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アスリートの9割に虫歯リスク 間食でのデンプン摂取がリスクに関連している

エリートアスリートの齲蝕(虫歯)の有病率、および虫歯と食事摂取との関連を調べた研究結果を紹介する。間食(補食)としてデンプン性食品を摂取することが、虫歯のリスクに関連している可能性があるという。

アスリートの9割に虫歯リスク 間食でのデンプン摂取がリスクに関連している

アスリートの虫歯リスクが高い理由を、食事の面から探る研究

これまでに行われた複数の研究から、アスリートは虫歯のリスクが高いことが、ほぼ一貫して報告されてきている。その理由として考えられている因子には、高いエネルギー需要を満たすための頻繁な糖質摂取、口呼吸や脱水に伴う唾液分泌量の低下による口腔内自浄作用の低下、運動誘発性の免疫抑制などが含まれる。とくに、限られた時間で手軽に摂取できるスポーツジェルやスポーツドリンクなどは一般に糖質が多く含まれていて、かつ、酸性食品であることが多い。酸性の食品は歯のエナメル質を溶かしやすく、糖が存在する場合はよりその作用が強くなる可能性がある。

しかし、ハイレベルアスリートの虫歯のリスクを、食事摂取習慣と関連づけた研究は多くない。今回紹介する論文の研究では、アイルランドのエリートアスリートの虫歯と食事摂取状況を調査し、両者の関連が検討されている。

アイルランドのエリートアスリート88人の横断研究

この研究の対象は、アイルランドの国内大会レベル以上で競技を行っている18~65歳のアスリートで、性別や競技などは制限しなかった。同国の競技団体などを通じて募集され、適格と判断された88人を解析対象とした。年齢は25.6±5.7で男性63%、行っている競技はクリケットが35.2%と多く、次いでボクシング25.0%、ボート23.9%と続き、ほかに自転車、水泳、体操、トライアスロンの選手が含まれていた。エリートレベルでの競技歴は中央値5年だった。

研究デザインは横断研究であり、口腔状態は国際的齲蝕探知評価システム(International Caries Detection and Assessment System;ICDAS)などの精度検証済みの指標を用いて評価した。人口統計学的指標および生活習慣についてはwebベースのプラットフォームで回答を得た。食事摂取状況については、FoodBook24という質問票により、24時間思い出し法を複数回実施して把握した。

エリートアスリートの虫歯の有病率の高さと、その関連因子

アスリートの9割にICDAS 3(エナメル質の局所破壊)以上の歯が存在

口腔状態を評価した国際的齲蝕探知評価システム(ICDAS)では、虫歯の所見がないものを「0」、広範囲にわたり明瞭な欠損があるものを「6」とする7段階で判定する。

本研究の対象88人のうち79人(89.8%)に、ICDASが3以上(エナメル質の局所的破壊)の歯が1本以上存在していた。また、対象者全員のすべての歯である2,816本のうち、ICDASが3以上の歯は316本(12.8%)であった。性別での比較で、これらの指標に有意差はなかった。

なお、著者によると、これらの値はアスリート対象の先行研究の報告に比べてもより高く、本対象集団のアスリートは全体的に口腔状態が悪化していたとしている。

間食として摂る食品に、虫歯を誘発しやすい食品が多い

摂取エネルギー量は2,678±1,352kcalであり、男性が女性より有意に高値だった。炭水化物の摂取量は324±189gで、このうち糖類が128±94g、デンプンが169±90gだった。

この研究では、食品全体を、虫歯誘発性の高さにより二分して検討している。虫歯誘発性の高い食品としては、主として菓子や果汁飲料、およびサプリメントなどとされていて、それら以外の穀類や肉、野菜などの食品は、虫歯誘発性が低いと分類。この分類に従うと、本研究参加者において、虫歯誘発性の糖類の摂取量については、主食から48±49g、間食から45±51gであり、主食と間食がほぼ同等だった。

ただし、食事からのエネルギー摂取量は、主として虫歯誘発性が低い食品が中心(1,392±606kcal)であったのに対して、間食からのエネルギー摂取量は、虫歯誘発性が低い食品が299±301kcal、虫歯誘発性が高い食品が489±449kcalと分類されて、後者が多かった。

クラスター分析で、エリートアスリートは二つのクラスターに分けられる

次に、研究参加者の年齢、性別、民族、口腔状態、食品摂取習慣に基づくクラスター分析を実施。その結果、最適なクラスター数は2となった。

クラスター1は88人中23人で、男性と女性がほぼ半数ずつであり、全体的にICDASが低い(口腔状態が良好)な集団だった。一方、クラスター2は61人で男性が41人と多く、全体的にICDASが高い(口腔状態が不良)な集団だった。

間食で摂るデンプンの虫歯誘発性の高さが、虫歯リスクに関与している可能性

続いて、二項ロジスティック回帰分析により、このクラスターの分類と関連する因子を検討。その結果、間食における虫歯誘発性の高いデンプンの摂取量のみが、有意な関連因子として特定された(β=0.044、p=0.005)。

間食での虫歯誘発性の低いデンプン、および、食事(糖類/デンプン、および、それらの虫歯誘発性の高低にかかわらず)は、このクラスター分類と有意な関連がなかった。また、年齢や性別も有意な関連がなかった。

アスリートの虫歯予防には、デンプン食品の摂り方に留意

論文の結論は以下のようにまとめられている。

「本研究の対象は齲蝕の有病率が高く、過去の報告を上回っていた。クラスター分析からは、デンプン摂取のタイミングが、齲蝕リスクに関連する食事要因を理解するうえで、従来の食品群分類では得られない知見を提供する可能性があることが示された。これらの知見は、エリートアスリート集団において、齲蝕誘発性の食事のみではなく、間食の摂り方に注意を払い、食事指導と齲蝕予防戦略を実施する必要性を強調している」。

文献情報

原典論文のタイトルは、「Diet and Dental Caries in Elite Athletes in Ireland」。〔J Hum Nutr Diet. 2026 Feb;39(1):e70203〕
原文はこちら(John Wiley & Sons)

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