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抗酸化物質はスポーツパフォーマンスを高めるのか? 国際スポーツ栄養学会ISSNが最新の見解を発表

国際スポーツ栄養学会(International Society of Sports Nutrition;ISSN)はこのほど、食品中の抗酸化物質が運動とスポーツパフォーマンスに与える影響に関する見解(position stand)をまとめ、同学会発行の「Journal of the International Society of Sports Nutrition」に発表した。

抗酸化物質はスポーツパフォーマンスを高めるのか? 国際スポーツ栄養学会ISSNが最新の見解を発表

ISSNによる抗酸化物質のパフォーマンスへの影響に関する10項目の見解

国際スポーツ栄養学会(ISSN)のポジションスタンドは、ISSNの編集者と評議会が、読者の関心を引くトピックを特定してそのトピックに関するエキスパートに執筆を依頼する招待論文であり、執筆された草稿はレビューと修正が加えられたうえでISSNの公式見解として承認される。

今回発表されたポジションスタンドは、包括的な文献レビューと批判的分析のうえで、抗酸化物質の作用機序、運動に伴う酸化ストレス、酸化ストレスがパフォーマンスに及ぼす影響、酸化ストレスを抑制することがトレーニング効果に及ぼす影響などを総説としてまとめたうえで、個々の食品性抗酸化物質の作用機序やエビデンスを解説。それらに基づいて、10項目の見解が掲げられている。

ここではその10項目の見解を紹介したうえで、論文の本文の一部をピックアップして紹介する。

10項目の見解

  1. 酸化還元バランスはスペクトラム(連続体)であり、軽度の酸化ストレは有益な適応を促す一方、過度の酸化ストレスは回復やパフォーマンスを損なう。
  2. 運動によって生じる活性酸素種(reactive oxygen species;ROS)は、中等度であれば適応を支える可能性があるが、過剰になると筋損傷、炎症、持久力低下を引き起こすことがある。
  3. 内因性の抗酸化システムや食事由来の抗酸化物質は、フリーラジカルを中和し、重要な生体分子への酸化的損傷を制限することで細胞を保護する。
  4. 米国食品医薬品局(FDA)による規則において「抗酸化物質」という表示は、抗酸化作用が実証されていて推奨摂取量(reference daily intake;RDI)が設定されている栄養素に適用される。これには通常、ビタミンC、ビタミンE、β-カロテン(ビタミンAの供給源)、セレン、亜鉛、銅、マンガンが含まれる。
  5. いくつかの食事由来化合物は抗酸化活性を示し、直接的・間接的な抗酸化作用の双方を有する可能性がある。しかしエビデンスの強さに強弱があり、利用に際しては、パフォーマンスや回復といった特定の目標にあわせて調整する必要がある。
  6. 習慣的な運動は内因性の抗酸化防御を高めるため、サプリメントの利用を検討する前に酸化還元能力を高めるための主要な戦略とすべき。
  7. 抗酸化物質の望ましい供給源は、フラボノイド、ポリフェノール、カロテノイド、ビタミン、ミネラルを豊富に含む食品であって、サプリメントは食事で不足する部分を補う目的で用いるべき。
  8. サプリメントの使用は、栄養素の不足や欠乏、食事摂取量の不足、または高強度のストレス負荷のかかる期間にのみ使用することが望ましく、日常的に高用量を使用すると、トレーニング適応を弱める可能性がある。
  9. サプリメントへの反応は、トレーニング状況、基礎的な抗酸化能、人口統計学的要因、食事、外傷リスクなどの個人要因によって異なる。また、いくつかの化合物は、特定の集団において、認知、行動、または外傷に伴う障害に関連に対するメリットをもたらす可能性がある。
  10. クレアチン(0.1g/kg/日)、ω3脂肪酸(EPA+DHAとして1,000~6,000mg/日を6~12週間)、タルトチェリー(粉末480mgまたはジュース60~90mL/日を7~14日間)、アスタキサンチン(4~12mg/日を4~12週間)などのサプリメントは、抗酸化作用を有する栄養素の中でも上位に位置づけられており、回復やパフォーマンスの向上に有効で、かつトレーニング適応を妨げないことを支持する中等度~高品質のエビデンスがある。

そのほかの多くのサプリメントはエビデンスが弱いか一貫性がないため、トレーニングの目標、生物学的特性、およびエビデンスの強さに基づいて、個別に検討すべき。

特別な留意事項

高齢者とマスターズアスリート

競技により異なるが一般に35歳または40歳以上の個人と定義されるマスターズアスリートは、酸化ストレス、炎症、同化抵抗など、加齢に伴う生理学的課題に直面している。加齢は独立して活性酸素種(ROS)/活性窒素種(reactive nitrogen species;RNS)産生を増加させ得ることを踏まえると、抗酸化サプリメントは加齢のプロセスの一部を抑制する潜在的な解決策となる可能性がある。ただし、多くの研究で抗酸化物質サプリメントの摂取が酸化還元反応とパフォーマンスに有益であると報告されているものの、全体的なエビデンスは依然として不明確である。

職業的アスリート

職業的なアスリートは特有のストレス要因による悪影響を受け、酸化ストレス、炎症、および疾患リスクの増加にさらされる可能性がある。具体的な要因として、高強度の身体活動、心理的ストレス、トラウマ体験などいくつか挙げられる。研究により職業的アスリートは食事性抗酸化物質の補給を検討する必要性が指摘されている。しかしながらこれまでのところデータは限られており、結果は一貫性が十分でない。

性差

食事からの抗酸化物質摂取に対する反応には性別による違いがあることが示されている。女性は男性よりもROS産生量が少なく、抗酸化酵素活性が高いように思われるが、主要な抗酸化酵素について統一的な見解や相違を示した研究はほとんどなく、決定的な知見ではない。男性は女性と比較して、食事性抗酸化物質からより大きな保護効果を得られる可能性があるという報告が複数存在する。

外傷性脳損傷の軽減

過去長年にわたりスポーツにおける外傷性脳損傷(traumatic brain injurie;TBI)に関する懸念がもたれている。TBIでは酸化ストレス/酸化還元バランスの不均衡が増加するため、特定のサプリメントへの関心が高まっている。2024年に行われたレビューでは、クレアチン、ω3脂肪酸、コリン、マグネシウム、N-アセチルシステイン、ベリーアントシアニンを推奨する根拠が示されている。

文献情報

原題のタイトルは、「International Society of Sports Nutrition position stand: effects of dietary antioxidants on exercise and sports performance」。〔J Int Soc Sports Nutr. 2026 Dec 31;23(1):2629828.〕
原文はこちら(Informa UK)

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