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格闘技選手と指導者の減量に対する認識・態度を比較 選手396人と指導者23人の実態を分析

格闘技の試合前の減量に関する認識は、選手とコーチの間で共有されているのだろうか? この疑問の一つの答えとなる研究結果を紹介する。中国で約400人の格闘技選手と23人のコーチを対象に行われた横断研究の結果、選手はコーチの指導よりも大幅に、より短期間で減量する傾向があるいう。ただし、これは性別や競技特有の影響と考えられ、コーチと選手の認識が乖離しているわけではないと述べられている。

格闘技選手と指導者の減量に対する認識・態度を比較 選手396人と指導者23人の実態を分析

減量戦略は実質的にコーチが主導している

急速な減量が健康に悪影響を及ぼし得ることを示す多くの報告があるにもかかわらず、試合前の減量は格闘技選手の間で広く行われている。文献によると、格闘技選手の減量は試合前の7~14日間で5%未満という報告が多いが、総合格闘技やムエタイなどでは10%もの減量が行われるという報告もある。

選手の減量戦略に最も強い影響を及ぼす存在はコーチとされることが多い。これは、選手と接する時間が長く、しばしば思春期前後から指導にあたっており、選手にとってはコーチ以外に減量に関する情報の入手手段が少ないことが関係していると考えられる。

しかし、コーチの指導を選手がどのくらい遵守しているのかという検討はこれまであまり行われていない。今回取り上げる論文の著者らはこの点に着目して、観察的横断研究を実施した。

396人の格闘技選手と、その選手を指導する23人のコーチを対象に調査

研究の対象者は中国の主要な国立トレーニングセンターで質問票を配布することで募集した。

コーチの研究参加適格基準は、過去1年は格闘技のコーチであり、かつ本研究に参加する選手のコーチであること。選手の適格基準は、過去1年以内に1回以上、試合に参加しており、現在もトレーニング中で、かつ本研究に参加するコーチの指導を受けていること。

これらを満たす23組のチーム(コーチ23人と選手396人)が質問票に回答した。なお、質問票は先行研究で利用されたものを基に、パイロット研究を経て修正して作成された。

調査回答コーチ・選手の特徴

23組のチームの競技は5種目にわたり、内訳は散打(中国武術から発展した格闘技)が9(選手は170人)、キックボクシング3(同81人)、テコンドー3(70人)、レスリング5(47)、ボクシング3(28人)だった。

23人のコーチは年齢30.7±6.7歳で女性が2人、男性21人。自身が13.8±1.8歳の時に現在指導している競技の選手として活動を開始し、21.3±2.8歳の時にコーチとなっていた。43%は中国の初級コーチング資格を有し、30%は資格なし、13%は中級、9%は上級、4%は国家級コーチング資格を有していた。

選手396人のうち、試合前の減量を行っているのは267人であり、女性59人、男性208人だった。試合前の減量を行っている割合を競技別にみると、散打76%、ボクシング68%、レスリング66%、キックボクシング65%、テコンドー49%だった。

減量の幅や期間の認識に差がみられるが、コーチと選手の隔たりを反映するものではない

コーチ対象調査の主な結果

コーチは平均すると、14.9±1.6歳を選手が試合前の減量を始める適切な年齢と考えていた。体重が60kgの選手を仮定した場合の減量幅として、習慣的には3.8±1.6%の減量を指導し、最大6.7±2.7%の減量を指導すると回答した。減量開始のタイミングは大半(91%)が22日以上前を選択。15~21日を指導するとしたのは少数(9%)だった。

多くのコーチ(65%)は 、選手の減量戦略に自身が「何らかの影響力を持っている」と認識していた。「大きな影響力がある」との回答も9%存在した。一方、「ほとんど影響力がない」、「わからない」が各13%で、「影響力はない」は0%だった。

コーチの半数(52%)は、試合前の減量は「健康に影響しない」と考えていた。「健康を改善する」と考えているコーチも9%存在した。「健康に悪影響を及ぼす」と考えるコーチは39%だった。

減量による試合への影響は、43%のコーチが「パフォーマンスを最適化する」と考えていた。次いで「パフォーマンスに影響しない」と考えるコーチが多く30%を占め、「有害である」と考えるコーチも26%存在した。

選手対象調査の主な結果

格闘技の選手が減量を始めた年齢は14.7±1.4歳だった。平均的には7.3±4.1%の減量を行い、最大で9.4±4.0%の減量を経験していた。減量開始は試合の15日以上前が64%と最多で、次いで11~14日前が21%、8~10日前5%、6~7日前4%、4~5日前4%、1~3日前1%だった。

37%の選手は、コーチが減量の実践に「大きな影響力を持っている」と認識しており、次いで「多少の影響力」が26%、「影響力なし」22%、「ほとんど影響力なし」8%という順番だった。選手のほぼ半数(47%)は、減量は「健康に影響しない」と考えており、次いで「悪影響を及ぼす」と考えている選手が31%であり、「健康を改善する」という回答も22%あった。

また、減量がパフォーマンスを最適化すると考えているのは41%であり、影響がないと考える選手も39%であって、ほぼ拮抗していた。さらに減量が有害であると考えている選手も20%を占めた。

選手はコーチの指導よりも短期間でより大幅に減量している

コーチの回答と選手の回答を比較すると、試合前に習慣的に指導する/行う減量の幅は、コーチの回答よりも選手の回答のほうが3.1%有意に高かった。過去最大の減量幅についても、コーチの回答よりも選手の回答のほうが2.4%有意に高かった。なお、性別を調整するとこれらの有意性は消失し、競技を考慮した場合、キックボクシングでは有意性がみられなかった。

減量にあてる期間についても有意差が認められ、選手はコーチの指導よりも短期間で減量することを示していた。減量の手段としては、調査された16種類の方法のうち、サウナの利用を除いて有意差はなかった。サウナ利用については、コーチは指導に用いるとする回答が多いのに対して、選手の利用は少なかった。ただしこの点も性別を調整すると有意性が消失した。

試合前の減量を開始した年齢や、減量による健康やパフォーマンスへの影響の認識については、コーチと選手に有意差がみられなかった。

これらの結果に基づき著者らは、「コーチと選手の試合前の減量戦略の認識は一致していた。減量の実践方法には相違がみられたものの、それらの違いは選手とコーチ間の隔たりを反映するものではなく、性別や競技種目で説明でき、それらの文脈で形成されたものと思われる」と述べている。

文献情報

原典論文のタイトルは、「Do coaches and athletes share the same weight-loss practices and perceptions? Insights from 23 combat sport teams」。〔Front Nutr. 2026 Mar 18:13:1802696〕
原文はこちら(Frontiers Media)

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