値の場合、治癒に至る期間が有意に長い
臨床的治癒に要した期間での検討
解析対象全体の臨床的治癒に要した期間は、中央値40日だった。これをビタミンDレベル別にみると、正常群は37日、低値群は44日であり、低値群は治療に要した期間が有意に長かった(p=0.019)。
骨折部位別にみた場合、上肢ではビタミンD正常群は中央値39日、低値群は43日であり、低値群が長いものの有意差はなかった(p=0.279)。それに対して下肢では同順に33日、53日であり、低値群は下肢骨折の治療に要した期間が有意に長かった(p=0.025)。
治療法別にみた場合、保存的に治療された患者では、正常群は中央値34日、低値群は39日であり、低値群が長いものの有意差はなかった(p=0.290)。それに対して手術が行われていた患者では同順に50日、83日であり、低値群は治療に要した期間が有意に長かった(p=0.031)。
放射線学的治癒に要した期間での検討
解析対象全体の放射線学的治癒に要した期間は、中央値65日だった。これをビタミンDレベル別にみると、正常群は39日、低値群は74日であり、低値群は治療に要した期間が有意に長かった(p=0.01)。
骨折部位別にみた場合、上肢ではビタミンD正常群は中央値38日、低値群は52日であり、低値群が長いものの有意差はなかった(p=0.189)。それに対して下肢では同順に39日、95日であり、低値群は下肢骨折の治療に要した期間が有意に長かった(p=0.006)。
治療法別にみた場合、保存的に治療された患者では、正常群は中央値38日、低値群は46日であり、低値群が長いものの有意差はなかった(p=0.371)。それに対して手術が行われていた患者では同順に88日、203日であり、低値群は治療に要した期間が有意に長かった(p=0.043)。
ビタミンDサプリが子どもの骨折治癒促進につながるかは、今後の検討が必要
この結果について著者らは論文の結論において、「子どものビタミンD不足/欠乏は、これまで考えられていたよりも一般的である」としたうえで、「小児整形外科医は骨折患者に対するビタミンDおよびカルシウムの日常的な補給を検討してもよいだろう」と、食事によるビタミンDの摂取については支持するような記述をしている。
その一方、ビタミンDサプリメントについては、「サプリ摂取によってビタミンD値を正常化させることが、小児骨折の治癒と臨床転帰を変えるかどうかを判断するには、さらなる研究が必要である」と、慎重な記載をしている。
文献情報
原題のタイトルは、「Low Vitamin D Levels Are Associated With Longer Healing Times in Pediatric Fracture Patients」。〔J Pediatr Soc North Am. 2025 Dec 2:14:100295〕
原文はこちら(Elsevier)







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