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SNSのダイエット情報がアスリートを追い詰める? 摂食障害経験者へのインタビュー研究

ソーシャルメディア(SNS)がアスリートの摂食障害(摂食症)リスクに及ぼす影響と、摂食障害からの回復におけるSNSの役割を、半構造化面接により検討した研究結果を紹介する。論文のタイトルにインタビューを受けたアスリートのコメントが使われていて、“I Was Just Like a Sponge, Absorbing All the Wrong Information”(私はまるでスポンジのように誤った情報を吸収していた)とされている。

SNSのダイエット情報がアスリートを追い詰める? 摂食障害経験者へのインタビュー研究

アスリートのSNS使用と摂食障害との関連は?

アスリートは一般人口に比べて摂食障害のリスクが高いことが報告されており、女性では最大45%、男性では33%が何らかの影響を受けるとするデータもある。

一方、SNS上には摂食障害リスクを高めるようなコンテンツが少なくないことが知られていて、痩身志向を刺激するような情報が多いとされている。また、それとは別に、一般的な健康情報として、食事の量を減らすことや身体活動量を増やすことを推奨する膨大な情報があり、それらの大部分は情報の受け手が置かれている状況を区別せずに発信されている。そのためSNSの利用が摂食障害を招来するとする指摘が多い。しかし一部の研究は、SNSというコミュニティー内での情報共有や相互の支え合いが、摂食障害からの回復を助けるという報告もある。

とはいえ、これらの報告の大半は非アスリートの一般集団で行われた研究の結果であり、アスリートにおいてSNSが摂食障害を促すのか回復促進に役立つのかは明らかになっていない。

今回取り上げる論文の研究はカナダで実施されたもので、摂食障害を経験したアスリートとソーシャルエージェント(アスリートの回復中にサポートを行った人)を対象とする半構造化インタビューを行い、SNSの役割を考察している。

インタビューから得られた四つのテーマ

インタビューの対象は、17人の摂食障害を経験したアスリートまたは元アスリートと、12人のソーシャルエージェントだった。ソーシャルエージェントはコーチや管理栄養士などであり、本インタビューの対象アスリートのうち少なくとも1人の回復中に、職業的または個人的に支援した経験を有することを条件とした。ただし、面接は独立して実施された。なお、研究デザイン、研究の実施、論文執筆者から、摂食障害の経験者は除外されていた。

インタビューで得られた情報の分析により、四つのテーマが抽出された。

(1)SNSの肯定的な面が有害なコンテンツによって損なわれている

アスリートの多くが、SNSが他の選手や専門家との意図的なつながりを促進すると指摘した。キャロライン(仮名〈以下同様〉)は、「RED-S(スポーツにおける相対的エネルギー不足)を経験し、そこから抜け出す過程で、専門家や人々と多くのつながりができた」と述べていた。こうしたメリットがある一方で、アスリートはSNSが摂食障害につながる有害なコンテンツへの接触を増加させ、プレッシャーを悪化させると強調した。ペイトンは、「トップになりたいという気持ちから、ついSNSで他人と比べてしまう」と語った。

また、ソーシャルエージェントからは、アスリートが無資格のインフルエンサーの影響を受けやすいことの懸念が挙げられた。栄養士のマーガレットは、「誰もが他のアスリートが何を食べているかをSNSで調べている。ネット上のアスリートたちは絶大な影響力を持っている。そのアスリートが『ピザは食べたことがない』と投稿すると、若年のジュニアアスリートは『自分もピザは食べないほうが良い』と思うようになる」と述べている。

これらの例は、SNSが他者とのつながりやサポートの機会を提供する一方で、とくに回復期のアスリートにとっては、食生活や体型に関するプレッシャーを悪化させる可能性のあるメッセージであふれていることを示している。

(2)摂食障害からの回復を維持するためのSNSとの新たな関係の構築

サディは、トレーニング管理のプラットフォームとして支持されているアプリが、回復中には負の行動を助長したと説明している。「もっと早くStravaを削除しておけばよかった。今はSNSとの付き合い方がずっと賢くなり、何かを読んでも以前ほど影響されなくなった」。リース(サディのチームメイトで友人)もこれに同調し、「重要なことはネット情報を鵜呑みにしないことだ」と述べた。

また、カーリーは別の視点から問題を提起した。「SNSは間違いなくアスリートの摂食障害リスクにとって問題だ。なぜなら、一般の人々が1日に食べるものとアスリートが食べるべきものは違うからだ。それにもかかわらずSNSは常に、白黒はっきりとしたルールを作って示したがる」。

(3)摂食障害のスティグマとダイエット文化に対抗するためのSNS利用

一部のアスリートは、摂食障害に対するスティグマ(偏見)に立ち向かい、ダイエット文化のメッセージに対抗するためにSNSを利用した。前出のリースは、そのためにインスタグラムのアカウントを作った。「人々はふつうの食事でスポーツの成績を向上し、スポーツを楽しみたいと考える。『速く、強くなる方法は、1日に2,000kcal未満しか食べないことだ』といった情報は必要ない」。

マヤは、自身の回復状況をSNSで共有したことで、他の選手たちから支援的な反応が得られた経緯を語った。「チーム内だけでなく、国際的アスリートの仲間の間でも、よりオープンな環境が生まれたと思う。そして、それがさらに広がっていくことを願っている」。

(4)SNSでの認知度が回復期のストレス要因となる

摂食障害の経験をSNSで共有したアスリートにとって、啓発活動は時に、回復を複雑にする感情的な負担をもたらした。マヤは、「他の人が支援を求めてきたり、自身の摂食障害の苦悩を打ち明けたりすると、圧迫されるような気持ちになった」という。「そのような相談を受けるのは光栄に感じるが…私は臨床心理士ではない。私自身の経験についてしか話せない。とくに回復の初期段階では、まだ私自身が苦痛を感じていたため、ストレスを感じることがあった」。

以上、論文中に取り上げられているコメントの一部を紹介した。著者らは、「今回の調査結果は、摂食障害の予防および治療プログラムにおいて、アスリートに特化したSNSリテラシー教育が必要であること、そしてスポーツ団体やメディアプラットフォームがより安全なオンライン環境を支援する必要があることを浮き彫りにしている」と述べている。

文献情報

原典論文のタイトルは、「“I Was Just Like a Sponge, Absorbing All the Wrong Information”: Examining the Role of Social Media in Athletes' Eating Disorder and Recovery Experiences」。〔Int J Eat Disord. 2026 Mar 16〕
原文はこちら(John Wiley & Sons)

SNDJ特集「相対的エネルギー不足 REDs」

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