バスケ選手の最も効果的な回復戦略は? 栄養、冷水浸漬、アクティブリカバリーを交差試験で比較
バスケットボール選手の最適な回復戦略を、クロスオーバー法で検討した研究結果を紹介する。栄養、冷水浸漬、アクティブリカバリーという三つの条件は、いずれもプラセボに比較し、クレアチンキナーゼと自覚的運動強度を抑制したが、シャトルランテストに関しては冷水浸漬でのみ有意な改善がみられたという。

バスケは短時間での回復が重要
世界で最も人気のあるスポーツの一つに挙げられるバスケットボールは、試合中にスプリントやジャンプ、方向転換などの高負荷運動が頻繁に繰り返される。さらに、バスケ人気の高まりとともに試合スケジュールが過密化しており、選手はできるだけ迅速な回復が求められるようになっている。
バスケ選手の迅速な回復戦略に関する研究は既に多く行われてきているが、それらの有効性を比較した研究は少ない。そこでこの研究では、同一対象に複数の回復戦略を選手ごとにランダムな順序で行ってもらい、回復の速さが異なるのかを検討するという、無作為化クロスオーバー試験による検討が行われた。なお著者らは、「本研究は結果の一般化を目的したものでなく、探索的なエビデンスを得るためのパイロット研究として実施した」としている。
スペインのエリート男性バスケ選手15人を対象にクロスオーバー法で検討
この研究の参加者は、スペインの国内レベル以上のアマチュアまたはプロで、豊富な競技歴をもつエリート男性バスケットボール選手15人。適格条件は、競技歴10年以上、前シーズンに試合に参加していたこと、怪我をしていないことであり、除外条件として本研究で試行する介入(後述)の経験がないこととされていた。参加者15人の主な特徴は、年齢22.13±3.66歳、BMI 25.01±3.82、体脂肪率10.14±3.50%、VO2max45.83±4.72mL/kg/分、最大心拍数184.87±9.73bpmなど。
検討した回復戦略は3種類で、プラセボを加えた4条件。研究期間は4週間で、各週のうちの1日に1条件を試行した。この間、週2回のチームトレーニングセッションが継続された。また、通常行われている週にもう1日のトレーニング日は、本研究のためのテスト日とされた。なお、この4週間に試合参加はなかった。
研究期間中はサプリメントの摂取を禁止し、各条件の試行日は24時間前から飲酒や刺激物の摂取、激しい運動も禁止した。
試行した4条件
試行した4条件は以下のとおりで、試行の順序は無作為化した。
冷水浸漬(cold-water immersion;CWI)
座位で下肢を11℃の冷水に2分間浸漬した後、室温(25℃)で座位を2分間保つという一連のプロセスを5回反復する。
アクティブリカバリー(active recovery;ACT)
自転車エルゴメーターを用いて最大心拍数の50%の強度で25分間ペダリングを実施。
栄養(supplementation;SUP)
タンパク質と炭水化物の補給。具体的には、0.5Lの水に0.3g/kgのマルトデキストリンと0.2g/kgのホエイプロテインを溶解したものを摂取。その後25分間の座位。
プラセボ(placebo;PLA)
甘味料で味付けした水を摂取。その後25分間の座位。
運動負荷プロトコル
方向転換を伴うドリブルなどのバスケを模した運動プロトコルを、疲労困憊に至るまで実施した。負荷が最大限に達したことは、ボルグスケールによる自覚的運動強度(rate of perceived exertion;RPE)、心拍数、血中乳酸濃度により確認した。
評価項目と評価のタイミング
運動負荷プロトコル実施前(ベースライン)、負荷終了直後、および24時間後に、以下の項目を測定した。
クレアチンキナーゼ(creatine kinase;CK)
筋損傷のマーカーとしてクレアチンキナーゼ(CK)を評価した。
パフォーマンステスト
10mスプリントテスト、4×10mシャトルランテスト、カウンタームーブメントジャンプ(countermovement jump;CMJ)、ハーフスクワットエクササイズでの等尺性筋力を評価した。これらは2回(CMJは3回)ずつ試行し、最良の記録を解析に用いた。
検討した3条件すべてで回復が促進され、冷水浸漬ではシャトルランにも有意な影響
運動負荷プロトコル終了直後の自覚的運動強度(RPE)、心拍数、血中乳酸濃度は、プラセボ条件も含めて4条件で有意差がなく、同程度の疲労が発生したと考えられた。
運動負荷終了24時間後には、クレアチンキナーゼ(CK)が3種類の回復戦略のいずれもプラセボ条件と比較して上昇幅が有意に抑制され、またRPEや疲労感も抑制されていた。さらに、冷水浸漬条件のみは4×10mシャトルランテストの有意な改善と関連していた(p=0.027)。
各条件の負荷終了24時間後のCKは以下のとおり。冷水浸漬(CWI)条件122.68±57.91mmol/L、アクティブリカバリー(ACT)条件142.11±71.51mmol/L、栄養(SUP)条件136.15±77.54mmol/L、プラセボ条件(PLA)条件163.11±85.18mmol/L。
論文の結論は以下のように述べられている。
「得られた結果はエリートバスケットボール選手の運動誘発性筋損傷と疲労感を、回復戦略が軽減する可能性を示唆している。検討した戦略のなかでは、冷水浸漬がクレアチンキナーゼの上昇抑制という点で最も効果的であり、それに伴いシャトルランテストのパフォーマンスが有意に向上することが示された。また、炭水化物とタンパク質の摂取は疲労感の軽減や等尺性筋力の回復に有益な効果をもたらす可能性もみられた。ただし、本研究は予備的なものでありサンプルサイズも小さいため、慎重な解釈が求められる」。
文献情報
原典論文のタイトルは、「Acute Effects of Nutritional and Physical Recovery Strategies on Exercise Performance, Muscle Damage, and Fatigue in Elite Basketball Players: A Pilot Randomized Crossover Trial」。〔Life (Basel). 2026 Feb 5;16(2):275〕
原文はこちら(MDPI)







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