スポーツ栄養WEB 栄養で元気になる!

SNDJ志保子塾2024 ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー
一般社団法人日本スポーツ栄養協会 SNDJ公式情報サイト
ニュース・トピックス

女性の「やせ」は出産時リスクの可能性を高める BMI 18.5未満で低体重児が1.6倍、早産が1.2倍に増加

妊娠前に低体重だった母親から生まれた子どもは、低出生体重児が発生する可能性の比が約1.6倍、早産が約1.2倍、在胎不当過小児(SGA)が約1.6倍に増加することが明らかにされた。国立成育医療研究センターの研究グループの研究によるものであり、「Journal of Epidemiology」に論文が掲載されるとともに、プレスリリースが発行された。

女性の「やせ」は出産時リスクの可能性を高める BMI 18.5未満で低体重児が1.6倍、早産が1.2倍に増加

研究の概要:肥満が多い海外と同様の問題が、やせが多い日本でも起きている

国立成育医療研究センターの研究グループは、日本人女性における妊娠前低体重(BMI 18.5未満)が周産期の健康状態に与える影響について、過去に発表された5,000件を超える研究論文をスクリーニングし、最終的に34研究(約76万人分)のデータを用いた初めての包括的メタ解析※1を行った。

その結果、妊娠前に低体重だった母親から生まれた子どもは、低出生体重児が発生する可能性の比が約1.6倍、早産が約1.2倍、在胎不当過小児(small for gestational age;SGA)※2が約1.6倍に増加することが明らかになった。また、出生体重は平均で約115g低下していた。

日本では妊娠可能年齢の女性の約20%が低体重といわれ、諸外国に比べ著しくその割合が高い。しかし、その影響は、肥満が問題となっている欧米諸国と同様であり、低体重が多い集団であっても、周産期における母子の健康への影響は減少しないことを、本研究結果は示している。

※1 メタ解析:複数の独立した研究結果を統計的に統合・分析し、より客観的で信頼性の高い結論を導き出す手法のこと。
※2 在胎不当過小児:Small for Gestational Age(SGA)とは、妊娠週数に対して出生体重が平均より小さい赤ちゃんのこと。

発表のポイント

  • 本研究は、日本人女性に特化した初めての包括的なメタ解析。
  • 2000年1月から2024年2月までの日本人女性を対象とした34研究、総計約76万人分の妊娠データを分析した。
  • 妊娠前低体重(BMI 18.5未満)の母親から生まれた子どもは、低出生体重児が発生する可能性のオッズが1.61倍(95%CI;1.38~1.86)、早産が1.23倍(1.19~1.26)、SGA児が1.59倍(1.55~1.63)に増加した(図1)。
  • 出生体重は標準体重(BMI 18.5以上25.0未満)の母親と比較して、平均115.02g低下(-128.05~-101.99)していた。
  • 日本における妊娠可能年齢の女性の約20%が低体重であるという高い割合にもかかわらず、その影響は肥満が問題となっている諸外国の国際的な報告と同様であり、集団内で低体重が一般的であっても母子の健康にかかわるリスクは減少しないことが明らかになった。

図1 妊娠前低体重と標準体重の母親による発生頻度の比較

妊娠前低体重と標準体重の母親による発生頻度の比較

(出典:国立成育医療研究センター)

背景と目的:やせが多いという特異な状況での妊娠転帰に関する初のメタ解析

妊娠前の体格は母子の健康に重要な影響を与えることが知られている。欧米では肥満への関心が高い一方、日本では若い女性の「やせ」が深刻な公衆衛生上の問題となっている。

国民健康・栄養調査によると、日本の20~30代女性の約20%がBMI 18.5未満の低体重にあたる。これは、欧米諸国と比べ突出して高い割合である。この特異な状況が周産期の健康状態にどのような影響を与えるかは、これまで系統的に評価されていなかった。

本研究は、日本人女性に特化した初めての包括的なメタ解析であり、妊娠前の女性の低体重が母子の健康に与える影響を定量的に評価した。

研究の手法

対象データの選別方法

6件の論文データベース(MEDLINE, EMBASE, CINAHL, PsycINFO, Cochrane Library, 医学中央雑誌)から、2000年1月~2024年2月までの間に公開された、日本人女性の単胎妊娠を対象としている研究論文を検索した。5,003件の論文から、本研究で設定した評価項目が報告されている研究論文を選別し、最終的に34件(総計76万1,511妊娠)の論文データを対象データとして扱いった。

評価項目

低出生体重児(2,500g未満)、SGA児、早産(37週未満)、出生体重、妊娠期間、母体合併症など。

分析方法

対象となった論文から、評価項目に関するデータを抽出し統合して分析する方法である、系統的レビューとメタ解析を行った。今回用いた対象データは、年齢など他の考えられる影響を調整(交絡因子の調整)することはできなかったため、とくに母体の合併症(妊娠高血圧症候群、帝王切開など)の結果は、慎重な解釈が必要。

プレスリリース

妊娠前の女性の「やせ」が出産時の母子の健康に影響 ~低出生体重児や早産の可能性が高まることが明らかに~(国立成育医療研究センター)

文献情報

原題のタイトルは、「Impact of Maternal Underweight on Infant and Maternal Outcomes in Japanese Women: A Systematic Review and Meta-analysis」。〔J Epidemiol. 2025 Dec 20〕
原文はこちら(J-STAGE)

この記事のURLとタイトルをコピーする
志保子塾2025後期「ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー」

関連記事

スポーツ栄養Web編集部
facebook
Twitter
LINE
ニュース・トピックス
SNDJクラブ会員登録
SNDJクラブ会員登録

スポーツ栄養の情報を得たい方、関心のある方はどなたでも無料でご登録いただけます。下記よりご登録ください!

SNDJメンバー登録
SNDJメンバー登録

公認スポーツ栄養士・管理栄養士・栄養士向けのスキルアップセミナーや交流会の開催、専門情報の共有、お仕事相談などを行います。下記よりご登録ください!

元気”いなり”プロジェクト
元気”いなり”プロジェクト
おすすめ記事
スポーツ栄養・栄養サポート関連書籍のデータベース
セミナー・イベント情報
このページのトップへ